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誰も読めない9時間1500円のこれから

朝方にSNSをチェックして驚いた。どうやら、9時間1500円(&DreaMyも兼任)の人気ナンバー1メンバーだったかぷりこが2月29日のライブをもって卒業したようだ。

というか、ここの運営サイドは卒業や脱退という言葉をあまり使いたがらないようだし、誰が抜けて誰が正式メンバーになったといったような人事的な情報を曖昧にする傾向がある。

なので今回の件に関してもはっきりと卒業とはアナウンスされていない。本人や他のメンバー、運営、ファンの言葉を繋げていって、他のグループで言うところの卒業なんだなというのを把握したといったところだ。

メンバー、チェキスタともにコンカフェ出身者が多い上に、チェキスタからメンバーに“昇格”する人も多い。さらに、運営にしろファンにしろ水商売的なやり方を重視しているから、抜ける人間のことはいちいち言及しないという主義なのだろう。

確かに風俗店とかキャバクラなどで、“⚪︎⚪︎嬢は⚫︎⚫︎日をもって退店しますorしました”なんて丁寧に告知する店はあまり見たことがない。せいぜい、そのやめる当事者が自分の日記などで常連客向けにお知らせするくらいだ。

9時間1500円の運営はたまにしか来ない客をある意味見下しているようなところがある。だから、しばらく来ないで卒業ライブの時だけ来る客は客ではないと思っている。そして、全通レベルで通っている“真のファン”にだけ見送ってもらいたいと思っている。そんな考えがあるから、はっきりと該当する公演が卒業ライブだとは告知しなかったのだろう。

慈善事業ではないから、利用回数の多い者を優遇するというのは客商売としては正しいやり方なのだろう。携帯電話や賃貸住宅のように長期利用者ほど冷遇されるシステムの方がおかしいのかも知れない。

でも、特定の地下アイドルのライブの全通なんて難しいし、他にも推しているグループがあったり、アイドル以外の趣味があったり、仕事が忙しかったりすると、そう簡単には行けない。せめて、数ヵ月に1回でも来てくれれば“常連”扱いしてもいいのではないかと個人的には思う。

地下アイドルのライブに行って、記憶力の悪いメンバーだと2日連続で特典会に行っても、2日目に“はじめましてだっけ?”と言ってくるメンバーもいたりするが、一般的には3ヵ月ぶりくらいのスパンでの再訪だと名前は忘れていても顔は覚えているというメンバーが多いので、年に4〜5回見に来てくれる人はファン・客と扱っていいとは思うんだけれど、水商売現場の発想だとそうじゃないんだろうなと思う。

でも、道玄坂69のメンバーが数ヵ月ぶりの再訪でも顔を覚えていたから、全ての水商売従事者がそうだとは思わないが。

話を戻そう。

かぷりこの“卒業”には驚いたが、冷静に考えればもっと早く“卒業”していてもおかしくなかったと思う。伏線はいくつもあったしね。

かぷりこ、ぴんもんという人気・知名度・実力におけるツートップが不在となる時期があった。

その頃、運営サイドから“たとえ人気メンバーでも方針に合わない者にはやめてもらう”といった趣旨のような発言も出ていたし、それと同時に、水着姿でパフォーマンスする透視能力を手に入れた世界線でヲタクがしたい!という名義での活動も始動させていた。

透視能力としての活動にはかぷりこもぴんもんも参加していないことから、運営サイドと色々あったのだろうと想像するのは難くない。

9時間運営は良くも悪くもトライ&エラーというか、スクラップ&ビルドというか、そういうのを繰り返してきた。

極端な話、数週間、現場に参戦しなかっただけでレギュレーションが変わっていて、どうしていいか分からないことも多い。チェキ料金だって、しょっちゅうレギュレーションが変わる。

生誕祭該当メンバーだけトーク時間が短くなるというのはよくあるけれど、ここは該当メンバーは2枚出しが必要になったりするし、水着公演も2枚出しのレギュレーションだ。最近は水着公演が有名オタクの影響でバズったこともあってか、そちらに主体が置かれて通常のレギュレーションのチェキの方が少ないのではという風にも見える。

