🧬ＤＮＡは人間の設計図ではない！

　「ＤＮＡは人間の設計図ではなく、作り方レシピである。」という文をTime紙で見たことがある。

　人間はＤＮＡを「設計図」に見立て、人間が「設計図」通りに完成すると考えてしまうが、それでは生まれた時にはその子の運命がほぼきまっていることになる。親も子供も「頑張る気持ちが萎えてしまう。」

🎫ＤＮＡは人間の作り方レシピである！

　しかし、もしＤＮＡが「レシピ」のようなものだとするなら、運命をひっくり返す可能性が残っているではないか。

　なぜなら、「レシピ」通りに作っても、作る人によってかなり料理の味は違ってくるからだ。この場合の料理人は、「そのＤＮＡの持ち主」だ。

👨‍👩‍👧‍👦人間の成長には「環境」が大切！

　また、その料理を作るキッチンも味に影響する。そのキッチンは「環境」である。その環境は主に「保護者」が作るものだ。私たち、塾講師の役割と言えば、保護者が計画したキッチンを使いやすいようにデザインし、実際に作る大工と言えるだろうか。

❌🧬親はＤＮＡに縛られてはいけない

　私は、塾講師だったとき、ＤＮＡに縛られている保護者がかなりいるという感想を持っていた。若干、謙遜も入っているのだろうが「うちらの子どもだから、そんなにすごく頭が良くなることはないけど、少しはまともになるかと思って。」というような入塾理由だ。

　それでは、子どもの立つ瀬がない。そこまで、ＤＮＡ通りの人生を強制しなくてもいいではないか。もっと、緩く考えたらどうだろう。

🐴人間万事塞翁が馬

　当然、遺伝というのは科学的に確かなものだが、単純ではない。多くのＤＮＡが複雑に絡みあって、人間の原型を作っている。その上、その複雑なＤＮＡに環境が関与するのだから、人生の行きつく先など、誰にも予測できないのだ。

　私の好きなもう一つの言葉がある。「人間万事塞翁が馬」
　いいこともあれば、悪いこともある。この先どうなるかなど、誰にもわからない。人生を甘く見てはいけないが、人生を悲観する必要もない。
　言い得て妙である。

🧪ＤＮＡと言えども、研究途中である

　ヒトのＤＮＡは、およそ30億文字からできているという。30億文字と言われても、数字が大き過ぎて、ピンとこないが、又吉 直樹の「火花」に書かれている10万文字という単行本を平積みすると東京タワーの1.5倍ほどの高さになる文字数だ。（笑）

　しかも、その膨大な文字を人間はとりあえず、「ヒトゲノム計画」で、コピーをとるところまでは成功している。しかし、残念なことに30億の文字を読み取れたのだが、でたらめにアルファベットが並んでいるようなもので、意味が分からないのだ。今、遺伝学者たちは、そのアルファベットがどのような言語で書かれているか、どのような意味を持っているのかを、研究し始めたばかりなのだ。

　人間は、何でも科学で解決できると思っているが、人間が科学的に理解していることは、思っているほど多くないのだ。そう考えると、ＤＮＡは大切なレシピではあるが、それに縛られて、子どもの未来まで悲観するほどのものではないことが分かる。

「DNAは人間の設計図ではなく、作り方レシピである！」は、勇気づけられる言葉なのだ。

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