読後感「コーチングよりも大切なカウンセリングの技術」
ピープルマネジメント系の本を月に1冊程度は読んでいるのですが、久しぶりに、しっくりきて、分かりやすく、他の方にもオススメできる、という3拍子揃った本に出合うことが出来たので、noteを書いてみます。
こんな方にオススメです。
1on1でメンバーの本音が引き出せない
傾聴の仕方をもう少し具体的に知りたい
傾聴を意識して実践しているつもりだが、次のステップに進めている実感がない
なお、本書では、コーチングとカウンセリングは重なる部分も多いですが、あえてカウンセリングを切り出して対比しています(と私は捉えています)。
結論から
カウンセリング、コーチング、ティーチングの違いを、筆者はこう表しています。
ふむふむ、なるほどねと。まぁ分かりましたよと。
でも、「え?問題解決しなくていいの?」と思いませんか?私は思いました。
これまで私は、1on1においては、メンバーに何かしらの気づきを得てもらうために傾聴や対話が重要だと考えてきました。
それも全ては、その先の課題解決や目標達成をするための1つの手段だと、考えていました。
ところが、本書では、カウンセリングの目的は、課題解決や目標達成ではないと断言しています。
筆者は、カウンセリングの目的は、クライアントが「自分は、心の底から、これで良いのだ」と受容されていると実感するところにあると言っています。
中々に興味深いです。
もう少し整理すると
本書では、様々な場面で、カウンセリングと、コーチング、ティーチングを対比していますが、私なりに整理したものが以下の図です。
冒頭でも、主体や目的の違いを書きましたが、もう1つ重要なのがアプローチの違いです。
人間の脳は、右脳が主に感情を、左脳が主に論理を担っています。
カウンセリングにおいて訴えかける先は感情であって、右脳を使って会話するのがカウンセリングであるということです。
人間は右脳と左脳を同時に使うことは出来ないので、カウンセリングを用いて対話する時は、分析など左脳に訴える論理的な話はしない方が良いということです。
コーチングは、右脳(感情)に働きかける場面もありますが、ゴールは問題解決なので、話を収束する時はどうしても左脳(論理)を使う話が入ってきてしまいます。
この左脳的会話を我慢し、右脳つまり感情に訴える会話を通して、本人が自己受容されていると実感できることが、カウンセリングのキモのようです。
分かったようで分かってない、かも。
受容されることがなぜ良いのか
本書では、アドラー心理学ついても何回か触れられています。
アドラー心理学によれば、人間は「所属」が満たされないと劣等感を覚える生き物だとのことです。
「所属」が満たされないと、人は不安に悩まされ、争いを起こします。
反対に、「所属」が満たされると、自分の居場所が確保出来て安心する、いわゆる心理的安全性が保たれていると実感できるようです。
カウンセリングでは、徹底的にその人を受容することで、「所属」の欲求を満たし、心理的安全性を確保することに重きが置かれています。
全てはそこから始まるということを、筆者は伝えています。
その他
本書では、カウンセリングを実際に行うためのステップや、具体的手法、カウンセリングの大家の研究内容も書かれていますが、そこは本書をぜひ手に取ってごらんいただければと思います。
1つだけご紹介すると、個人的には「バイスティックの7原則」というものがすぐ実践できそうだなと思い、メモを取りました。
カウンセリングの手法だけあって、本書で紹介されている言葉を検索すると、医療・介護関係のリンクが多く紹介されるのもまた新たな発見でした。
カウンセリングに興味のある方とお話してみたいです。もしよければtwitterでお声がけください。それでは。
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