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サウナ作りのプロが集う『サウナフェア』がすごい事になっていた

もともと予定になかったのですが、本日まで東京ビッグサイトで開催されていた『サウナフェア』が想定外にすごい事になっていたので、急きょこちらのnoteをお届けしたいと思います。いまだ会場の熱気、冷めやらずです…!

先日、サウナ作りをより学んだ方が良いというnoteを書いたのですが、その学びと交流の場として、サウナフェアはものすごい刺激を我々に与えてくれるものでした。今回で4回目の開催を迎え、来年も開催が決定しています。

サウナフェアのどんなところがすごいのか

筆者は第1回から第4回まですべてのサウナフェアに足を運び、現地で事業者と交流を図ってきました。さらに今年の2月、筆者はサウナフェアで登壇をする機会を頂き、そちらで発表した資料を対外公開したこともあります。

そのサウナフェア、何よりすさまじいのがマーケットの移り変わりです。昨年2月に開催された第1回の時点では、バレルサウナ等の一部出展があったものの、テントサウナこそがサウナマーケットをけん引していた印象でした。

それから1年半の月日が流れ、早くも第4回を迎えたサウナフェア。テントサウナはおろか、サウナマーケットを賑わせているバレルサウナのラインナップを超え、いくつもの創作的なサウナ商品が展示されるようになりました。

テントやバレル等の常識を超えるかのような、クリエイティブなサウナ商品の登場。きっと海外のサウナファンも驚くであろう、ミニマルかつ本格的なログのサウナなどは、とりわけ来場者の注目を集めていたかのようでした。

また一方で、テントサウナ事業者の勢いも止まりません。テントサウナメーカーによる業界初の国産電気ストーブのプロトタイプが展示されており、こちらも一見の価値ありでした。(製作期間なんと2ヶ月足らずとのこと…!)

しかしながら、サウナフェア最大の魅力は商品展示にあらず。「事業者の垣根を超えて交流し、サウナの構造をあらゆる角度で議論できる」ということ。これこそが来場者のみぞ知る、サウナフェア随一の提供価値なのです。

イベント最前に著名ビルダーが座るという衝撃

筆者はこのたび、商店建築さんからのご厚意により、サウナフェア内でトークイベントに登壇するという機会を頂戴いたしました。そちらでのエピソードをお伝えしたいのですが、筆者が予想だにせぬ出来事がありました…

サウナ好きなら一度は、その名を耳にしたことがあるかもしれません。国内はおろか、海外からも脚光を浴びるサウナを手掛けている『ととのえ親方』氏。その親方がなんと、我々のイベントに足を運んでくださったのです。

さらに親方は驚くべきことにトーク会場の最前列に座られ、筆者は仰天しました。親方といえば有名メディアをはじめ、数々のトークイベントで大多数の観客向けに常々お話をされていらっしゃるようなお方です。そうした第一人者であるにも関わらず、最前列で聴講するというお姿が衝撃的でした。

このように、サウナ作りの第一人者と出逢えるのもサウナフェアの魅力でもありますが、より良いサウナを作るために立場などの垣根も超えて学び合えるということ、そんなダイナミズムを感じて、筆者は震えてしまいました…

そして最前列で著名ビルダーから薫陶を受ける

衝撃の出来事から一夜明け、2023年9月8日。関東地方は台風直撃で朝から大雨、交通機関が大いに乱れるという危機的状況でしたが、昨日の出来事を忘れんがばかりに、たとえ這ってでもビッグサイトに行くという想いでした。

そして何とか最前列を確保。今日という今日は最前列で、筆者が第一人者からサウナ作りを学びます。さらに台風直撃の時間帯であったにもかかわらず、会場は大盛況。たとえ台風があったとしても、それでもサウナ作りについて学ぶという、サウナファンと事業者のすごみをひしひしと感じました。

地方とサウナの取り組み紹介でお話してくださったのは『野田クラクションべべー』氏。かつて筆者のnoteでもインタビューに登場いただきましたが、The Sauna支配人としてのご活躍はもちろん、今では全国で名だたるアウトドアサウナのプロデュースを手掛けている、サウナ作りの大著名人です。

