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マンガに関する記事

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2022年よかったマンガ7選 『ゴールデンラズベリー』『花四段といっしょ』『これ描いて死ね』他

2022年よかったマンガ7選 『ゴールデンラズベリー』『花四段といっしょ』『これ描いて死ね』他

遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
2022年は仮面のリトルプレスづくりに追われてあんまし読めなかったけど、広まって欲しい作品もあれば、自分の心に刺さった理由をちょっとでも言語化しておきたかったので、この1年で好きだったマンガを備忘録として書き記しておきます。

●持田あき『ゴールデンラズベリー』(3巻、以下続刊)

りぼん作家としてヒット作を生み出してきた持田あき先生が、女性誌『フ

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2021年推したいマンガ9作品 『三拍子の娘』『メダリスト』『奈良へ』等

2021年推したいマンガ9作品 『三拍子の娘』『メダリスト』『奈良へ』等

今年の振り返り

ふだんWeb系編集プロダクションで働くかたわら、マンガに関するレビューやインタビュー記事を定期的に書いたり編集したりしています。

2021年は4月に出た『BRUTUS』のマンガ特集号で「何かここ数年ですごかったマンガ表現を紹介して下さい!」とご依頼を受け、「目に見えないものを描いた傑作マンガ」として『シオリエクスペリエンス』『バジーノイズ』『BLUE GIANT』の音楽表現を紹

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2020年個人的にすごかったマンガ9作品

2020年個人的にすごかったマンガ9作品

2020年は副業でマンガレビュー仕事もぽつぽつ再開し始めました。
スポーツ誌『Number』のWeb版で『ハイキュー!』と『鬼滅の刃』の最終巻発売にあわせて1本ずつ書かせてもらったのですが、どっちもデイリーランキング1位とれてよかったです。

▼大人気バレー漫画『ハイキュー!!』は、なぜ“立体的”に見えるのか? 「他で見たことない!」3つの表現法
https://number.bunshun.jp

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ゲームで遊んでいたら読みたいマンガが増えていく 「マンガ読書会ゲーム」、楽しすぎなので商品化求む

ゲームで遊んでいたら読みたいマンガが増えていく 「マンガ読書会ゲーム」、楽しすぎなので商品化求む

カードをめくると「コマ割りがかっこいいシーン」というお題が表示された。好きなマンガを1冊ずつ持参した11人。それぞれ必死にページをめくって、かっこいいコマ割りを探す。
一番いいプレゼンをして、このマンガ読書会ゲームに勝つために――。

2月28日(木)、マンガ専門書店&カフェバーのマンガナイトBOOKSで「マンガ読書会ゲーム」を開催した。
考案したのは、「ぷよぷよ」「はぁっていうゲーム」など数々の

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「東京喰種」、仮面が喰種にもたらす怪しさと人間味

「東京喰種」、仮面が喰種にもたらす怪しさと人間味

デザイン雑誌「月刊MdN」2016年6月号「特集:惚れる悪の造形」に、漫画「東京喰種」と「亜人」について1本ずつレビューを寄稿しました。

特集の名の通り、映画や漫画など各作品に出てくる悪役のビジュアルについて、どうして恐ろしいのに惹かれてしまうのだろう……とその所以を考察・解説していく特集になっています。

喰種も亜人も一方的に悪役というのは難しいですが、悪に寄ったイメージの要素は確かにあり、不

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コナンにも金田一にもできない“顔の表情”から事件を解決 漫画「月は囁く」

コナンにも金田一にもできない“顔の表情”から事件を解決 漫画「月は囁く」

探偵漫画が数多く存在する中、“顔の表情”を分析して事件を解決する新手の探偵が現れた。

「月は囁く」(青木朋、宮崎克)は、天才心理学者の美少女・月(ユエ)が、刑事である義兄の陽一と事件を解き明かしていく作品。

その推理の術は、人の容貌・骨格から心理を判断する中国の学問「観相」だ。

容疑者に質問を投げかけ視線から嘘を見抜いたり、眉間の色合いから犯人の目星をつけたり。「48種の表情筋の組み合わせが

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「僕のヒーローアカデミア」のオノマトペ表現が熱い

「僕のヒーローアカデミア」のオノマトペ表現が熱い

っていう原稿を、デザイン・グラフィック誌の「月刊MdN」の2016年3月号に寄稿しました。→ http://www.amazon.co.jp/dp/B01BD7P4E0/

特僕のヒーローアカデミア集は「漫画家が発明した表現30 漫画を漫画たらしめるもの」。
「AKIRA」の描線による疾走感の演出は漫画史的にすごい、「ゆゆ式」でキャラたちの手を使って会話の間を表現している、などなど、漫画を「表現」

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岡崎京子を親友・愛弟子・ファンが語る 桜沢エリカ×安野モヨコ×しまおまほ「岡崎京子展」プレトークイベント

