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ロボットエンジニアがデザインに足を踏み入れた1年:Who am I? Who are you? Who are we?

2019年度も最終週になりました。今回はこの1年を振り返った感想を書いてみたいと思います。今年も基本的にはロボット関係の仕事がメインなわけですが、会社の人のオススメで7月にNoteを始めた一発目の記事で書いたように「人手不足が加速する中で自動化により生産性を向上させていく取り組みと、個人がしたいことをし続けられるように支援する取り組みを両立する」ということを目指し続けた形です。

人手不足解消へ少しでも貢献する

業務の時間比率としては、「自動化」という所に沢山の時間を割いているのかなという感じです。「人手不足」という問題は想像しているより遙かに深刻な印象を受けています。どの業界から相談を受けても、人が足りない、人が雇えないという話を伺います。ロボットの技術レベルとして人1人分をそのまま置き換えられる実力を持っていないパターンが多いのが現状かもしれませんが、人をそのまま置き換えられなくても、「ロボットに任せられることはロボットに任せる」「ロボットにできないことを人がやる」という発想が起きてきているような気もします。

このNoteであまり自分自身の自動化に関する取り組みをご紹介できていないのも、実は取り組みが最前線化している証だと思っています。つまり、現場で実際に活用の検討が進んでいる、個別具体的なお客様が色々な検討をして頂いているが故に、なかなか表には出しづらいという状況です。

コロナの影響があり、短期的にはロボットなど新しいことへの投資にお金が回りにくい状況になるかもしれませんが、本質的なこの労働力不足という問題はどんどん深刻化していくので、長期的にはロボットの現場導入はどんどん広がっていくと思っています。もしかすると、逆にコロナの影響により、人手を介さないという観点で自動化、ロボット化の流れが加速する可能性もあるかもしれません。

個人的には、対外に発信できた内容としては、追従走行型パーソナルモビリティの実証活動やその中で活用されている移動型ロボットにとって最も重要な要素の1つである「機能安全」技術を纏められたことがあったかと思います。

この辺りは国際ロボット展でもご紹介することができました。自動化に関する取り組みは、とにかく少しでも早く現場で困っている方に使って貰うように地味で地道な活動も含めて全力で社会実装を進めていきたいと思います。引き続き、色々なパートナーの方と取り組みを加速させていきますので、どうぞよろしくお願いします。

本年度も多くの社内外の方々の本当に献身的な活動により推進することができました。この場を借りて御礼申し上げます。

自分でしたいことをできる社会へ

このNoteでは、人の可能性を引き出し・拡張し、感性価値を追求することを目指した「Aug Lab」での活動について多く書いた気もします。今年作ったAug Labも沢山のプロトタイプを作りながら、多くの方にご支援頂きながら、なんとか設立1年を迎えられそうです。こちらも多くの方に協力頂きました。本当にありがとうございました。
特に、有識者へのインタビューという形で様々な方にお話を伺うことができました。石川善樹さま、コネルさま、慶應南澤孝太先生、太田直樹さま、西村勇哉さま、貴重なご示唆をありがとうございました。

このAug Labの活動を通して、おそらく初めてに近い形で「デザイン」や「クリエイティブ」というようなことを考えた1年にもなりました。考えた要点はWIREDさんに以下で纏めて頂きましたが、特に「デザイン」と言うことに対しては、これまでロボットのメカデザインや外装デザインという次元でしかなかった考えを私なりに深められました。

6月の英国RCAでのAugmentationに関するワークショップをキッカケにして、いかに自分も含めてヒトのことを理解し、デザインの対象となるヒトに共感できるかというのがデザインの本質であるというような気もしています。もちろん、いわゆるデザイン思考のように「見て、掘り出して、発想して、見せる」というObservationからInsightを得て、Prototypingしていくことも大事なのでしょうが、その本質は

「Who am I?」という事に向き合い、いかに自分のことさえわかっていないかという前提で自己認知を深めた上で、
「Who are you?」と聞く勇気と知る覚悟を持ち、
「Who are we?」と共感した相手のあるべき姿を考え、形・仕組みにしていくこと

なんだと思いました。

「Aug Lab」の方はまだまだヨチヨチ歩きの状態ですが、上記のデザインの基本姿勢を忘れないようにしながら、継続的に活動を続けていきます。そして、プロトを作るだけではなく、しっかり世の中から特定ユーザから評価を頂く、提供できる価値を磨き上げていきたいと思います。

というわけで、

自分でしたいことをできるようにするという文脈でデザインという言葉を使いましたが、決してそっち側だけで大事という話ではないです。自動化という文脈においても、結局やっていることはお客様のお困りごとの解決であり、ソリューションをデザインするということに他ありません。

引き続き、いずれの文脈においても、「Who am I?」「Who are you?」「Who are we?」と問いながら、自動化した方が良いことはしっかり自動化する自動化で出来た時間をしっかりと自分のやりたいこと/ありたい姿に繋げられるようにすることを目指しながら、「自動化すべきこと」と「自分のやりたいこと」のバランスが取れたWell-beingな社会の実現に向けて、少しでも近づけられるようにしてきます。

来年度もご助言、ご支援、ご指導、叱咤激励をどうぞよろしくお願いします。では、また来週。

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