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【ユミル】日本とはビビるほど違う!?世界となった原初の巨人のお話【北欧神話】

どーも、たかしーのです。

今回は北欧の神話に登場する『ユミル』について、書いていきたいと思います!

その中で、天地創造の話が登場しますが、日本神話のイザナギイザナミが成した国造りとは、全くもって内容が異なり、とても興味深いので、まずこちらの記事を先に読んでおくとよいかと思います。

そもそも北欧神話とは?

北ゲルマン民族の信仰に基づく神話のこと

北欧神話とは、キリスト教化される前のゲルマン人の信仰に基づくゲルマン神話の一種で、スカンディナビアに位置するノルウェースウェーデンデンマーク、それとアイスランドおよびフェロー諸島に伝わっていたものの総称を指します。
※これら諸国の近くにフィンランドがありますが、北欧神話とは別の神話(フィンランド神話)が伝わっていたとされています。

スカンディナビア
by Hayden120(wikipediaより)

この地域に古くから住む北ゲルマン民族により信仰されてきた神話であり、13世紀にアイルランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンによって文字により記録がされるまでは、詩の形で口承(こうしょう/口づてに伝承する)により代々伝えられてきました。

北欧神話の原典「エッダ」「サガ」

北欧神話の主な原典とされるのが「エッダ」と呼ばれる詩篇です。

エッダ」は大きく分けて、2種類あります。

  • スノッリのエッダ』・・・アイルランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンが著した詩の教本。新エッダとも呼ばれる。

  • 古エッダ』・・・『スノッリのエッダ』の元となった本。この本から引用されている詩や、同じ内容を物語る詩が多く含まれている。詩のエッダとも呼ばれる。

どちらの文献にも、北ゲルマン民族の神話が、古ノルド語(古アイスランド語)で、詩の形式でまとめ上げられています。

『スノッリのエッダ』の表紙(wikipediaより抜粋)

また、「エッダ」とともに、北欧神話の原典とされるのが「サガ(サーガ)」です。

「サガ」とは、散文形式の長編文学のことで、神話を中心とした「エッダ」に対し、ノルウェーやアイスランドで起きた歴史的な出来事を中心としています。
例えば、歴代のノルウェー王の伝記といった話が、古ノルド語で、散文の形式で書かれたりしています。

ちなみに、この「サガ」という言葉は、古ノルド語の”segja”から派生した言葉であり、「語り物」「物語」を意味します。
※古ノルド語”segja”は、本来は「言う」という意味があり、英語の"say"に相当する動詞とのことです。

現代においても「○○・サガ」「○○・サーガ」という作品をよく目にするのは、この「サガ」になぞらえて、長編フィクション作品のことをそう名付けることが多いからだそうです。


今回は、そんな原典の中から「エッダ」(『スノッリのエッダ』)に登場するユミルについて、紹介をしていきます!(ちなみに、ちょいグロです…)

ユミルが登場するまで

天地が創造される前は大きな裂け目と氷と炎しかなかった

天地が創造される前。
そこには、ただギンヌンガガプと呼ばれる巨大で空虚な裂け目が存在していました。

ギンヌンガガプの北には、ニヴルヘイムと呼ばれる冷たい氷の国が、
ギンヌンガガプの南には、ムスペルヘイムと呼ばれる熱い炎の国が、ありました。

ユミルの両親は氷と炎!?

ニヴルヘイム(氷の国)には、フヴェルゲルミルと呼ばれるがありました。その泉の水は、ニヴルヘイムのあまりの寒さに凍りつき、やがてとなって、ギンヌンガガプ(裂け目)の底へと落ちていきました。

落ちていった氷は、年月とともに大きくなり、氷山となりました。
やがて、氷山は、ギンヌンガガプ(裂け目)の入り口に届くほどの大きさにまで、成長しました。

そこに、ムスペルヘイム(炎の国)の熱風が吹き付けられ、氷山を溶かしてしまいます。

溶けた氷山からは、がぼたぼたと滴り落ちます。
その雫には生命が宿り、やがて人の形へと変わっていきます。

こうして、誕生したのが、原初の巨人とされるユミルです!
ちなみに、ユミルは男でもあり女でもあったとされています。

ユミルが巨人族を産むまで

牛乳をダイレクトに摂取して育つユミル

このユミルと同じく雫から生まれてきた生き物がいました。
それが、アウズンブラという雌牛(メスの牛)です。

ユミルは、このアウズンブラの乳を飲み、大きく育ちます。
(絵で見るとわかりますが、ダイレクトで飲んでいます…)

アウズンブラの乳を飲むユミル(wikipediaより抜粋)

氷塊から生まれた原初の神ブーリ

そんなアウズンブラはというと、氷を覆う霜を舐め、それを食事として過ごしていました。

ある日、アウズンブラがいつものように霜を舐めていると、氷の塊の中から神様が現れました。
この人物こそ、北欧神話で最初に生まれた神・ブーリです!

