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新刊告知 : 「神様ガチャという名の三題噺」

 このたび、私の知友でテニス仲間、そして自称「16歳美少女」の、
三原みぱぱさん責任編集で、

「神様ガチャという名の三題噺」

というアンソロジーが出ました。パチパチパチパチ。


神様ガチャという名の三題噺


神様ガチャ、とは、みぱぱさんや、本アンソロのトリを飾るちぇりさんらが主催している、ネット作家同士のツイキャス番組での参加型イベント。

まず、参加者各自が、作りたい物語についての、
 ・テーマ、場所
 ・キャラクター
 ・ジャンル
を持ち寄り、それをガチャにかけ、強制的にそれぞれ割り振る、という鬼のようなゲームです。

もともと、
 「戦国」
 「真田十勇士」
 「バトルアクション」
を描きたいと思って参加したら、なぜか、
 「異世界」
 「ちょっと寂しがりやのヤンキー美少女」
 「ラブコメ」
で書かなければならなくなる・・・可能性もじゅうぶんにあります(合掌

ツイキャスでは、しかもほぼリアルタイムにやるので、時間的な余裕もありません。振られたネタで、すぐに物語の構成、展開を考え、描き始めなければ間に合わないのです。

なんというミパパズ・ブートキャンプ状態・・・最初、聞くだけ参加で恐れ慄いていた私ですが、そのうち何度か参加もさせていただき、都度、みぱぱさんやちぇりさんたちが持つ、ゼロコンマ数秒の作劇瞬発力、そして無限の引き出しの多さに、ただ唸ることしきりだったわけです。

そして、この本。

©︎ ジンパパさん(無断転載)



さすがにリアルタイムではありませんが、上記「神様ガチャ」の紙本版です。

参加者は、みぱぱ+ちぇり、の両巨頭をはじめ、ネット小説界を荒らし回る精鋭12名。若い女子からワイのようなおっさんまで、いろいろゴッタ煮参加の創作坩堝。

さあ、はじまりはじまり・・・
 (以下、簡単な内容紹介・【】内がガチャ項目・作者敬称略)


1 
「君と空に浮かぶ幽霊船」  三原みぱぱ
【 幽霊船 / 黒猫 / ファンタジー 】

10年に一度だけ現れる謎の空中幽霊船に乗り込んだリオと人形の冒険譚。独自の法則で動く異世界を舞台にした、フワリとした手触りのファンタジーですが、柔らかな表現のあちこちにしこたま毒を塗った棘が隠されていそうで、とても魅力的です。てか、作者ぜったいに16歳美少女じゃないだろ。



「吾輩は猫である。名前はまだナイ」  朝比奈架音
【 宇宙 / 猫 / グルメもの 】

にゃんずに限らずきっとペット愛好家ならわかる(?)、避け得ない別れとその後を描いた感動作品。作品全体がゆるい輪廻のリズム(?)に乗っていて、ゆったりと流れる時間を味わうことができます。奥の深いラブリイファンタジー。



「魔法少女探偵まりんちゃん」  とんこつ毬藻
【 イオンモールにある子供の遊び場 / 魔法少女 / ミステリー 】

魔法少女とミステリーという、なにげに鬼のようなガチャに正面から挑んだ作品。そのまんまなイオンモールの一角で(ひょっとしてプロダクトプレイスメントとかならわらうw)、ヒリヒリするような駆け引きが展開されます・・・そして、これ、ひょっとしてシリーズ化を睨んだクリフハンガー!? 最初から最後まで目が離せないワクドキな一編。



「モグラは知っている」  井戸正善
【 テニスコート / モグラ / 異世界転生・転移 】

ごりっとした正統派剣戟小説「あしでまとい 御城下の秘技」で知られる筆者の異世界転生もの。転生前はテニスコートでモグラと会話していた不思議少女が、中世ナーロッパ的な異世界でなぜかいきなり貴族同士の決闘の審判をするという内容。「モグラを選んだ人に猛省を促す」という事前コメントに爆笑しますが、アクロバティックな構成の、しかしきちんとした剣戟になっているのが流石のプロ技。



「家に帰ったら妻が殺されていた件」  秋月真鳥
【 電脳空間 / 探偵 / ラブコメ 】

これ、作りやすそうで作りにくい、実はけっこう厳しいお題だと思います(当たらんでよかった)。電脳から始めずに探偵のシチュエーションから描きこむことでスムースにミッションクリアした、作者の才気を感じる作品。関西弁使用で全体のトーンを調整するところなども流石。そしてオチが俺好みの例のやつw てか秋月さん久しぶりです。



