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90年代の音楽を知らないアナタへ その47 ANOTHER SAD LOVE SONG(93)/TONI BRAXTON もうこれは歌謡曲!だから大好きなんだ。

トニブラクストンの初のシングルヒットとして知られるこの曲。デビュー曲だと思っている人が多いと思うけど、実はファーストアルバムからのセカンドシングルとしてリリースされている。ファーストシングルは映画「ブーメラン」サントラに収録されていた「LOVE SHOULDA BROUGHT YOU HOME」で、さらにいうと同サントラに入っていたベビーフェイスとのデュエット「GIVE U MY HEART」という曲がキャリアのスタートとして知られている。

わたしはこの曲がヒットしていた頃は中学2年生。ネットが無い時代に唯一アメリカの音楽チャートが把握できるラジオや深夜テレビをかじりつくようにして見ていた時期。ラジオからふと流れてきた、雨音がポツ、ポツと落ちたような特徴的なイントロと、思春期の男の子のような中世的な彼女の声に一気に引き込まれていった。その年に新人として現れたトニブラクストンとの馴れ初めである。先出しの2枚のシングルはリリース当初は中ヒットに終わったが、「ANOTHER〜」のヒットを受けて遡って改めてヒットしたという面白いエピソードもある。

「ANOTHER SAD LOVE SONG」は曲の良さはもちろん、何よりもラジオフレンドリーだった。誰もが口ずさめる分かり易いメロディと、Aメロ、Bメロ、サビ、ブリッジ、大サビというように歌謡曲のような王道な作り。トニの歌唱も、ソウルフルだけど、どこか演歌調のようで日本人にはきっと耳馴染みがあるはず。

しっかり歌を語り、きかせてくれるという意味でトニブラクストンは同じ世代の歌手の中でもいまとなっては貴重なひとりといえる。今だにファーストアルバムを何度も繰り返し聴く機会が多いのは、いま新しい世代に「歌をしっかり歌う」ことができる歌手が居ないからなんだろうなと、ひとり時代にくすぶっている。

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