さて、そろそろ真面目にサウナ作りのレポートをしていきたいと思いますが、都市部でのサウナとローカルで取り組むサウナは、似て非なる環境と筆者は個人的に考えています。The Saunaの卒業生ともお話した際に、ローカルでのサウナは取り組み方が異なるということでした。そしてその中心には人があり、サービス業であるからこそ、人抜きで建物は成立しないのです。

この日のお話でとりわけ印象的だったのは、地方でサウナ作りをする際に、いかにサポーター(=ファン)を作れるかが成否を分けるということ、地域自らが集客に努めるよりも外部のサポーターに広めてもらうこと、そして当初の計画を超えて自然発生的にコンテンツが生まれるという気付きでした。

筆者はかつて地方でサウナ作りをする際は「地域間で連携をして面を作ることが大事だ」ということを主張してきましたが、今は少し考え方が変化してきまして、人と街とサウナが一緒になって地域おこしをするというのは画としては綺麗ではあるのですが、一方で理想を投影しすぎた感もありました。

実質的な地方サウナ市場の興りから約5年が経過しましたが、サウナファンやサポーターを集めるサウナの物語があり、そこに人は集う。そして付随して経済が動く。この原理原則はまず現実として認識しなくてはならないのですよね。またそれだけ、地方間競争が激化してきたという変化もあります。

また、最近筆者のまわりで合言葉のように聞こえてくるのが「サウナから上がった後の体験も含めてのサウナ」というフレーズ。たとえサウナ飯のレパートリーが少なかったとしても、そのサウナ施設を訪れた時点でサウナ室外も含めた体験が生じる。サウナ飯という領域も可能性は無限大なのです。

サウナフェアではサ飯キーマカレーなどの販売も行っているそうで、現在はサウナ商品およびグッズの展示が主となっていますが、サウナ作りはサウナ後の体験までがサウナですので、そうした理解が事業者間で広まれば、サウナフェアおよびマーケットはさらに進化していくのではないでしょうか。

仕掛け人・川田直樹という男の手腕に迫る

最後に、本来なら当事者にインタビューを行いたかったのですが、noteを執筆するとなったのが本日という状況でもありましたので、筆者がサウナフェアを通じて感じた、サウナフェアの中の人について思ったことを書きます。

先にご紹介したととのえ親方氏、野田クラクションべべー氏に並び、サウナを取り上げる著名メディアでの露出が多いサウナフェアの仕掛け人『川田直樹』氏。カワちゃんという名で呼ばれ、日本における企業サウナ部の連盟や、一級建築士として富山に著名なサウナ施設を手掛けた方でもあります。

台風直下のトークイベントにおいて、川田氏の司会ディレクションはまず一見に値するものがあります。筆者もトークイベントに登壇をするようになりましたが、川田氏の場合は観客が求めるものを「先回りして」話題を組み立てる能力が際立っており、登壇者の立場としても大変な学びになりました。

川田氏は企業サウナ部を取りまとめるだけでなく、一級建築士としてサウナ施設を手掛ける手腕、トークイベントの司会的立ち回り、サウナフェアの仕掛け人として時代を先読みするなど、一体どれだけの技量を備えているのだと驚嘆を禁じ得ないのですが、最も驚いたのは主催としての場作り力です。

川田氏自ら事業者のブースを回り、時にはサウナ作りを志す同志と盛んに議論を交わし、時には利害を超えて事業者同士のマッチングも厭わないというこの距離感の作り方。ととのえ親方氏やべべ氏にも通ずるものがありましたが、サウナ作りというテーマの前では実績や立場は脱ぐべきなのでしょう。

まるでサウナ室内のような平等であるかのように、コミュニケーションの場として十分に機能していた。こうした距離感がサウナフェアのすごみなのであり、市場と共にサウナフェアの進化を感じます。サウナ作りを志すのならば、一度はサウナフェアへ足を運んでみることを強くおすすめします!

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