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実は、アートの村だと思う。

表題通り。

私は博物館と出会った当初から、
ずーーーーーーーーっと旧春日村はアートが点在する地区だと思っている。


かすがモリモリ村リフレッシュ館の建築は、全く知られていないが、実は元・多摩美術大学美術学部建築学科教授の故・毛綱毅曠氏による設計。
毛綱氏は、「使いやすさ」といった機能性よりも、「天・地・人」「乾坤」といった概念に基づいた独特のデザインをした建築家として知られている。

実際、モリモリ村に訪れるとその奇抜な色と、不思議なデザインに驚く。
森の文化博物館を設計した宮本忠長氏の建築とは異なり、まったく周囲の環境に馴染まない、ある意味、超ど派手な建築である。

でも、見方を変えると、すごくアートぽい、現代美術ぽいのである。


モリモリ村から、川合地区に入り20分ほど行くと、国歌発祥の地とも知られる「さざれ石公園」のえん堤に現・東京芸術大学学長の日比野克彦氏の大壁画(縦7m ・横25m,1988年)がある。
春日村民憲章の郷土愛などの五本の柱を五人の女神に例え、調和を保ちつつ21世紀への飛躍をイメージして描かれている。

現在は塗料が落ち、薄くなってはいるが、壁画に近づけば日比野氏のサインが。37年が経過し薄くなっている壁画からは、雨風に耐え長い時間その場所にあり続けた作品の重みや、時間の積み重なりを感じる。
まるで、ラスコーの洞窟壁画や奈良の高松塚古墳壁画を彷彿させる。

貴重な貴重な大壁画である。


さざれ石公園から川合地区にもどり、長者の里方向に行くと日本の棚田100選にも認定されている「貝原棚田」が。

石積みはある意味アートだと思う。
人は生活していくためにもちろん石垣をつくったのだけれど、本当に美しい。

博物館にある炭窯跡の石垣

石垣つながりで、イギリスの彫刻家・アンディー・ゴールズワージーの作品を思い出したり・・・。

そして、博物館のある長者の里には2m以上ある「祈り岩」が。人が古来、自然を畏怖し、崇め、豊穣を祈ったことを思わせてくれる自然岩である。

祈り岩



縄文時代の土偶を思わせる藤原市三郎氏の素朴な彫刻作品も見逃せない。


大規模林道を通り「イビーナス展望所」では、能郷白山や鍋倉山などの山々を一望。
五感を解放させ、大自然を思いっきり感じることができる空間だ。春は新緑、秋は紅葉。森から鳥たちのさえずりが。


揖斐川町春日地区には、大きな立派な建物はない。

でも、「森」そのものが会場となった、自然からの呼びかけに満ちた空間がある。
そして、その空間には、一流の建築や作品がすでに点在しているのである。


イビーナス展望所から






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