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母を想う⑫なんでもあるよ・・・のかばん


明治のチェルシーの製造が終わることを知りました。



はっと想い出がよみがえりました。



電車に乗って遠くのデパートにお出かけ。
子どもの頃のわくわく特別な日。
1時間以上、揺られていたと思います。
父は長い買い物に付き合うのが苦手でしたので、
女子だけで出かけていました。
隣町の駅を過ぎるころだったのかな、と
思います。


「なめる?」



と、かばんから出てくるのは、決まって
チェルシーでした。
家にいるときには出てこない特別なあめでした。
お出かけ用のあめでした。



「箱にはいっているから、いいんだよね~、
 かばんの中にいれやすいでしょ、
 おいしいしね~」



必ずこのセリフがついていましたっけ。



パッケージも当時としては、おしゃれで、
紙をはがすと出てくる丸みのおびた四角い
一粒がかわいらしくて、


何よりも口に入れると甘さがふわ~っと
広がって、



母のかばんから出てくるその時間が楽しみ
でした。



チェルシーの思い出とともに、
その当時、母がお出かけのときにいつも
使っていたみどり色のショルダーバッグを
思いだしました。
母のかばんは、なんでもでてくると
思わせるあるよ、あるよのかばんでした。



お気にいりの帽子の
あごのゴムが切れちゃった、


あるよ、あるよ、
裁縫セット


靴ずれしたみたい、


あるよ、あるよ
ばんそうこう


帰りの電車の時間を覚えておこう、


あるよ、あるよ
紙と鉛筆


四葉のクローバーみつけたよ、


あるよ、あるよ
ティッシュペーパー


このどんぐり、かわいいね、


あるよ、あるよ
ビニール袋


なんかつまんないなあ、


あるよ、あるよ
折り紙、あやとり




もう一度舐めたいなあ、
母にお供えしたいなあ、


と捜しましたが出会えていません。


寂しいニュースでしたが、忘れていた母との
想い出を蘇らすことができました。



なので、チェルシーにお礼を伝えたい!
ありがとう、チェルシー!



母が生きていたら、きっと捜し歩いていた
だろうなあ・・・



「あったよ、あったよ」



って届けてくれる顔が目に浮かびます。






     









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