営業マンの信用の積み重ね方
若手営業マンに、「結果を残せる営業手法を教えてほしい。」と相談を受けることが少なくない。
結論から言うと、簡単に結果が残せる魔法の方法はない。
なぜなら、営業力はテクニックよりも、日々の積み重ねで培ってきた人間力の方が大きなウエイトを占めているからだ。
よって、一朝一夕で結果が出せる、いきなりホームランが打てる方法はない。
ただ、そういってしまうと話が終わってしまうので、今日は1つ意識した方が良い考え方を紹介したい。
自社製品を売らない
僕が優秀だと思う営業マンは、自社製品を売らない人である。正確には、自社製品を売り込まない人である。
例えば、ベンツを扱うディーラーの場合。
あるお客様がベンツを買いたいと訪問してきた。お客様の要望を色々聞いていると、求めている内容がベンツではなく、トヨタの方がよさそうだと分かった。
お客様はベンツが欲しいと訪問いただいたので、取り扱っているベンツ車種の中から、要望に近い車種を提案すれば成約確度は高いだろう。
しかし、ここで自社製品よりもトヨタ製品の車種を勧めることことができるかがポイント。
売上ばかり考えている営業マンなら、即座に自社製品を勧める。だが、優秀な営業マンはトヨタ車種を勧めて、なんならトヨタ製品を扱っている優秀なディーラーまで紹介するだろう。
この差はなにか?
それは、優秀な営業マンはその先にある展開に価値を見出しているからだ。
短期的に見れば、自社製品でクロージングした方が売上になり会社に評価されるだろう。
しかし、これは長期的に見たら何の蓄積にもなっていない。
一方、トヨタ車を紹介した営業マンは、短期的には数字につながらなかったが、信用という大きな財産を蓄積したことになる。
よって、そのお客様が2台目を買う際にはベンツを選んで戻ってきてくれるかもしれないし、お客様の友達がベンツを買いたい場合に、自分を紹介してくれるかもしれない。
そういった、2の手、3の手といったチャンスがトヨタ車を紹介することにより増える可能性がある。
もちろん、そううまくいく保証はない。
しかし、自分1人が働ける時間は24時間365日と決まっている。よって、会える人の数には物理的限界がある。
お客さんに寄り添うことにより、もしかしたら自分のファンになってくれて、自分の代わりに口コミという営業をしてくれるかもしれない。そういう人が1人でも2人でも増えれば、物理的限界の数が変わってくる。
要は、そういう可能性という種をどれだけ蒔けるかが大切。
口コミをしてくれるであろうお客様の数が5人なのか、50人なのか、100人なのかで将来の展開は大きく変わってくるだろう。
保険の営業マンも一緒である。自社サービスの内容では十分網羅できなかった場合に、いかに他社サービスを紹介できるか。なんなら、保険以外の困りごと、家を買いたい、車を買いたい、弁護士に相談したいといった様々な困りごとに、サポートしてあげられる抽斗(人脈)がどれだけあるかで展開は大きく変わってくる。
結果を残したければ先ずは信用を積み重ねた方がいい
これはどの業界でも同じ。お客様の要望や困りごとに耳を傾けることを怠り、自分の数字ばかり意識した営業には、蓄積もなければ大きな展開もない。
特に若手の時は、早く結果を残し認められたいという一心で強引に自社製品を売る営業マンをよく見かける。
気持ちが焦るのは十分理解するが、短期的な思考や行動では自分の後ろには何も残らない。先ずは、お客様に最大限寄り添い、自分は何をしてあげられるかを徹底的に考え、行動し、先ずは信用を積み重ねる(信用貯金をする)ことを意識してほしいと思う。
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