産経新聞出版

 昨年12月、KADOKAWAから発売予定だったアビゲイル・シュライアー著「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」が発売停止となりました。SNS等で批判にさらされたのが原因と聞きましたが、それだけではなくKADOKAWA社屋の前で抗議活動をするとか、KADOKAWAとは仕事をしないという著者がでてきたとか、更には同じ出版関係者から「トランスジェンダー差別所長につながる書籍刊行に関しての意見書」が出されたなんて言うこともあったようです。そんな曰く付きとなった本が産経新聞出版から刊行されることになりました。

 KADOKAWAが発売する予定だったタイトルも良くなかったようで「トランスジェンダーは社会的に『感染』などしない」という抗議もあったようです。いや、流石に「感染しない」ということぐらいは分かりそうなものですが、そういう言葉尻を捕まえさせたら天下一品の方々なのでしょう。こうした時に必ず登場する文言が「差別を助長する」というもの。本書を読んで理解を深めることと、差別が助長されるかは別な話でしょう。こうした抗議活動について批判すると、「言論弾圧」とか言ってきそうですが、そもそもの言論弾圧はどちらなのか本当に訳が分かりません。まぁ、相矛盾するところを正常に機能させる人格をお持ちの方々なのでしょう。SNSでどんな批判があったのか探してみると
「差別プロパガンダ販売するブラック企業マジでキモイは。 RYUCHELL死んだよ! トランスは全然起こる得るものですよ。 この本は右翼くさいプロパガンダですよ。 あらま、クズ出版社わかるわけない単語で失礼します。」
なんて言う投稿がありました。うーん、よく分かりません。そんなよく分からない抗議を執拗にされるのですから、そうした方々からすればどれだけ都合の悪いことが書いてあるのやら、ますます気になってしまいます。

本書は、2020年にアメリカで発売され「エコノミスト」の「その年の本」に選ばれて10か国語に翻訳されています。そんな本が日本では3年も遅いのですから、それだけでも残念なのに、まさかの発売停止なんて言うことになるとは思いもしませんでした。原書を読むほどの情熱もないし、すっかり忘れいたところで産経新聞出版が火中の栗を拾ってくれました。批判にさらされる一方、報道でも取り上げられて話題になっていますから、結構売れるのだと思います。産経新聞出版、Good Jobです。

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