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不倫ウイルス

天空アイドルと呼べる存在ほ女性アイドルはAKBグループや坂道シリーズ、ハロプロ、ももクロ、イコノイなどごく一握りしかいない。

地底アイドルというのもなんとなくイメージがつく。例えは悪いが、要は犯罪行為を起こして逮捕された時に肩書きが自称アイドルとかになってしまうような人たちだ。

でも、地上アイドルと地下アイドルの区別を明確に言える人はいないのではないかと思う。

公式のSNSやYouTubeチャンネル以外で音源を見聞きすることができない。
音源をCDやダウンロードで購入できない。ストリーミングサービスで聞くことができないアイドルは地下であることは間違いない。

しかし、メジャーレーベルからCDを出したり、アップルなどの配信サービスに楽曲を提供していても地下アイドルと呼ばれるアイドルも多い。
間もなく解散する26時のマスカレイドや、来春、大幅に体制が変わるまねきケチャもそうだ。

では、チェキ撮影などの接触系イベントを収入源としていればアイドルなのかと言うと、決してそうではない。地下アイドルほどメンバーと親しい関係になれないとはいえ、コロナ前はAKBグループや坂道シリーズが握手会参加券を付けることでCDを売っていたことは周知の事実だ。

となると、地下アイドルの語源となった地下にあることが多いライブハウスで対バンライブをやることが多いアイドルが地下か否かを決定付ける要素なのかということになるが、こうしたグループにはオリコンのデイリーチャートで首位を獲得したことがあるSAY-LAもいる。というか、オリコン上位の常連なのに、彼女たちは自ら地下と名乗っている。

スタダのアイドルで言えば、ももクロは間違いなく天空だ。エビ中やSHACHIは一応、地上扱いされていると思う。でも、とき宣やB.O.L.Tは微妙なポジションだし、ukkaやCROWN POPなんて世間的には地下扱いだと思う。

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そして、民族ハッピー組というグループも立ち位置がよく分からないアイドルだ。

所属レコード会社は日本コロムビアだから、その基準で見ればメジャーアイドルだ。
でも、チェキ撮影やオタクとの交流会、公式サイトでの物販などを収入源にしている、しかも、事務所のスタンスは明らかに金を多く費やしたファンほど偉いといった守銭奴的なものだ。
となると、バリバリの地下アイドルということになるが、そうとも言いきれないんだよね。

何故なら、彼女たちは地下アイドルの主戦場となるライブハウスでの対バンライブには滅多に出演しない。定期公演的なライブが活動の中心だ。
となると、AKBグループの劇場公演みたいなものかなと思ってしまうが、これもまた違う。
それに、AKBグループのようにホールやライブスペース、アリーナクラスの会場を使った単独のコンサートやツアーをやらない。

そして、グループが地下か否かの定義付けをしにくくしている決定的な要因とも言えるのが個々のメンバーのソロ活動が充実しているということだ。

オリジナルメンバーの1人でもある遠矢るいは声優としても活動している。
最年長メンバーの小泉里紗は野球好きアイドルとしても知られ、実際に野球絡みの仕事もしている。
一番知名度のあるメンバーである望月琉叶はソロで演歌歌手としても活動し日本レコード大賞の新人賞にも選ばれているほか、グラビアアイドルとしても活動している。さらに最近は、ボカロ系歌い手としての活動も始めている。

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全然、地下アイドルレベルの活動じゃないんだよね…。

そして、本稿の主人公である馬渕恭子も多彩なソロ活動を展開する民族ハッピー組を象徴するメンバーの1人だ。

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彼女のソロ活動のジャンルは演技だ。

今春上演された劇団バルスキッチン第18回公演『どぎまぎメモリアル』に彼女はバーチャルアイドル役で出演したが、ぶっ飛んだ演技とナチュラルな演技をバランスよく披露していて、知らない人が見たら、彼女がアイドルとは思わないのではないかと感じるほどだった。

