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卵が先か、コーヒーが先か

私はほぼ毎日と言っていいほどコーヒーを飲んでいる。
喫茶店やレストランなどに座って飲むこともあるが、もっぱら移動中や仕事中がほとんどであり、タバコをやめた今となっては口寂しさを紛らわすにはもってこいなのである。

その日もいつも通り、ホームにあるサントリーの自販機で140円の缶コーヒーを買い、片道30分の通勤電車に乗り込んだ。今日は運良くボックス席が空いていたのでそこに座る。車窓から新緑が広がりつつある山々を眺めながら飲むのは、都会では味わえないちょっとした贅沢だ。ぼんやりと眺めながら物思いに耽るのが、私の日課になっていた。

そこでふと、先日同僚と話した話題を思い出した。それは「あさごはんをどうたべるのか」といったことで、彼はきちんとご飯を食べてくるそうだが、一方で私はほとんど食べずに来ることが多い。しかしその日の話題のほとんどは何を食べるかではなく、どの順番で食べるかといったことであった。

パン、卵、ソーセージ、コーヒーといったよくある朝食があるとしよう。果たしてどの順番で食べるのが正解なのだろうか。
私は卵を最初に食べ、それからパン、ソーセージ、最後にコーヒーを飲むといった順番で、ほとんどの人がこのスタイルだと信じて疑わなかった。しかし彼はまずコーヒーを飲むのだという。なんでも和食ではまず味噌汁を飲んでから食べるのが良いと聞いたことに由来するらしい。だからなんだということなのだが、どうやらそれが良いらしいのである。

まるで「卵が先かニワトリが先か論争」のようであったが、両立しうる問題であるからこそおそらく論争にはならないのではないだろうか、などとぼんやり考えていたらいつの間にやら到着していた。とりあえず次の休みの日には彼のいう通りにやってみようと思い、席を立った。

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