「時の海をまたぐ人魚は美しいものが好き」  魚住真琴
【 サイバーパンクな近未来 / 人外 / 童話風 】

筆者も言う通り、これもかなりなトンデモお題。しかしストーリーや展開に凝らず、自由なイメージを膨らませ、その世界の中で楽しく遊ぶことで作中の人魚のように悠々とミッションクリア。童話本来のもつ微妙な禍々しさが、サイバーパンク要素と直接結びついているのが個人的にポイント高。なんとなくハーラン・エリスンの雰囲気を思い出しました。



「Bear Blossom」  しあゆう
【 桜 / 熊 / カーレース 】

桜舞い散る平和な森の中で、父親を亡くしたクマくんが、親友のリス君そしてロバおじさんと協力しながら、エンジンの音轟々と(←むかしの軍歌やw)カーレースに参加、悪の紫車と対決する、というどストレートな豪速球。ネット作家は途中でどこかヒネろうとする人が多いと思うのですが、この作品は徹頭徹尾、剛球一本勝負。平易な言葉使いは書き手としても大いに勉強になります。
そういえば最近、熊が車を襲う動画をYoutubeなどで見かけますが、その裏にはこんな切ないストーリーがあったのですね(ないです)。



「慈愛富国」  夜怜奈
【 魔法学園 / お母さん / スパイアクション 】

ぶっちゃけ、魔法の類が苦手な私には、最初やや難解な作品でした。いえ、文章も表現も平易でカラフル、とっても読みやすく、わからない訳が無いのですが、なぜか、作中で語られるキラキラした貴族の異世界に入っていくことがなかなか困難だったのです。しかし、その理由がわかりました。「皇子」を「息子」と読み間違え、脳内で登場人物の相関関係が整理できず、ぐちゃぐちゃになっていたからでした・・・老眼のやつめ・・・お話は素敵だお!



「ウルフ・パウダー」  早川隆
【 映画館 / 忍者 / ハードボイルド 】

第二次世界大戦の開戦直前、アメリカ・デトロイトの裏寂れた映画館を舞台にしたハードボイルドな忍者アクション(お題のまんま)。おばか小説ですが、実在した日本人アジテーター中根中や疋田保一たちの活動をモデルにしています。いくつか、名作ハードボイルド小説や映画のパロディも織り込んでます。短いから、まあ、読んでみて!


10
「Stain of the journey」  RS世代
【 豪華客船 / 100歳のお婆ちゃんまで生きた前世の記憶がある3歳児 / 安楽椅子探偵 】

まあ、本当にワードを提案した人(と、それを認めた人 → みぱぱさん)に猛省を促したくなるような無理矢理ワードですw とっても冷たいアゲインストな海風が吹くなか、よう描き切りましたこんな本格密室ミステリーを。作者の、土壇場での力量に対し心から拍手です。なぜか、刑事コロンボ「歌声が消えた海」や名作映画「ある日どこかで」などの昔の映像作品を思い出すテイストです。


11
「穀雨の巫女」  潯薫(ジンパパ)
【 春の長雨 / 巫女さん / 旅 】

ネット小説界の実力派、そしてズルさでも有名な作者が、拙作2作とネタをわざと被らせ、全力で早川隆を殴りに来た挑戦的問題作!くそう、とばかりに読み進めてみたら、拙作にはない豊穣な世界観によるみずみずしい桶狭間外史が展開され、つい殴られっ放しになってしまった次第・・・
ジンパパうまい!そしてやっぱ、ズルい!


12
「夜明けのイロハ」  ちぇり
【 空 / 最近会社を辞めた人 / 冒険活劇 】

もう、この御大には全くスキがありません。説明不要。「最近会社を辞めた人」の処理も素敵です。とにかく読んでください!


・・・というわけで、これら珠玉の12編をガチャッとパッケージにした
「神様ガチャという名の三題噺」
ですが、5月19日日曜日、文学フリマ東京の、「神ガチャ文庫」ブースにて販売されます。

場所はココ! ©︎ ジンパパさん(無断転載)


現地には、三原みぱぱさん(16歳美少女)、そして潯薫(ジンパパ)さんもおられます。


とりあえず現在は紙本のみのようですが、

 ・他の地域の文フリにも売りに来やがれ
 ・さっさと電子化しやがれ

などというご要望・圧に関しては・・・

すべて、
三原みぱぱさん(16歳美少女)
にお寄せください !!



どうか、よろしくお願いいたします! (・∀・)


追記:
素敵なファンシーイラストは、
きな子 さん
によるものです

・・・こんな素敵なイラストのアンソロジーに、まあ、一言でまとめると、ウンコの話を投げ込んだりしてすいませんでした(血涙

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