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お盆に想うこと

お盆を前に想うこと、ちょっと
聞いてくださいね。


中学3年生の春、私の祖母は老衰で亡くなり
ました。
昼間、往診に来た医師の言葉通り、日付が
変わった夜中、
眠るようにしていた祖母が最期、目を開け息を
すーっと吸う姿を家族で看取ったことを
覚えています。
目を開けたとき、起きてくれたと嬉しくて
「おばあちゃん!おばあちゃん!」
と呼びかけた自分の声の記憶もよみがえります。


その年の夏休み、短歌を作る宿題が出ました。

   

今は亡き 祖母との再会待ちかねて 一足先に墓を訪ねる


県外から帰省した伯父が一足先にお墓参りに行ってきたことを聞いて浮かんだこの短歌は町の小さなコンクールで入選。
そのことを喜んだ私の母は美しい毛筆で短歌が書かれた短冊を長い間、枕もとの柱に飾ってくれていました。
入選したことが嬉しいのではなかったのだと思います。
自分の母を思い出すことのできることばが嬉しかったのだと思います。

その母は今年の6月、祖母の待つ場所へと旅立ちました。
私は祖母を見送るときと同じく、最期まで一緒にいることができました。
母が祖母にしてあげていたことと同じことをしたいと私は願いました。
祖母と同じように目を開け、何かを伝えようとするように息を小さく3回吸って旅立っていきました。


「おかあさん!おかあさん!」
「息して!まだ休んじゃだめだよ!」


その声は母には届きませんでした。

息を引き取る・・・その言葉の体現を私は私のルーツである祖母と母から見せてもらいました。


おかあさん   おばあちゃん  ありがとう


お盆に想うこと・・・でした


最期に母にかけてきたことば、
また聞いてくださいね。





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