氷の塊からブーリを舐め出しているアウズンブラ(wikipediaより抜粋)

大家族となったユミルファミリー

その頃、ユミルはというと、数々の巨人たちを次々と世に産み出していました。

ある日、ユミルが眠った時に、左脇からかいた汗が、男と女の巨人となって、産まれます。(関係ないけど、産まれた場所が老子とおんなじや…)

また、そこから足を交差させると、その両足から(えっ?)6つの頭を持つ怪物が産まれました。(えええっ...?)
そして、その息子が、この後のお話にも登場する巨人ペルゲルミルとなります。

こうして、ユミルの息子や娘、孫たちが次々と誕生し、これが巨人族となっていきます。

ブーリの孫 最高神オーディン爆誕!

一方で、氷の塊から舐め出されたブーリはというと、ボルという男の神を産んでいました(どうやって産んだのかは謎…)

そして、そのボルは、巨人族の女性であるベルトラと結婚し、そこから3人の男の神々が産まれることになります。

この神々が、オーディン、ヴィリ、ヴェーとなります!
オーディンは、北欧神話では最高神とされています。
なんと、神と巨人の子だったんですねぇ!

ちなみに、このオーディンを長とする神々のことを「アース神族」と呼びます。

わかりづらいので家系図にしてみました

登場人物が急に多くなったので、ここまでを家系図にしてみました。

こうしてみると、アウズンブラだけ、神でもなく巨人でもなくなのがジワりますねぇ。

ユミルが世界となるまで

激突!アース神族 VS 霜の巨人

神々であるアース神族から見て、巨人族は狂暴で野蛮な存在でした。
そのため、神々は巨人族を「霜の巨人」と呼ぶようになりました。

やがて、神と巨人は対立し、とうとう戦うこととなりました。

霜の巨人を率いた原初の巨人ユミルでしたが、アース神族の力は強く、とうとうオーディン3兄弟の手によって、殺されてしまいました。

オーディン・ヴィリ・ヴェーによるユミルの殺害(wikipediaより抜粋)

霜の巨人ほぼ全滅…運ばれるユミル…

ユミルの体があまりにも大きかったため、戦いによって流れた血が、やがて大洪水へと発展していきます。

この大洪水は、霜の巨人たちを次々と飲み込み、そのほとんどを溺死に。
唯一生き残ったのは、ユミルの孫にあたるペルゲルミルとその妻だけでした。
この2人は、その後、箱舟に乗って洪水を逃れ、霜の巨人の新たな祖先となって、神々への復讐を誓うことになります。

その一方で、ユミルを倒したオーディン3兄弟ですが、その亡骸をギンヌンガガプ(裂け目)へと運びます。

で、何をしたかというと、

なんと、ユミルの体で、天地創造を行ったのです!

ユミル、世界になる!

具体的に何をしたのかというと、
あまりに大きなユミルの体をバラバラにして…

  • ユミルの・・・大地

  • ユミルの血液・・・

  • ユミルの骨・・・岩

  • ユミルの歯と顎・・・小さな石

  • ユミルの髪の毛・・・草

に変えました(めっちゃグロすぎる…)

そして、ユミルの頭蓋骨天空を作り、そこにユミルの脳みそを散りばめてを作りました。(ひえっ….)

さらに、ムスペルヘイム(炎の国)から飛んでくる火花をつかまえ、空にまいて、太陽を作りました。(そこはユミルちゃうんかい!)

こうして、このオーディン3兄弟の手により、ユミルは世界へと姿を変えられ、天地創造がなされた、という、なんともショッキングな展開から、北欧神話の物語が始まります。

おわりに

日本の神話とはビビるほど、世界の始まり方が全く違ったかと思います。

思えば、北欧神話が伝わっていた国々は、水曜どうでしょうの企画でも紹介がされていましたが、広大で美しく、豊かな自然の風景が多いことから、まさに神話でも、そんな世界観が表現されていたように、感じました。

また、これはトリビアなのですが、「ユミル」は古ノルド語で書くと”Ymir”となりますが、これはインド神話に登場するヤマ、仏教に登場する閻魔の起源なんだそうです!(ビックリ)
北欧神話→インド神話→仏教の順で伝わったとされています。

今回は、北欧神話だけでなく、他にも神話や宗教にも影響を与えた原初の巨人ユミルのお話でした!

他にも、この歴史上の人物神話などをベースに、記事を書いていく予定ですので、是非フォローなどしてもらえるとありがたいです!

それでは!

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