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旅と写真と音楽と、それから喫茶店がすきです。29歳、東京の隅っこで生きている。

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洞爺湖、湖畔の夏。

八月某日。久しぶりの早起きでなんとか6:55羽田発の飛行機に乗り込み、私は欠伸を繰り返しながら空の上にいた。 会社員の夏休みは短い。 向かう先は、北の大地、北海道。 一番の目的地は、数年前からいつか訪れたいと憧れていた洞爺湖だ。 新千歳空港に降り立ち、レンタカーに乗り込む。 霧雨が降って空気は肌寒い。長袖の上着を持ってきたことを確認し、ほっと安堵の息をついた。 途中、支笏湖やニセコに立ち寄り、可愛らしい小さな木彫りの熊を買ったり、恐ろしくでこぼこの山道をのぼった先にある

    • 旅先の夜を、愛している。

      「それでは、また。」 「今度は、益田で一泊しますね。」 益田駅前で知人と挨拶を交わし、フルーツサンドを手に特急列車に乗り込んだ。 電車は、ガタゴト音を立てて、時おり大きく揺れながら東へと進んでゆく。 視界が開け、左手には真冬の日本海が広がる。 買ったばかりのフルーツサンドを頬張り、イヤホンを耳に差し込んで。背もたれをゆっくりと倒す。 うとうとと少し眠っている間に、電車は松江駅に到着した。 電車を降りホテルにチェックインをして、 夜の帳が下りる頃、ひとりふらり街を歩く。

      • 日本の北へ、南へ。

        先週の今頃は、気温25度近い那覇の街中で、まん丸に近い月を眺めながら、薄手の長袖一枚で心地のよい夜風に当たり夜道を歩いていた、はずなのに。 今日秋田に向かう新幹線の車窓には、もううっすらと白く、雪をかぶった田圃が映っている。 ふるさとの雪国を離れて暮らす今も、晴れた日の雪原は、言葉にならないほど美しくて好きだ。 久しぶりの雪景色に心を奪われて、カタカタとキーボードを叩いていた手を止め、メールを作成していたパソコンの画面から目を離して窓の外に目をやる。 夕暮れの薄灯りの

        • 病めるときも、健やかなるときも。

          今日、29年間慣れ親しんできた苗字とさよならをする。 そうして、9年間という月日をともに歩んできたひとと、あたらしいひとつの"家族"を始める。 顔合わせを終えて、素敵なふたつの指輪が出来上がっても、まだいまいち実感の湧いていなかったわたしだけれど。 入籍に向けて必要な手続きのあれこれを会社の総務に相談したり、新しい苗字の印鑑を用意しているうちに、 急に"結婚"の二文字が現実感を帯びて、こちらに迫りくるのだからふしぎなものだ。 "戸籍"とかそういった類のものを、人生でこ

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          森、道、市場 2023。

          連日の猛暑日。夏バテ気味で毎日を過ごしているうちに、気付けば七月も最終日。 すっかり更新が滞ってしまってもう遥か昔のことのようですが、 五月の終わり、ここ数年の念願がようやく叶って、森、道、市場2023へ行ってきました。 梅雨入り前、爽やかな気候にも恵まれ、なんだかふっと肩の力の抜けるような、満ち足りた幸せな二日間の記録。 写真とともに、少し振り返りたいと思います。 ▷day 1土曜日ラストのフジファブリック。 「若者のすべて」のイントロが流れ、お客さんもスタッフさんた

          森、道、市場 2023。

          宮古島に呼ばれて。

          先日、仕事の都合で宮古島を訪れた。 沖縄本島や石垣島には何度か訪れていたけれど、宮古島に足を踏み入れるのははじめて。 宮古島の上空からは、島の周りをぐるりと取り囲む美しい青色の海がよく見えた。 後から聞いたところによると、宮古島には大きな河川が流れていないので土砂が海に流れ込まず、澄んだ青色が保たれているらしい。 五月の初め、梅雨入り前の島に降り注ぐ日差しはカラッとしていて吹く風は心地よく。 砂浜をえっさほいさと登った先、パッと視界が開けて目に入ってきたのは、一面の真っ青

          宮古島に呼ばれて。

          瀬戸内の、光と風に魅せられて。

          最終日の朝、雨予報だったにも関わらずお天気は予想外の晴れ。 部屋には、朝の光が静かに差し込んでいて、窓の外は変わらず凪の海。 朝ごはんは、鯛めしのお弁当だった。 お弁当箱を包むデニムの風呂敷も可愛い。 朝食の後は、少しだけ海沿いを散歩した。 夏の朝みたいな爽やかな空気に、ふかく、深呼吸をしたくなる。 海の近い街は、内地よりもひと足早く夏のような空気を感じるので好きだ。 お宿をチェックアウトした後は、倉敷へと車を走らせる。 まずは、道路に面した小さなカフェで朝のコーヒータ

          瀬戸内の、光と風に魅せられて。

          岡山、海の近いまち。

          旅の二日目は、淡路島を出発し徳島、香川経由で岡山を目指す。 せっかく徳島を通るので!ということで、まずはうず潮の見える道の駅へ。 高台では、まっすぐ立っていられないほどの強い風が吹いていて、 太陽に照らされて瀬戸内海が煌々とまぶしく輝いていた。 あ、渦が巻いてる気がする!これがうず潮かな!とふたり騒ぎながら車は大きな橋を渡り、四国へ。 昼食は、やっぱり讃岐うどんが食べたいよねということで、急遽与島パーキングエリアへ寄り道。 しっかり行き先を決めておく旅もよいけれど、 こ

