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ジョン・ロールズの哲学の一つが実践されていると感じました。

■感想文『マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった』/著者・ジョン ウッドさん


ある人が強い勤労倫理を持って、根気強く頑張り努力したとしても、その努力ですら、幸運な家庭の状況の下で生じるものであるから、私たちは自分の功績だとは主張できない――ジョン・ロールズ
生まれながらに有利な者は、より才能があるというだけの理由で、便宜を得るべきではなく、訓練と教育の費用を賄い、恵まれない者たちへの助けになるように、その資質を使うべきである――ジョン・ロールズ

この本の著者ウッドさんは『正義論』の著者であるロールズの哲学を体現していると感じました。

ウッドさんにとって正しい行動は、いつも行き止まりにさしかかるのですが、新たな出会いも生み出していて。出会いが、行き止まりの扉を開ける鍵をウッドさんに与えてくれる印象です。ウッドさんは常に感謝しながら、その鍵を使い、次の扉まで全力で走ります。最初は、キョロキョロしながらですが、終盤には迷いも消えていて、その真摯さが、読んでいて気持ちよかったです。

マイクロソフトでの経験や経営哲学を活かしながら、ときにはビル・ゲイツとの思い出話をからませながら、頻繁にスティーブ・バルマーの教訓を上げながら、子供の頃から読書に没頭してきた著者らしく、その奮闘と物事を成し遂げていく過程が、なかなかうまく書かれています。私は企業のエグゼクティブでも資産家でもありませんが、共同体の一人として、自分にできる方法で社会への義務を果たしてみたいな、そんなふうに思わせてくれた本でした。

テクノロジー業界の重役が、ネパールに本を届けるようになったその物語だけでも、絵本を読むかのように楽しむことができた一冊です。


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