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エミリの小さな包丁   森沢明夫

トップにこんな画像を選んだのは、この物語はこんな背景ではないのかな?なんて思ったからだ。
以前にも読んだことのあるストーリーにも似ているが、じいちゃんがふるまう毎日の料理は、圧巻である。
それを作るのに毎日研いで使う、小さな出刃包丁。

やがてこの包丁は、エミリに手渡され、最後にこれは母からのじいちゃんへの「父の日のプレゼント」だとわかる。

漁港の温かい人達に支えられ生きているかと思えば、聞きたくもないうわさも流される、つらい中でも、いつもじいちゃんは、エミリのそばで暖かく包んで癒してくれる。

”凛”となる じいちゃんの作る風鈴の音とともに、夏は過ぎていく、
そしてエミリは、再び都会へと向かう。

一回りも、二回りも大きくなって生きていくのだろう。

余談ではありますが、この物語を読みながら、自分のじいちゃんを思い出してしまって、涙する。
同じように器用で、料理も上手だった、小さいころは相撲が始まると、膝の上で一緒にテレビを楽しんだ、小学校の時は一緒にのこぎりを使ってケガをした、裏の小屋で暑い夏には、ウナギをさばいていた、台所にもいつも立っていて、左利きで上手に包丁を使っていた、もちろん包丁はいつも研ぎ澄まされていて、切れる包丁だった。

偶然の出会いの本から、この作家のファンになりそうです。

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