黒川 博行著「後妻業」を読んだ。
映像化されて気になってはいた作品。なかなかに恐ろしいお話だった。。

職業ではなく、まごうことなき犯罪

後妻業というと職業っぽい雰囲気を出しているけど、全然違う。
高齢の独身男性の後妻に入り、相手が亡くなったら遺産をかっぱらうことを生業にしている人。
ただ亡くなるのを待つならともかく、この場合は事故を装ったり薬を入れ替えたりと死期を早める工夫をしているわけよ。共犯とともに。
証拠を集めるのが難しいけど、れっきとした犯罪。
出会いから仕組まれたもので、シニア向けの結婚相談所を開設して、登録時に資産等把握。狙いを定めて雇われ後妻業を派遣する（この本の場合）。
家に転がり込んで、家族に内緒で公正証書を作らせて遺産の取り分を確保する。
家族の知らないうちにあれこれ決まっており、気づいた頃にはどうにもできない。。
なんてこった。

後妻業のやり口を知ると、結婚詐欺師の方がマシに思える。
実際に婚姻関係は結ばないし、一回に数百万円をだまし取られるだけ。
もちろん痛手だけど殺されはしないし、資産すべて持っていかれるわけではない。
こわいねーよく思いつくよねーこわいよねー。
しかし高齢になったときの恋愛感情？結婚したいという気持ち？はどんなものなんだろうか。全然想像がつかないな。
いくつになってもパートナーを求めたくなるものなのか。

この小説は最初はちょっと入りにくくて、実は半分くらいしか読んでいない。パラパラ飛ばし読みしながら、最後の三分の一くらいは夢中になって読んだ。
それぞれの思惑があって、良い人はひとりもいなかったな。
被害者も加害者も全員ご破算って感じのエンディング。

いくつになっても愛を求めるものなのか

結婚詐欺は昔からある手法。
最近はロマンス詐欺なんてのも聞いたことがある。似たようなものだけど、マッチングアプリで海外のセレブイケメンから中年以上の女性に向けてアプローチがあるらしい。んで仮想通貨系のサービスに入金させて、、、って流れなんだっけな。
もちろん写真はダミーなんだけど、けっこう騙されるらしいよ。
近くでそういう詐欺に遭った人がいないからニュース感覚でしか聞いていなかったけど、仮に被害に遭ったとしても言わない人も多いだろう。

そういえば昔、会社の先輩がキャバクラの女性につぎ込んでいるって話はあったな。
あとは田舎に住んでる伯父さんが（伯母さんはすでに他界）中国籍(?たしか)の女性に結婚を迫られて、一族総出で反対したって話もあった。
”結婚してもいいんじゃない”と勝手ながら思っていたけど（他人事ｗ）、実際伯父さんが結婚を断ったら、すぐに姿を消したらしい。余罪も出てきて危なかったみたい。
やばかったねー、、お金はいくらか渡していたみたいだけど仕方ない。
家族の反対も必要なときもあるんだな。

こういう色恋が絡む詐欺は、ちょっと馬鹿にしがちというか、”気づくでしょ、普通”と思っているのだが、その反面いつ自分がコロッと落ちるのか心配していたりもする。
警戒心強いからそう簡単には落ちないけど、それをかいくぐってきた人がいたらやばそうだ。。
最中はとっても楽しいんだろうな。舞い上がって世界の中心にいる感覚なんだろう。
ストーリー型VRとかできたら、一回は体験してみたい。VRの中だけで十分だけど。