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【夢】 神の話:イタダキサマ

夢を見た。
忘れる前に書き留めておこうと思う。
既に大半は忘れた。

神がいた。
神の姿は、オオサンショウウオに似ていた。
違うところは、色が濁ったような白であることと、頭部のフォルムだと思う。
頭部は形状と言い、大きく横に裂けた様子と言い、むしろ鰐に似ていた。

神はイタダキサマと呼ばれていた。
神には供物が捧げられていた。
と言ってもそんな物騒なものではなく饅頭とか菓子とかそういったものだったようだが、唯一不文律があって、神に一度供えたものは引いてはいけない(とってはいけない)となっていた。供えたものは知らぬうちに消えた。

うちの実家は三十年ほど前に改築して、床の間の間取りを広げているが、夢の中では床の間は改築前の間取りだった。
そして、去年死んだ父が、夢の中ではその床の間で暮らしていた。

父は、欲を出した。
床の間で、イタダキサマに供えた饅頭を引いたのだ。
こんなにいいものを供えるとか勿体無いとか言っていた気がする。

そしてイタダキサマが、這ってきた。
ずるずると、決して速くはなかったが、ふと見ると父に追いついていたようで、ガバァと大きな口を開けて父を食った。
がき、ごり、ぼり、と音がしていた。
私は、イタダキサマの供物に手を出したのだから仕方がないと、冷たく眺めていた。

この後に何があったのだが、夢の内容を忘れてしまった。

が、父が食われた後も、親戚の誰か、従兄弟(どうしても、具体的に誰か思い出せない)あたりが、またしてもイタダキサマの供物を引いた。
イタダキサマが現れて、ずるずると従兄弟に近寄ると、イタダキサマを信じていなかった従兄弟は、バイクに乗って逃げ出した。

イタダキサマは追っていった。
ずるずる、べたべたと、決して速くはないスピードだったが、宵闇の街中で、這いずるイタダキサマを見かけた。

イタダキサマは、供物に手を出していない私たちには無害だったので、イタダキサマが向かい方向に従兄弟がいるのだろうと思ったが、特にすることもなく見ていた。

従兄弟が食われる前に目が覚めたが、従兄弟はそのうち追いつかれただろう。

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