          岡山、海の近いまち。

          はじめまして、淡路島。

          2021年の暮れに会社を辞めてひとり、旅をして以来。 一年と少しぶりに、今度は妹とふたり、瀬戸内へ旅をしました。 東京から約一時間、飛行機で神戸空港へ。 実ははじめましての、兵庫県! 車を借りて、まずは淡路島へ向かう。 お昼は、森のオトさんにて。 淡路島の食材をたっぷり使った、森のオトプレートを注文。 机にお皿が置かれた瞬間、思わず わあっと声がこぼれる。 一品一品、どれに手をつけても信じられないくらい美味しくって、 ひとくち食べ進めるごとに、ふたりで顔を見合わせては

          はじめまして、淡路島。

          季節の進む音がする。

          日々、慌ただしく過ごしているうちに、 気付けば四月も終わりに差し掛かっていた。 今日の東京、最高気温は26度、とテレビでキャスターが言う。 ついこの間桜の季節が終わったばかりと思っていたら、一気に春を通り越して初夏のような気候だ。 夕暮れ時、久しぶりに自転車に乗って近所の公園へ。 夕陽を受けてきらきらと輝く木々、瑞々しい緑色、光の通り道が出来た池の水面。 全力で自転車を漕ぐ。 耳元を、爽やかな風が通り過ぎてゆく。 毎年言っている気はするけれど、目に映る緑の色が日

          季節の進む音がする。

          近況。四月を迎えて。

          東京では、ひと雨ごとに桜が散って、少し、少しずつ季節が前へと進んでいる。 つい先日、前職の同期たちと集まって、昼から桜を眺め、夜は終電間近まで居酒屋をはしごした。 人で溢れかえる代々木公園。レジャーシートをひいて、三々午後集まってきた面々と他愛もない話をして、冷たいカフェオレを飲んだりした。 夕暮れの空には何度も飛行機が飛び交って、傾きかけた日が終わりかけの桜を橙色に染めて。 木の上に浮かんでいた半月が、だんだんと白く、色濃くなってゆく。 小さな居酒屋の二階席。ギリギ

          近況。四月を迎えて。

          春の初め、栃木へ。

          先日、一泊二日の栃木旅へ行ってきました。 土曜日、雨の中レンタカーを借りて東京を出発。 まずは朝マックで腹ごしらえ。 まだ街が目覚めきっていないような、人のまばらな土曜日の朝。 いつもと違う、旅行の日特有の空気に胸を躍らせて。 小雨の降りしきる中、東北自動車道を北へ、北へ。 お昼は栃木市内のパーラートチギさんへ。 大正時代の洋館をリノベーションしておられるそうで、レトロな外観もとっても素敵。 副菜がたっぷり乗ったそぼろ丼、しっかり硬めのプリンも絶品でした。 お昼の後

          春の初め、栃木へ。

          東京、桜前線がやってきた。

          いつの間にかマフラーや手袋が要らなくなって、 去年クリーニングを終えて仕舞い込んでいた、薄い春物のコートに袖を通す頃。 桜前線は南風とともに凄い勢いでやってきて、 薄桃色のちいさく可憐な花を枝いっぱいに咲かし、 決まって静かな春の雨とともにその花を散らして、 濡れた地面に、川面に、美しい桃色の絨毯をつくる。 気温が20度を超える、よく晴れた日。 お昼休み、愛用の赤い自転車に乗って、コンビニで買ったおにぎりとオレンジジュースを片手に、近所の公園へと繰り出した。 イヤホンか

          東京、桜前線がやってきた。

          どうか、いつまでもそのままで。

          私には、ここを超える喫茶店にはもう一生出会えないんじゃないか、と思うくらいに大切なお店がある。 その喫茶店は、前職で働いていた会社の近く、花屋さんの角を曲がると見えてくる。 焦茶色の革張りのソファ。やわらかな電球色の灯り。 入口のドアは開け放されていて、目の前の道路を行き交う車の音、人びとの足音、たくさんの音が聞こえてくる。 必ず頼んでしまうのが、名物のナポリタン。 ケチャップの味がガツンと濃くて、もちもちとした太めの麺。 銀色の長丸のお皿に盛られて、湯気を立てて出てく

          どうか、いつまでもそのままで。

          二十代最後の年を迎えて。

          3月1日、午前九時半。 羽田から鳥取へ向かう飛行機の中で、まだ半分眠ったような頭のまま、ぼんやりと眼下に広がる東京湾を眺めていた。 2月最後の日、29歳になった。 むかし、母が言ってくれた通り、春のはじまりを告げるようなあたたかい日だった。 父と母からは毎年、二月の終わりに大きな可愛らしいお花が届く。 今年は淡い桃色を基調にした、華やかな色合いのお花。 家の中が一気にぱあっと、明るくなったような気がする。 父からは一冊の本と手紙が届いた。 手紙の終わりには、そんな言

          二十代最後の年を迎えて。

          冬の終わり、再び沖縄へ。

          3ヶ月ぶりに、わたしは早朝6時の羽田空港で搭乗を待っていた。 眠い目を擦りながらの日の出フライト。 飛行機は轟音とともに地上を離れ、眼下にはまだ半分眠ったような東京の街と、朝日に照らされた橙色の静かな東京湾が広がり、そこを幾隻もの船が行き交っているのが見えた。 この場所、この時間帯にしか味わえない最高の、至福のひととき。 早起きは辛いけれど、やっぱり早朝フライトはやめられない。 石垣空港に降り立つと、天気は曇り時々小雨。 2月の沖縄ってどんな気候?と思っていたけれど、想像

          冬の終わり、再び沖縄へ。