特典会の細かなレギュレーションの変更以外でも体制の大きな変更が数ヵ月単位で行われている。

元々はコンカフェでの“余興”的なものとしてスタートしたと認識しているが、地下アイドルグループ9時間1500円として正式にデビューしたのは2023年の春だ。

指チューチェキに代表される濃厚接触チェキがネットで話題になり、5月にはアイドルフェス「コトネの日」の投票企画で1位になるなどあっという間にスターダムにのし上がっていった。

しかし、指チューチェキというのは風俗にしか見えない、良く言っても水商売だと思う人が多いのが現状だ。

対バンで共演するアイドルや、その運営、ファンからしたら、風俗嬢やキャバ嬢と一緒にされたくないから、“あそことは共演したくない”という声も出るようになった。

だから、夏ごろからは濃厚接触チェキを封印した別名義の&DreaMyとしての活動を始めることになった(一部メンバーは9時間とは異なる)。

これによって、出演できるイベントは増えた。

でも、9時間の時は濃厚接触という売りがあるが、あんどりの時はそういう独自のセールスポイントがないので普通の地下アイドルになってしまう。だから、濃厚接触目当ての人は消極的な参加になってしまう。

とはいえ、かぷりこは指チューチェキをNGにしていたのにもかかわらず9時間でも人気ナンバー1 だった。というか、オタクはそれほど濃厚接触に興味はなかった。通いはじめて最初の数回は試しにかぷりこ以外のメンバーと濃厚接触チェキをやってみるけれど、それ以降はやらなくなるというのがほとんどだった。まぁ、普通の地下アイドルより密着度は高いから、それだけで満足度は高いというのはあったと思う。

一方、普通の地下アイドルを装うことで出演イベントが増えたことはメンバーにとってもファンにとっても負担となった。

メンバーからすれば体力やスケジュールの問題だ。学校に通ったり、コンカフェの仕事をしながらやっているメンバーも多いからね。

また、ファンにとっても、月20回とか30回とかあるライブに全通レベルで通うのは金銭的にもスケジュール的にも難しい。
しかも、あんどりは特典会人気のあるグループとして認知されているから、対バンだとタイテのトリとかその近くに配置されることが多い。金曜日とか土曜日ならともかく、平日で特典会終わりが22時とか23時になると普通の9to5の仕事をしている人は翌日の仕事に影響するし、早朝勤務の人はそもそも行くのをやめてしまう。夜勤の人だって、仕事前に寄るにはちょっと余裕のないスケジュールだ。

こうした夜遅くまで行われる対バンライブの問題はここの運営というよりかは、ハコやイベント主催の金銭的事情によるものも大きいとは思うが、それでも、ファンの負担が増えたことは間違いないだろう。

そして、そうした“苦労”を分かっているからこそ、運営は全通レベルで通う人を優遇するレギュレーションを次々と提示するようになった。

でも、これはさらにメンバーにもファンにも負担を与える結果となった。メンバーはベビーユーザー向け特典のオフ会に顔を出さなければならないし、ファンはファンで出費が増える。

そこで、運営が新たに打ち出したのが今年に入ってから始動した水着ユニット・透視能力〜だ。

結局、ここに求められているのは下世話なものであり、普通の地下アイドルっぽいものではないんだよという開き直りとも言えるプロジェクトだ。

そして、水着という付加価値を付けたことによりり、チェキ券2枚出しで通常の1枚と同じというレギュレーションに変更しても文句を言われにくい雰囲気を作った。
これで、個々のメンバーが相手にするファンの数=負担を減らすことができ、なおかつ、9時間やあんどりレベルのチェキ収入を確保することができる見通しが立ったということだ。

そして、この透視能力が話題になると、今度はあんどりの存在価値がなくなってしまった。
あんどりの人気上位メンバー以外は水着姿のパフォーマンスを見られるし、濃厚接触ではないものの水着姿のメンバーとチェキを撮ることもできる。ぶっちゃけ、指チューチェキは1〜2度撮ればもういいやだが、水着ならそう簡単には飽きない。それにメンバーによってはかなり密着してくる人もいる。

