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8年間のインスピレーショントリップを振り返って

半年に渡って、2012年から2019年まで8年間のインピレーショントリップのの様子を26話のエッセイとして綴って来ました。

グローバル企業の影響を受けて、顧客の購買行動、ショッピング環境、流通そのものが変わることに好奇心を持ち・・・

2012年、僕が夏の海外渡航=インピレーショントリップを始めたきっかけは・・・

トレンドファッションを誰もが手の届く価格で販売する「ファストファッション」というビジネスモデルによって世界で「ファッションの民主化」を進めるH&Mの存在でした。

僕が初めてH&Mに遭遇して度肝を抜かれたのは2000年、ニューヨークでしたが、その後、H&Mは2008年に東京銀座に日本1号店を開業し、2012年、同社絶好調の最中での気づきを振り返ってまとめた上記投稿からスタートします。

8年間で訪ねた都市

2012年から2019年までの渡航先は以下の通りです。毎回、視察テーマを設定して、下調べをした上で訪問しています。

2012年 パリ、バルセロナ、ロンドン 

2013年 ロサンゼルス、ニューヨーク

2014年 香港、ア・コルーニャ(スペイン)

2015年 ロンドン、ストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲン 

2016年 シンガポール 

2017年 ロンドン、アントワープ(ベルギー) 

2018年 ロサンゼルス、シアトル、ポートランド 

2019年 ロンドン、ヘルシンキ、タリン(エストニア)
    杭州(中国)

のべ21拠点、うちロンドンが4回、ロサンゼルス2回、ヘルシンキ2回のため、16都市を旅して周りました。この中に気になる都市があれば、是非、過去の投稿をお読みいただければ幸いです。

グローバルパワーで迫るH&Mとローカルチェーンの対応

当初、欧米アジアの各都市では、「グローバル資本主義」による「ファッションの民主化」を強みにするH&Mの圧勝を確認しましたが・・・

その後、ファッションビジネスにおいて、一枚上手であるZARAの柔軟性や未来への持続可能性を「ユニクロ対ZARA」の、取材を通じて知り

価格の安さについて言えば、日本ではまだ見ぬ強豪、プライマークの存在に、ロンドンで圧倒されたものでした。

一方、早くから「ファストファッション」の洗礼を受けたアメリカでは、ファッションの関心事は、服のトレンドや価格一辺倒から、より内面のビューティーへ、そしてライフスタイルへ、と移行して行きます。

ショッピングのデジタルシフト

米アマゾンが世界で牽引するEコマースによる購買行動の変化とショッピングのデジタルシフトの影響により・・・

英米でチェーンストアがオムニチャネルの対抗策として、オンライン注文の店舗受け取りサービスである、「クリック&コレクト(英)」や「ストアピックアップ(米)」が進み、

更に、アメリカではamazon go、amazon books、Nike、中国ではアリババ、テンセントらによるオンライン活用のリテール・イノベーションは・・・顧客のスマホを使った「イン・ストア・モード(スマホによる店舗体験の拡張機能)」によるショッピングストレス(ペイン)の解消へと進んでいることを知りました。

ファストファッションの潮目が変わった転換点

この間、ファッション流通革新の終着点かと思われたファストファッションの功罪として、大量生産、大量販売がファッション商品の陳腐化を早め、サプライチェーンの歪みや大量廃棄が問題視され始めます。

その転機は

2013年のバングラデシュ、ラナ・プラザ崩壊の大惨事であったり、

2015年9月に国連で採択されたSDGsあたりだったでしょうか?

大手チェーン、欧州企業は特に、もともとサステナブル(持続可能な)経営には取り組んでいましたが、更に意識しなければならなくなったと思います。

実は、H&Mが2015年の決算を境に、売上高は伸びていても、営業利益高が伸びない、つまり、ピークアウトの状態が続いています。(僕の知見からすると、営業利益高のピークアウトはその企業や事業が成長期から成熟期に入ったことを意味します)

ファストファッションの功罪

ファストファッションは、トレンドファッションを誰もが手の届く価格で提供する流通革新でしたが、一方、ファッションの陳腐化を早め、顧客のクローゼットを溢れさせてしまい、フリマなどの転売ならまだしも、大量廃棄の要因をつくってしまったことは否めません。

企業には、供給の一方で、それらを受け止め、顧客の上手なクローゼットの循環をお手伝いする役割が求められるでしょう。

それが、昨今の大手各社のサステナブル経営への取り組み、その中でも、ファッション企業にとっては、顧客を巻き込んだサーキュラー・エコノミーへの取り組みが活発化すると思います。

ショッピングのデジタルシフトの先にあるもの、効率化で得た時間を顧客は何に使うのか?

また、アマゾンが牽引した世界的なEコマースの普及やデジタルシフトによって効率化したショッピングやライフスタイルから創出される時間。顧客にとって、その先には一体、何があるのか?という議論があります。

僕は、「(その時間を)もっと大切なことに使う、人間らしさを取り戻すことに使う。」だと思っています。

つまり、デジタル・トランスフォーメーションの行き着く先は、ずばり、「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」だと。

これは、僕がアメリカのポートランドやフィンランドのヘルシンキやエストニアのタリンで感じたことです。

以上が僕の8年間のインスピレーショントリップの一旦のまとめになります。

これらのインスピレーションを受けて・・・

世界的なパンデミックが収束し、次の旅に出かけれるようになるまでは、しばらく、ファストファッション浸透後の「サーキュラー・エコノミー」、そしてショッピングのデジタルトランスフォーメーションが定着するアフターデジタル世界の「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」に関心を持って、アンテナを立てて、インプットを続け、それらのテーマを中心にこのnoteを更新して行きたいと思っています。

引き続き、お付きあい頂ければ幸いです♪



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