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誰がためにワクチンはある?【追記】あり

昨今はワクチン絶対派だとか反ワクチン派だとかに、様々な事情や思惑を持つ人々が紛れ込んでおり、一概にバカにはできない状況にあります。

私は父が勤務医で厳しく躾けられたこと、医療に関して迂闊なことを言えない環境で育ったため、個人的にはワクチンの有効性を信じて疑わない者です。

ただ、運用するのは人間ですから、その点で間違いや過ちが起きる可能性は、排除できないとも考えています。

さて新型コロナウィルスが猛威を振るう今日では、ワクチンといえば、そう!
ファイザー社とかモデルナ/武田製薬とか、アルトラゼネカ社の、それを意味することが殆どです。

個人的には接種します。
しかし原則を守り、他者に強要はしません。
ワクチンを打ちたくても、さまざまな事情でできない人がいます。
また私たちが小学生の頃に受けた集団接種のうち、インフルエンザワクチンは、現在では高齢者を守っていたことが明らかになりましたが、それでも新型コロナ用のmRNAワクチンは12歳以下には、使われません。 

反ワクチンの運動は、狂犬病ワクチンを飼い犬に接種しない人々から始まった無知蒙昧の所業だと理解する人もいますが、いまは陰謀論派や厚労省の運用、また医療者の高慢な振舞いなど、様々なレイヤーに別れている、といった方が正しいと思います。

この新型コロナウィルスの蔓延には、医療者のかなりの割合が、PCR検査抑制派だったことで、彼らは信用を失っているのですから、そこを認めないままワクチンを接種すべしと説いても、賢い人ほど疑問符はつきます。

もちろん賢い人はワクチン接種をする前提で、疑問を投げかけているのですが、それに明確な回答を出来る医者はいません。
なぜかというと、新型ウィルスへの防疫に医療者は関わることができないのに、学校で習った知識を披露する専門家面をした者たちに過ぎないからです。

医療者にできることは、まず新型コロナウィルスに感染が確認された者を隔離する施設に常駐して、感染者のモニタリングをします。

そして感染者に急変の兆しがあれば、対処的療法を試み、その方法を確立することです。
人工呼吸器やECMOなどは、患者の症状に対処するために装着されますが、技術を要し医者なら誰でもできるわけではありません。

そして、あともう一つがワクチン接種です。
接種後に起きる副反応に対処するためにも、医師、看護師は必要です。

さて、ここまで私は対処、と書いてきましたから、お分かりいただけると思いますが、研究医や保健行政に関わらない医者は、とりわけ臨床医というものは、常に患者の症状に対処のために存在しており、ウィルスの防疫には関われないはずなのです。

医者より薬に詳しい人がいます。薬剤師さんです。
医者よりも介護に詳しい人がいます。看護師と介護士です。

彼らは平気で、それを踏み越えしたり顔で語りたがるところがありますし、開業医は経営者でもありますから、平気でコストパフォーマンスの話をします。

ワクチン接種から数日内に亡くなる人がいますが、それを確率の範囲内として処理するある種の冷酷さで正しい、と納得できるならいいです。私は死への忌避はありませんが、もし体に障害が残るようであればイヤだな、とは感じます。
この歳で新しい生活に馴染まなければならないのは、相当に負担だろうなと想像するからです。

また、ワクチン接種後に亡くなる方は、要らない存在ですか?
もし一家の大黒柱的存在だった場合、その人を失った家族はどうなるのですか?
また家族を失ったその哀しみに、そういった冷酷さで接するのでしょうか?

そんなことをされたら、腹が立つでしょう?
人間は感情に左右されやすい生き物ですから、説得をされても、腹が立っているうちは納得はできないものなのです


最後に私が一つ疑問に感じていることを、書いておきます。

コロナウィルスに対するワクチンは、最優先になっているのは理解します。
しかしhpvワクチン接種を率先して受けようという男性は、医療者も含め見かけないのですが、私の観測エリアの問題でしょうか?

一般にワクチンは6〜7割の接種率をもって、有効に機能する。と、説明されれば自ずと男性も接種せねばならない、と私は理解するのです。
昨今の流れであれば、男性用のワクチンが4価で、女性は9価なことへの理由はさておき、打つべしという私個人の結論と同じになるはずなのですが……

この話を女性にすると大抵驚かれますが、男性は微妙としかいいようがない反応になります。

検索してみますと、医療機関は男性もhpvワクチンを接種しましょう、と説明を兼ねて啓蒙されてはいますが、月に一度の都立病院での診療でそういう話をされたり、啓蒙ポスターを見た覚えがないのです。

個人的な理由ですが、みなみ先生が気軽な気持ちで受けた子宮頸がんの検査で、複雑な子宮筋腫が判明しました。
大学病院の検査で受けた扱いが、心の傷となり、結果として10年以上もの長き間、全く医療に向き合わせることができなかった「医者の息子」の私がすべきことは、なんでしょう?

みなみ先生のような体験をする人を、一人でも減らしたい、という思いから、hpvワクチンを有効に機能させたい、となります。これは医療者と同じ着地点のはずで、私はそこに当たり前に到達するのです。

恨みのような感情は、いくら詮索されてもないのです。むしろ在宅終末緩和ケアを担当してくれたチームにより、感謝しかありません。

そんな私から眺めますと、いくらコロナが喫緊の課題とはいえ、ワクチンを打ちなさいと啓蒙して回る人々のhpvワクチンへの意識が全く見えてこないのです。
同等に考えている人は、絶対にいるはずなのに、何処にもその啓蒙の形跡を見つけられなければ、疑心暗鬼にもなりましょう?

私のような個人的な動機により、hpvワクチンを接種したいと、率先して考えている男性に、どの医療機関へ赴くとよいのか、情報や啓蒙が全く届いていないのです。

申し上げておきますが、その病気に罹るおそれのある女性にとっては、性交渉で移るウィルスの問題を、男性が同等に考えられなければワクチンはあっても無用の長物になります。
どうせ自分には性交渉などする機会は……などと思い込むのも自由です。

将来的には分かりませんよ、としか申し上げようがありません。

そもそも如何なるワクチンであっても、接種は自由であるべき、という原則を個人的理由では変えようがないのです。

子宮頸がんは女性しか罹らないことで、ワクチンが有効に機能する接種率は同じはずなのに、なんとなく男性が除外されているかのように見えてしまう。そう感じられてしまう、そんな私の方が間違っているのが現実であれば、私は喜んで受け入れます。


しかし、この話をTwitterで投げかけても、ほとんどリアクションはありません。


私がワクチンの有効性を信じていても、啓蒙者がこういうところをツルッと見落としてしまうようでは、ああ、ただの押し付けがましい人であったか、と思われてしまい、結果としてワクチンの接種率が下がっていくのではないか?
と懸念しているのです。

追記
先日定期診療で訪れた都立病院で、HPVワクチンを接種したいと申し出たところ、ウチではやっていないとのことでした。
総合案内の女性は、女性だけが接種するものなのでは?と、お考えでした。

続いて処方された薬を受け取るため、いつもの薬局へ行き、薬剤師さんに訊いてみました。年配の男性薬剤師さんでしたが、興味深い回答でした。
HPVワクチンは、男性への接種は感染予防のため、女性への接種は発病予防のため。
目的が違うので、リスクの優先順位も含めて女性への接種を促している、という説明を受けた。

なるほど、これは一理あるなと感じました。

もちろんHPVワクチンを接種すれば、完全に子宮頸がんを防げるというわけではないので、検診もお忘れなく、とのことでしっかりと勉強を続けてらっしゃる方との印象を受けました。

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