岡崎京子を親友・愛弟子・ファンが語る 桜沢エリカ×安野モヨコ×しまおまほ「岡崎京子展」プレトークイベント

「『ヘルタースケルター』みたいなエキセントリックな感じじゃなくて、本人はすごくバランスのとれた、常識的でまともな人」 

岡崎京子という人間について、デビュー当時から毎日電話する仲だった桜沢エリカさんは語る。

2015年1月から世田谷文学館で「岡崎京子展」が開かれるのに先駆け、岡崎京子さんについて3人のマンガ家が語らうトークイベントが11月1日に同館で開かれた。登壇者は、同年代の親友かつ仕事仲間

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マンガは大脳に適した読み物 ジャンプ最高部数を達成した名編集者・堀江信彦が説く「マンガの力」とは

マンガは大脳に適した読み物 ジャンプ最高部数を達成した名編集者・堀江信彦が説く「マンガの力」とは

「マンガっていうのは、人間の大脳の機能に非常に適した読み物なんですよ。」

「週刊少年ジャンプ」最高部数653万部を達成した元編集長・堀江信彦さんが、マンガがいかに人間の本能に訴える力を持つか、明治大学中野キャンパスに集った聴講者たちへ語る。

「人間の表情は6種類しかない。喜び、悲しみ、怒り、不安、驚き、嫌悪。マンガの特徴はこれらの感情をデフォルメして描いたところにあるんです。こうした顔の表情を

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クマと女子中学生がいちゃいちゃモフモフ 人気上昇中の『くまみこ』に人類が惹かれる理由

リアルなクマと女子中学生が田舎の山奥で暮らすコメディマンガ『くまみこ』(KADOKAWA)が人気だ。去年10月に発売された第1巻が12月には第3刷が発行され、わずか2カ月で重版2回と、好調な売れ行きを見せている。

ページを開くとなるほど、楽しい。本作は、クマを祀る神社に巫女として仕える女子中学生・まちが、人間の言葉をしゃべれる大グマのナツと山奥で仲良く生活する物語。まちが田舎暮らしに飽きて都会の

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『ハイキュー!!』コミックスだから楽しめる本作の“手”の魅力

今年4月からアニメがスタートするバレーボールマンガ『ハイキュー!!』(集英社)。放映が楽しみだが、同作にはコミックスだからこそじっくり楽しめる魅力として「徹底した手の描写」がある。

『ハイキュー!!』は全国大会出場をめざす烏野高校男子バレー部の日々を描いたスポーツマンガだ。抜群の身体能力を持つまっすぐな性格のアタッカー・日向翔陽と、「コート上の王様」の異名を持つ我の強い天才セッター・影山飛雄。同

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レディー・ガガの肉ドレスを僕らはなぜ愛するか? ロックスターの必要性をギャグと熱い心で紐解く『エバタのロック』

今年11月の来日時、きゃりーぱみゅぱみゅのコスプレで見事に日本人の度肝を抜いてくれた世界的音楽アーティスト、レディー・ガガ。これまでほかにも生の牛肉でできたドレスを着たり、6つのプロペラを搭載した“空飛ぶドレス”で宙に浮いたりと、彼女は数々の奇抜なファッションで世を圧倒し続けてきた。

彼女なりのメッセージが込められているとはいえ、冷静になってみると、どのパフォーマンスも「ちょっと待て」と突っ込み

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スーパーゼウス、ヘッドロココ……原画を通してよみがえる収集の日々 「ビックリマン原画展」開催中

スーパーゼウス、ヘッドロココ……原画を通してよみがえる収集の日々 「ビックリマン原画展」開催中

スーパーゼウス、ヘッドロココ、スーパーデビル……子供時代にあんなに欲しかったビックリマンシールのヘッドたち。その原画を会場で見ていると、シールで感じられたあの手描きのぬくもりが、サインペンの濃淡やホワイトの修正跡などでより強く伝わってくる。

シールのおまけ付きでおなじみ「ビックリマン」の「天使VS悪魔シリーズ」誕生30周年を記念した「ビックリマン原画展」が、8月21~8月31日に渋谷パルコパート

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手塚世代から浦沢世代へ 「日本SF展」にみるマンガの存在感

手塚世代から浦沢世代へ 「日本SF展」にみるマンガの存在感

 みなさんは「SF(=Science Fiction)マンガ」と聞いてどんな作品を思い浮かぶだろう。

 『PLUTO』(浦沢直樹)や『GANTZ』(奥浩哉)など近未来的な機械技術が出てくる作品から、『テルマエ・ロマエ』(ヤマザキマリ)といったタイムスリップ作品。未知の存在が人間を襲うという点で『進撃の巨人』(諫山創)もSFたりうるかもしれない。あげればきりがないほど、現代において「SF」というジ

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