一方、透視能力に参加しないメンバーの中にはぴんもんのように指チューなど濃厚接触チェキで有名になったメンバーもいる。
おそらく、指チューはOKでも(口を直接つけているわけでもないし)、水着というほとんど裸に近い格好で踊るのはポロリの可能性もあるし、それでファンと密着するのは完全に風俗だし、ここを抜けた後の活動にも影響するから避けたいというのが本音なのだろう。

だから、透視能力に参加しないメンバーは、ここ最近、縮小傾向にあった9時間としての活動がメインになった。

かぷりこは元々、指チューNGメンバーだった。何故、濃厚接触を売りにしているグループなのに、NGメンバーがいるのか最初は理解できなかったが、パフォーマンス面でもビジュアル面でも必要なメンバーだったということなのだろう。勿論、人気もある。だから、特別扱いが許された。

でも、現在は水着ユニットの透視能力が活動の主体となりつつある。9時間は濃厚接触を売りにしていても服をきちんと着ていたから、指チューNGのかぷりこでも居場所があったし、指チューNGでも体は密着させてきたし、話しやすさもあったから、オタクは満足できた。

しかし、水着姿での活動が主体となると、水着にならないメンバーの存在価値は何?となってくる。指チュー対応するか否かはたいした差にならないが、水着になるか否かはかなりの差だからね。かぷりこの欠席が目立ち、最終的に“卒業”となったのはそういうことで自分の立ち位置に悩んでいたのだろう。

ぴんもんが一時期不在だったのもかぷりこと似たような思いがあったのかも知れない。

運営サイドは水着ユニットは試しにネタ的にやるつもりだったのだろうが、有名オタクのSNSのおかげで想像以上にバズってしまった。

本来なら、例によって数ヵ月やってフェイドアウトさせるつもりだったのかも知れないが、バズったため、そうも行かなくなった。
となると、今後、ますます水着にならないメンバーは迷うことになる。ぴんもんなんて、ここ以外のところでアイドルをやっていても、間違いなく注目される逸材だから、正直なところ飼い殺しに近い今の状態はあまり良いものとは思えない。

勿論、運営サイドも水着人気なんて一時的なものだと思っているはずだ。とはいえ、“世間”がここに求めているのは下世話なものであり、あんどり的な一般地下アイドルのフリをしたユニットにそれほど興味を持っていないことも分かった。

しかし、水着姿のパフォーマンスというのは個々のメンバーの負担、特にメンタル面の負担は指チュー以上だと思う。

どこかのタイミングで新たな展開にせざるを得ないと思うのだが、果たして、それがぴんもんの居場所があるものになるのか、あるいは、かぷりこが復帰しやすいものになるのか、それとも、9時間や透視能力よりもさらに下世話になるのか。全く先が読めないのが実情だろう。

地下アイドル業界は現在、飽和状態だ。チケット代、ドリンク代、チェキ代、いずれもファンからすれば適正価格とは思えない。高すぎると言える。一方、ハコやイベント主催、アイドル運営からすればこれでも収入は少ないとなる。

また、FRUITS ZIPPERやiLiFE!のような従来の半地下・地下アイドルとは異なるファン層に支持されるグループの人気が高まっている。高嶺のなでしこや指原系だが≒JOYもファン層的にはこの辺に近いのかも知れない。

おそらく、近いうちに半地下・地下アイドル業界は、ファンやグループのみならず、ハコやイベンターも含めて大幅な再編を余儀なくされると思う。

その時に9時間運営がどのような手を打ってくるかは楽しみだ。運営サイドの独裁的なモノの言い方は正直なところ、文系・スクールカースト下層出身の自分には受け入れられないが、時代を読む力とビジネスセンスはあると思う。

現在は過渡期だと思うので、来年、再来年辺りにどうなっているか、それを見るのが楽しみだ。









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