ハワイは教育に適した環境?
語学学校へ何日か通ううちに、クラスにいる学生たちの顔を覚えるようになった。
いつも落ち着きがなく、時に席から立ちあがり、大声で叫ぶように話す金髪の若者は、日本で数年浪人したが大学には入れず、その後自衛隊に入ったがすぐに辞めたのだという。
派手な格好や乱暴な言葉遣いから、ヤンキー上がりのようにも見えるが、時々「お父さんが学費を出してくれている」というような子供っぽい話し方をする。
ここにも金持ちの親にお払い箱にされた日本の若者がいる、と私は思った。
14年前、ニューヨークの語学学校でも数人出会ったことがある。
彼らは、親の期待に応えることができなかったために日本を追い出された子供たちだ。
親が子供を自分の所有物として支配し、過保護に育ててきたので、子供は自立ができなくなるのだろう。
学力があれば大学に入れるが、受験に何度か失敗すると、海外へ送り出される。
そうすれば、親の世間体が保たれるから。
甘やかされて育ったけれど、自分は本当には親に受け入れられていないということを知っている彼らの心は傷つきやすく、不安定だ。
ニューヨークで知り合った学生のうち、私を含め、日本から来ていた大学生はみな日本に帰って大学を卒業し、就職した。
ニューヨークで既に就労体験のあった日本人の友達は、その後就労ビザを取得した。
アメリカで正規留学を目指していた数人も、翌年アメリカの大学に入学した。
しかし、大学に入れたとしても、卒業できるのは一握りだ。
日本の大学と違い、海外の大学は課題や試験が大変で、かなり勉強しないと進級も卒業もできない。
私がニューヨークの語学学校で知り合った、大学生でもなく就労経験もない数人の男の子たちは、私たちが帰国した後も現地に残り、そのうちギャンブルやアルコールで問題を起こしたり、友人との間で金銭問題が発生し、裁判になったと聞いた。
ハワイの語学学校では、ここに長期滞在するための学生ビザを得るために語学学校に申し込んでいる人もいるという。
私の先入観かもしれないが、やはり南の島の観光地にある学校だけあって、勉強に集中するというよりは、ビザのために通っている人たちの「仕方なく通っている」というけだるい空気を感じてしまう。
一歩学校の外に出れば、旅行を楽しむ観光客に紛れてしまうので、英語の勉強をしっかりとしたい人には、厳しい自己管理が必要になるだろう。
午後のクラスに来ていた数人の若い日本人女性たちは、語学学校へ通ったあと、ハワイのマッサージやネイルのスクールへ入学すると言っていた。
午後のクラスは午前と違って熱心な年配のアメリカ人女性が講師だった。
真面目な学生たちは授業に集中し、先生に質問したりしていたが、いつも午後のこの時間に眠くなる私は、ほとんどの時間、睡魔と戦っていた。
ハワイは教育に適した環境?
ハワイでの親子留学に来る前は、もし子供たちがハワイの学校や環境が気に入ったら、みんなで移住して、大学まで行かせるのもいいかな、と考えていたけれど、実際に来てみて考えが変わった。
ハワイは太平洋の真ん中に浮かぶ、世界のどこからも隔離された小さな島々だから、日本のように人口の多い場所から来た人にとっては、やはり「各教育施設や娯楽が限定されている」「選択肢が少ない」という感じがするのだ。
アメリカで一番物価が高いというのも、観光地であることに加え、ここまでの輸送費がかかるからだろう。
気候が良く、人口が少ないというのは、平和で豊かな環境だけれど、野心のある人には物足りないかもしれない。
私の子供たちにとっては、この観光地は勉強する場所に向かないかもしれない、と考え直した。
ちなみに、ハワイ大学の世界ランキングは259位。(2021年)
世界の大学ランキング、トップ100にはアメリカの大学が26校、イギリス15校、オーストラリア9校、カナダ3校がランクインしている。
詳しくはサイトをご参照ください。
https://www.topuniversities.com/student-info/choosing-university/worlds-top-100-universities
トップ100校の中だけでもアメリカの大学は26大学もランキング入りしているので、ハワイ大学の259位は、そこまで高くないことがわかる。
人口が約2600万人しかいないオーストラリアの大学が9大学もトップ100位にランク入りしていて、数ではアメリカ、イギリスに次いで世界3位なのはすごいと思う。
オーストラリアの教育と大学の質の高さがうかがえる。
日本の大学でトップ100入りしているのは4大学で、東京大学(28位)、京都大学(46位)、大阪大学(80位)と東京工科大学(91位)だ。
私の子供たちが卒業したニュージーランドのオークランド大学は68位(2023年)である。
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