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児童養護施設の難しさ

児童養護施設でも働いています。
最初にお話ししておきますと、僕は施設容認派です。最近は「被虐児は家庭的養護の元で育てるべき」という主張のもと里親が激しくプッシュされて養護施設はダメだみたいな風潮がありますが、僕はそうは思いません。
…という前提で始まりますが、施設は施設で難しい。

児童養護の選択肢

家庭で育てることが難しいと判断された子どもの行き先には、大きく分けて2つの可能性があります。
1つが里親で、もう1つが児童養護施設です。
※里親については今回は触れません。

児童養護施設とは?

児童養護施設とは、親が養育できなかったり虐待をしてしまったりした家庭の子どもを預かり、集団で養育する場所のことです。
様々な専門職を配置して、児相とも連絡を取り合いながら子どもたちの養育を行っています。施設といってもシェアハウスのような感じで、(施設にもよりますが)合宿所というよりは家に近いイメージになっています。ただし子どもの数は多く、1つのホームに5〜8人くらいの子どもがいることが多いです。職員が必ずホームにいて、誰かしらが子どもたちと寝食を共にしています。

児童養護施設の良いところ

養護施設の良いところは、とにかくいろんな職員がいるところです。中には合わない職員がいることもありますが、ホーム職員全員が苦手、ということはほとんどありません。いろんな考え方の大人と触れ合いながら育っていくことができます。
また、複数の養育者との関わりの中で、ある程度の愛着や安心感を持つことができます。

児童養護施設の微妙なところ

微妙なところは、気の合う職員がいたとしても、その人が自分だけを見てくれる訳ではない、ということです。基本的には1-2対多数なので、どうしても個別にかまってもらえる時間があまりとれません。
さらに、最大のデメリットは他の子どもとの関係です。

最大のデメリット

養護施設は、問題を抱えた子がたくさん一緒に暮らすという構造になっています。誰もが傷つき弱っている状態で、ピリピリしていることも多いです。
さらに、少ないですが、年上の子が年下の子を抑圧することがあり、下の子たちはそれに耐えながら暮らしていくことになります。そして年を重ねた年下の子たちが年上になった時、また同じことが起きます。こうしてネガティブな関わりが連鎖していくところも問題点の1つです。

もちろんそうならないように職員一同頑張ってはいるのですが、大人の目の届かない時間にそれをされると対策のしようがありません。

本当であれば傷ついた子を健全な子たちが支えながらケアになっていく環境だと良いのですが、傷ついた子しかいない養護施設では難しい。
学校などではそういったケア的な生活環境が確保できると思うのですが、施設に帰ると難しい子たちが寄り集まって暮らすという構造的な問題になっています。

手厚いケアを

養護施設はこれから減っていく流れになるかもしれませんが、やはり里親は当たり外れが激しい。子どもにとって最低限の逃げ場を確保するためにも、いろんな職員がいる児童養護施設は選択肢の1つとしてあってもいいと思います。

しかしこの「傷ついた子たちがまたお互いに傷つけあう」環境にメスを入れる必要はあると思います。もっと人を手厚く配置できるようにするとか、児相での治療を頻繁にするとか…
いずれにしても人とお金がかかる話ではあります。
現場でできることも、日々考えていきたいと思っています。

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