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傾聴に失敗するマネージャー〜交通整理と誘導〜

「マネージャーになったら部下の話を聴こう」
「マネジメントでは傾聴が大事」

世の中の流れを反映してなのか、社内でもにわかにそんなことが言われており、1on1や面談でのコミュニケーションが重要視されています。具体的にはマネージャーとの面談が定期的に設定されており、3ヶ月に1度程度で実施されています。

ぼくはマネージャーではないので、どのように面談をするような指示が出ているかはわかりませんが、「傾聴」がひとつのキーワードになっていることは間違いなさそう。

ところが、それに失敗しているケースをよく耳にしますし、ぼく自身も体験します。


そもそも傾聴とは?

傾聴とは、単に聞くことではなく、相手の言葉だけでなく、感情や意図にも注意を払い、深く理解しようとする姿勢を指します。これは単なる情報の受け渡しではなく、相手を尊重し信頼を築く重要なスキルです。

しかも、意識すればできる、という単純なものではありません。ぼく自身キャリアコンサルタントの勉強を通じて傾聴の奥深さや実践することの難しさを実感しました。

だからこそ研修を受けてないマネージャー層が「急に話を聴けと言われても…」と戸惑うのも理解できます。

傾聴は交通整理

ある本で、
「傾聴は交通整理」
と書いてあり、傾聴の意味を端的にかつわかりやすく表現していると膝を打ちました。

アドバイスではなく、交通整理せよ

たしかに単に話を聴くのではなく、聴きながら内容を整理していくと考えると納得です。

さらにこのように書いてありました。

「相手の話を整理する」とは、相手の話から余分な情報を捨てて、判断に必要な情報だけを残してあげる行為、と言い換えられるでしょう。

傾聴にこのようなイメージがあれば、少しは実践しやすくなるかもしれません。

交通整理ではなく誘導

傾聴を交通整理と捉えると、今のマネージャーがやっていることはただの誘導になってるな…なんてことを感じました。
どういうことかというと、相手の意見を、自分の意見に引き寄せるというか、聴いてるつもりが自分の意見を言ってる、なんてことがあります。

例えば、今後のキャリアについて聴かれて、迷っているような雰囲気を出していると、自分と同じマネージャーになることをすすめはじめたりします。

そこまであからさまじゃなくとも、自分がいかに今の仕事にやりがいを感じているか、などを語り始めたり、極端なときはざっくりとした年収まで言ってきて、これぐらい貰えるようになる、なんて言われたこともあります。

自分の成功体験があるからこそ、アドバイスをしたくなるというのはわかりますし、ある程度のバイアスがあるのは仕方ないとしても、傾聴とは程遠い誘導になってしまっていることは否めません。

もしかしたら、マネージャーになることをすすめろ!という指示が出てるんじゃないか?と疑うぐらい、過去の面談では誘導のオンパレードでした。

マネージャーが傾聴をするなら…

そもそも評価者と面談をするなかで、キャリアについて本音で話せている人がどれだけいるかも疑問です。評価される側として少なくとも悪い評価をつけられたくないと思うなら、評価者の良いと思うような意見を言いがち。

評価される側の態度が誘導したくなる、ひとつの要因なのかもしれません。

もし本当に傾聴をするなら、そのあたりも差っ引いた状態の心構えなども必要。

例えば、評価者と評価される側なんだから、キャリアについて本音を言うわけがない。もしかしたら転職を考えてるかもしれないし、すでに転職活動をしてるかもしれない…

こんなことを前提に、評価とは切り離す、評価には不利にならない、などを事前に説明するぐらいじゃないと本当の考えは聴くことができない。むしろこれだけ言っても本音を出さない人もいる、それぐらいの感覚を持っておいたほうが、いいかもしれません。

明確にキャリアが描けていないからと言ってアドバイスをするのは、傾聴とはかけ離れてしまうので避けた方がいいはずです。相手がマネージャーを志望していてアドバイスなどの話を明確に求めていれば話す、それ以外ではな自分の話はしない。ぐらいの感覚でちょうどいい気がします。

それぐらい相手の話を聴くことを徹底しないとどうしても誘導になってしまいます。

こちら本では具体的な質問などについても記載されているので気になる方は是非チェックしてみてください。

まとめると、
傾聴は交通整理、決して誘導はしない。
そんなことを心に留めておきたいという話でした。


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