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あっちへ、こっちへ。 でもいつも心には大好きな博物館までの景色があります。 標高600…

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あっちへ、こっちへ。 でもいつも心には大好きな博物館までの景色があります。 標高600mに位置する博物館と、某私設美術館にて企画したり、展示したり、掃除したりしています。感謝・感激・雨あられ。

最近の記事

私のsense of wonder ②

「昔はカタクリが一面に咲いていたけど、今は・・」 そんな話を聞いて、四年前から、私はこの季節がめぐってくると カタクリを探す。 一年目 どれだけ探してもカタクリの姿は見つからなかった。 二年目 キャンプ場の一番上のサイトをこえ、杉林の近くに行くと、一枚のカタクリの葉をみつけた。 勤務の度に、ピンクの花がさいていないか見に行った。 だけど、その年は咲くことがなかった。 三年目。 たまたまテントサイトの見回りをしていると、大きな岩の影に咲くカタクリの花をみつけた。 初め

    • 私のSense of wonder①

       「自然に触れて深く感動する力」 自然に触れることで受けるある種の不思議な感動、または不思議な心理的感覚を表現する概念であり、それを言い表すための言葉。 環境保護運動の世界的な先駆けであるレイチェル・カーソンの書名としても広く知られている。 私は長者の里で働き始めてからこの4年間。たくさんの自然の神秘さを体感してきた。私が長者の里で得た体感を少しずつ紹介していきたいと思う。 第一回目は博物館コンクリート壁面にゆらめく木漏れ日。 まるで、生き物かのように、コンクリートに

      • 森へ

        31日に発熱して、苦しむこと1週間。 久しぶりに森へ来ることができた。 谷川の音を聞きながら、お昼ごはんに用意してきたサンドイッチをほおばる。 うわぁ、やっぱり、この空間にいられるだけでなんて私は幸せなのだろう。 コナラの木々はまだ新芽が出ていなかったが、近くのクロモジには黄緑色のエネルギーあふれる新芽が出ていた。 31日に見た時より大きくなっている。 春がきている。 こんな山奥の場所だけど、確実に季節は巡り、ここに春がやってきている。 なんだか、嬉しい。 昨

        • つくしが・・・

          畑のネギの間に つくしが数本、顔を出していた。 その姿は なんとなく 縄文時代の雰囲気とマッチしている気がした。 さっそく、調べてみると、 なんと、 つくしは「生きた化石」と言われるらしい。 三億年前の古生代に繁栄し、その高さは30m。森を形成していたという。 くらしの中の、目の前にある植物や布の織り方・編み方、ロープなど、その原型は、実は縄文時代からあったものといえる。 その技術が時代とともに変化しながら、現在にも続き、活用されている。 つくしの場合は、縄文時代よりは

        私のsense of wonder ②

        マガジン

        • 市三郎作品考
          4本
        • A study of Ichisaburo's Works
          4本
        • 柴田慶子 企画展
          7本
        • 森の文化博物館との出逢い
          0本
        • 春日村の文化財
          1本
        • 民俗
          1本

        記事

          一本の電話

          悩んでいるようだけど 僕はサジェスションはできないけれど 背伸びしなくていい。 貴方らしく やればいい。 自然体で 市三郎さんの冊子、いい感じだね お地蔵さんに祈るような気持ちで やればいい。 そうじゃないと、続かないよ、 僕が手伝えることあるのなら、 体が元気だったら手伝うから 電話かけてきなさい。 と、携帯とご自宅の電話番号を教えてくださった。 家族がスキーをしている間、 車の中でうとうとと昼寝しかけていたときにかかってきた一本の電話。 たくさんの企画展

          一本の電話

          藁をなう。Now

          藁をなう。 藁をなう。 2024年度の博物館での体験講座に使う縄をつくるために、縄の作り方を教えてもらった。 右足の親指で四本の藁をつかみ、左足のかかとで藁を抑えて縄をなう。 藁は今年、家の稲刈りの時におじいさんにお願いしてハサ掛けにしてから保存してあったものを使う。 「縄ぐらい、買えばいいのに・・」 って言われるけれど、縄を0からつくる経験をした方がいいと思っている。 もちろん、コスト削減という面からの策でもあるが。 藁をなう。 藁をなう。 右手と左手に回転を

          藁をなう。Now

          森の国通信、ふたたび。

          森の文化博物館では1995年の創設時から、「森の国通信」が一ヶ月に一回、発行されていた。 古代製鉄の話や街道の話、「森の物語」と題された地域の人々への聞き取り、自然散策マップ、イベント情報など、多彩な情報が掲載。 丁寧にまとめられた聞き取りは、貴重な貴重な民俗資料ともいえる大変価値のあるものだ。 森の国通信は、博物館運営の核ともなる重要な活動の一つとして位置付き、力が込められていた。 四年前、Noごとに保管された「森の国通信」ファイルを発見した私は、次第に、「この通信を

          森の国通信、ふたたび。

          実は、アートの村だと思う。

          表題通り。 私は博物館と出会った当初から、 ずーーーーーーーーっと旧春日村はアートが点在する地区だと思っている。 かすがモリモリ村リフレッシュ館の建築は、全く知られていないが、実は元・多摩美術大学美術学部建築学科教授の故・毛綱毅曠氏による設計。 毛綱氏は、「使いやすさ」といった機能性よりも、「天・地・人」「乾坤」といった概念に基づいた独特のデザインをした建築家として知られている。 実際、モリモリ村に訪れるとその奇抜な色と、不思議なデザインに驚く。 森の文化博物館を設計し

