【映画レビュー】「ブラッド・パンチ タイムループの呪い」(2014年 アメリカ)〜水曜の魔女〜

【タイトル】
「ブラッド・パンチ タイムループの呪い」(2014年 アメリカ 99分)
監督 マデレイン・パクソン
脚本 エディ・ガゼリアン
出演 マイロ・コーソーン、オリビア・テネット、アリ・ボイランド

※本作には暴力、グロテスク、性的な描写が含まれています。


【あらすじ】
 火曜の朝。
 ソファーで眠る主人公・ミルトン。
 目を覚ますと吐き気に襲われ、トイレのあるバスルームへ。
 すると、バスタブの中に「今すぐ見ろ」と書かれたビデオとモニターが。
 ビデオを再生すると、モニターにはミルトン本人が映っている。
 モニターの中のミルトンは、今までに起きた出来事のすべてを自分に向けて話し始めた。


 ……。
 事の始まりは、昨日の月曜日。
 ミルトンは天才的な頭脳を持つ青年。だが、薬物依存でリハビリ施設に居た。
 そこに、スカイラーという名の美女が現れる。
 刺激的なスカイラーに惹かれるミルトン。
 すると、スカイラーはミルトンに迫り「ドラッグの製造を手伝ってほしい」と、とんでもない頼みごとを言う。

 スカイラーに唆されたミルトンは、スカイラーと一緒に施設を脱走。
 ドラッグの製造工場となる山小屋に辿り着き、スカイラーの彼氏であるラッセルと合流。

 ラッセルは売人とのドラッグの取引があり、水曜までにドラッグを用意しなければならなかった。
 そのため、薬物に詳しいミルトンが必要になり、スカイラーの色仕掛けでミルトンを脱走させ、この山小屋まで来るように仕向けたのだ。

 退くに退けなくなったミルトンはスカイラー、ラッセルと共にドラッグの製造をすることに。

 脱走してから、数時間が経った火曜日。
 ミルトンがドラッグの製造をしている最中、ラッセルが銃を持って現れる。
 どういうつもりなのか、明らかにミルトンを殺す気で銃を構えるラッセル。絶体絶命のピンチ。
 そこにスカイラーがやってきてミルトンを助けるのだが、勢い余ってラッセルは死亡。
 ミルトンは、ラッセルの遺体を土に埋めた……。


 しばらくして、朝になると……。
 なんと、死んだはずのラッセルが何事もなかったかのように、ミルトンとスカイラーの前に現れた。
 混乱するミルトン。
 昨日、ラッセルは確かに死んでいた。そして、遺体を土に埋めたはず……。

 ミルトンはラッセルを埋めた場所を掘り返す。
 すると、そこには……。
 間違いなく、死んでいるラッセルの遺体が……。

 ミルトン、スカイラー、ラッセル。この3人に、一体なにが起きたのか?
 衝撃のSFタイムループサスペンス。


【感想】
 本作は「何度も同じ時間を繰り返す」という『タイムループ』を扱った作品である。
 この『ループもの』は映画やドラマ、漫画アニメ、ゲームなどでもよく取り扱われ、名作が数多く存在するジャンルだ。

 この映画はタイムループを上手く取り扱っており、時間の袋小路に入った3人の若者の姿がよく描かれている。 
 どうすれば、この何度も火曜日を繰り返すタイムループの輪から抜け出せるのか?を必死に考え続けるミルトンとスカイラー。
 そして、何度も二人に殺されてしまうラッセルの姿など、緊張感がありつつもブラックな笑いも。

 更にこの映画ではタイムループものとしては、新しい要素が加えられている。
 大体の作品ではタイムループするとすべてが元に戻り、主人公か一部の人間の記憶だけが残ったままというパターンが多いのだが、この映画ではタイムループすると、記憶以外にもループする前に殺した人間の死体(殺された人間はループ後に復活するが、前のループで殺された時の死体は残る)や、セットしておいた仕掛けがそのまま残っているという、ループする前の状態が一部だけ引き継ぎになっているのだ。
 これは、タイムループものとしてはかなり斬新。
 そのため、ループする毎に次々と死体が積み上がって行く……。


 果たして、ミルトンとスカイラーはこの火曜日(タイムループ)を終わらせて、水曜日(明日)を迎えることが出来るのか?

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