そんなわけで、女優としての馬渕先生のポテンシャルを感じている自分としては彼女のスクリーンデビュー作の劇場上映がやっと決まったので、早速見ることにした。

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実際に見てみると、映画デビュー作とは思えないほど安定した演技を見せていたといった感じだった。しかも、本作はなかなか劇場上映が決まらなかった作品だ。つまり、かなり前に撮影された作品ということになるわけで、その頃の彼女は芸能界デビューしてそんなに経っていない頃だったわけだから、その頃から女優適正があったということなのだから驚きでもある。

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繰り返しになってしまうが、彼女が民族ハッピー組のメンバーであること、アイドルであることを知らない人が本作を見たら、無名の新人女優だと思ってしまうんじゃないかという気もする。

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ただ、クレジット上では2番目ということはヒロイン役だと思うが、その割には出番が少ないなと思った。あと、ラブホのベッドシーンでは服をはだけさせることもないし、キスシーンも唇がくっついているところを見せないしということで、半地下的なイメージがあるグループでも、やっぱりアイドルだとそういうのはNGなんだと、ちょっと驚いてしまった。BiSHなら平気でやりそうだけれど、民族ハッピー組はその辺の貞操観念のようなものはあるんだねと思った。

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ストーリー自体についても語っておこう。
やっぱり、コロナを茶化したようなウイルスをネタにした作品だから、どうしても、全体的にコロナは風邪論者の思想が蔓延している感じがして、心から笑って見ることはできなかった。面白いと思うシーンはいくつかあったけれどね。

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それに中国人と思われる外国人からウイルスをうつされるシーンがあるのはどうかと思った。コロナが中国から世界に広まっていったのは事実だけれど、映画でそれを茶化したようなシーンを描くのは人種差別と言われても仕方ないと思う。

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それから、全体的に不倫した人を差別するなというトーンでストーリーが展開していて、不倫ウイルスにかかったフリをして上司を誘惑した総務の女子以外は原則、不倫行為をしてことによる罰を受けていないんだよね。それもどうかと思った。
声優・櫻井孝宏による限りなく結婚詐欺に近い不倫騒動が発覚し、それをアニオタが擁護するという状況となっているが、それに近い、不倫容認文化のように見えて、どうも登場人物に感情移入することができなかった。
不倫ウイルスにかかった夫によって心を傷つけられたヒロインですら、復讐のために、合コンに行こうとしていたわけだしね。

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唯一、感情移入できたのは職場で童貞いじりされていた地下アイドル好きの後輩社員くらいかな。
彼が片思いしていた同期の女子社員(先述の不倫好きの総務の娘)が、真の愛に気付き、このオタクと結ばれれば、まだ、ストーリーに共感できたけれど、これだと単なる不倫讃歌になってしまうからね。

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というか、全体的にヘンテコな設定も含めて、ピンク映画っぽい内容だった。次から次へと、色んな女優が絡んでくるシーンが出てくる展開もそう。濡れ場のないピンク映画って感じかな。

上映時間が80分ちょっと言うのも、ピンク映画を一般映画扱いのR15+指定に再編集したバージョンの尺って感じだしね。 

画の雰囲気も低予算早撮りのピンク映画に近いしね。

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そういえば、不倫ウイルスがかかった人がバッヂをつけているシーンがあったけれど、あれってヘルプマークをネタにしているのかな?
椎名林檎のグッズ問題で炎上したばかりだから、あのような描写はちょっと不快に感じてしまうかな。

それから、マスクをつけている人とつけていない人がいるのもよく分からない。ウイルスが蔓延し、世界中が得体の知れないウイルスに怯えているという設定なら、みんなマスクをしているはずなのに、お見舞いに来た人がマスクをしていなかったりするのはよく分からない。
きちんと、するシーンとしないシーン、するキャラとしないキャラのルール作りをして欲しかったかな。

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まぁ、不満は色々とあるけれど、馬渕先生が可愛いから許せてしまうんだけれどね。
というか、馬渕先生の今後の女優活動も期待したくなるような演技だから、それが見られたことが何より満足だった。

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