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モラハラ彼氏〜カレー事件〜

以前お付き合いをしていたお相手は、所謂モラハラ彼氏だった。

例えば毎週土曜日は2人で過ごす日にしていたのだが、ある土曜日、急用でストッキングが必要になった。

「土曜日だけど、20〜30分買い物してきてもいい?」

これっぽっちのお願いでも許してもらえず、激怒してくる人だった(異常な程責めてくるし、怖いし、結局ストッキングは買えずじまい)。

そんな元カレの、数あるエピソードの中で特に印象に残っている「カレー事件」の話をしようと思う。



その日、彼は休日。私は出勤日だった。
彼はカレーを作って待ってるから、一緒に食べようと言ってくれた。
「嬉しい、ありがとう!定時で帰れるように努力はするけど、急に仕事が入るかもしれないから到着時刻は随時連絡するね。」
※時間を確約してしまうと嘘吐き呼ばわりされる心配があった為、そう言っておいた。

私は時計をいつもよりも気にしつつ、仕事をした。

定時10分前。あらかた仕事が片付いた頃、急ぎの仕事をお願いされた。こんな日に限って。

でもやるしかない。
『ごめんね、残業することになった。なるべく早く向かえるよう頑張るね。』
メッセージを彼に送り、仕事を迅速に丁寧に終わらせる。

1時間半残業し、業務完了。身支度を秒速で終わらせ、お疲れ様ですと職場を出た。

彼に今から向かう旨を伝え、急いで彼の家へ。

玄関の扉を開けると、鬼の形相の彼。


とにかく謝った。

家に入れてもらい、リビングの端に正座する。
彼は立ったまま、こちらを見ながら口を開く。

「俺の1時間半、どうしてくれるの?」

どうやら彼は、私が残業していた1時間半の間、ただただカレーの入った鍋を見ながらコンロの前で立ち尽くし、私の帰りを待っていたらしい。


いや、何で?
別に好きなことして待ってればいいじゃん。雑誌読んだり、珈琲でも飲んでいればいいじゃない。

そんな反論は彼に通じるはずもない。
だがこちらも出来る事はしたつもりだ。事前に遅れるかもしれないとは念を押しておいたし、随時メッセージも送った。

「俺は一体どうしていればよかったの!?」  

いや、知らんよ。

そこからは罵倒の嵐。私は精神的に追い詰められ人生初の過呼吸になった。ただカレーを食べに来ただけなのに、どうしてこうなる。

ひと通り彼からの罵倒も終わり、私の過呼吸も治まり、私達はカレーを食べた。
その日のカレーの味は全く覚えていない。


この「カレー事件」の後もしばらくお付き合いを続けたが、私からお別れを告げた。
このままだと自分が壊れてしまうと思ったから。もしかすると、既に心は壊れていたのかもしれない。 

ちなみに2人きりで別れ話をする事に身の危険を感じたので、話はカフェで。第三者(年上の共通の知り合いの男性)を挟んでの別れ話をした。

彼に署名させた念書と、その時録音したボイスレコーダーは大切に保管してある。

片手に収まる程度のボイスレコーダーとたった1枚の紙切れ。引き出しに入るサイズの思い出は、私にとってはとても大きな"お荷物"だ。

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