          実は、アートの村だと思う。

          森の喫茶を

          「色が出ていないけど、薬草茶です。どうぞ。」 白髪の、肌がとても美しい店主が出してくれたグラスからは、うっすらとした湯気がふわふわと上がっていた。 いただく前から優しさが漂っていた。 そっーと口に含むと、レモングラスの爽やかな味が口の中に広がった。 思った通りの優しい味だった。 ////////////////////////////////////////////////////////// 博物館には創設当時、森の喫茶があった。 コーヒー、紅茶、薬草茶、ハーブティ

          森の喫茶を

          市三郎さんの命日に

          今日は、1月31日。 しとしとと雨が降る関ケ原。 ちょうどニ年前の1月31日、春日村出身の芸術家・藤原市三郎さんの命日に、彫刻家の近持イオリ先生に会いに来たなぁと関ヶ原合戦のど真ん中で空を見上げた。 LEE UFAN の『関係項−アーチ・関ケ原』の門は、ちょうど春日村の方向をさしていた。 なんであんなに恐ろしいくらい執着心をもって市三郎さんを追いかけたのだろう。 あぁ、宙を舞うちょうちょを追いかけているような感じだったんだろうか。 追いかけて、追いかけて。 捕まえら

          市三郎さんの命日に

          感幸

          Youtuberのモノオキトさんの存在を知ったのは、2021年5月末だった。 ある方に「博物館のテーマに似合う面白い人がいる」と教えて頂いたのがきっかけだった。 モノオキトさんは、博物館に近い山小屋で約三年ほど暮らしており、Youtuberとして活躍されてみえた。 私は、ダメ元で10月からの企画展で映像を流させて頂けないかを懇願した。 その時、モノオキトさんに 「どうしてそんなに一生懸命やるんですか?やっぱり地域のため、とか地域貢献ってやつですか?」 と尋ねられた

          種をつなぐ

          2023年10月17日 待ちに待っていた小さな白いセンブリの花が咲いていた。 白い花びら(花弁)には、薄紫色のすじがすうっと入っている。 5枚の花びら。 ティンカーベルみたいな妖精がいるかのようだった。 嬉しくて、 センブリの苗を下さった方に写真を送る。 「センブリの花が咲きました」と 2023年薬草展の一年前、 「博物館で紹介している薬草を、お客さんが実際に目にできるようにするのがあなたの仕事。常設展示はもうできあがっているから、展示をあえてしなくてもいいと思うよ。

          種をつなぐ

          また、きますね。

          R5年5月5日 GWだというのに、博物館のお客さんは4日までの合計がたった10人。 なんということだ・・ 月集計の用紙見ながら、肩をおとした。 そんなとき、 「うわぁ〜、めちゃめちゃ素敵やん。こんなところあるなんて知らなかったなぁ」 と興奮して話すご夫婦が入ってみえた。 常設展示室内をご覧になり、外に出て森の風景を満喫されていた。 「江戸時代の古民家もありますので、ぜひご覧ください」 そう話しかけると、 「全然、知られていないけど。あまり、人が来て欲しくないの?こ

          また、きますね。

          愛と、感動と。

          2023年8月。 ずっとお会いして話を伺いたいと願っていた、先生と喫茶店でお会いできることになった。 喫茶店に1時間も前に到着した。待ち合わせは14時。 15分前になり、私はお店の中に入った。 誰もお客さんがいない店内。 どこに座ろうか。。 悩みながらも、小さな鉢植えの植物が置かれている場所を選んだ。 5分前、半ズボンをはいた先生が現れた。 形式的な挨拶を終えた後、先生は仰った。 「君の経歴を知らないから少し教えて」 「実は、小学校の教員でした。育児退職をして・・・」

          愛と、感動と。

          鉈ヶ岩屋のこと

          2022年8月28日。 Iさんは、私の頭にハチマキをぎゅっと巻いた。 「貴子さんもね。」 え・・・という暇もなく固く巻かれたハチマキ。 まさか二年前、 夢にまで出てきたことが現実になるなんて思ってもみなかった。 興奮と嬉しさと不思議さが入り混じっていた。 「鉈ヶ岩」とは、東本願寺を創立した教如上人(1558~1614)が関ヶ原合戦(1600)時に西軍の石田三成軍から追われた際、春日の村人が上人をかくまった場所とされる岩屋である。 その場所は、かつて木製のお堂があったが、

          鉈ヶ岩屋のこと

          しんしんとふる雪の中で

          屋根に60センチくらいの雪がつもっているだろうか。 これでもか。というくらい降り続ける雪を窓越しに見ていると、だんだん恐ろしい気持ちがしてくる。 どうなってしまうんだろう。 「自然は、あるときには豊かな恵みを与え、あるときには過酷なまでに厳しい環境として人々の前に現れた。」 博物館シアターで、かつて上映されていた「祈りの時」のキャプションを思い出した。 「もう雪を降らせないでください」 「お天道様、どうかお願いします」 という祈りが自然に対して湧くのは、宗教とかそ

          しんしんとふる雪の中で