愛と感謝。命と挫折。

よーし、今日は大学受験のとき、起こったことを書こう。

中学生の頃から、行きたい大学があった。

それが変わることは一度もなくて、そのためにずっと、勉強してきた。オープンキャンパスの度に気持ちを新たに、ここに受かってやる!って思ってた。

他の大学の推薦枠もあったけど見向きもしなかったし、学校の勉強も手を抜かなかった。申し訳なくなるくらい塾にも通わせてもらった。

気持ちが続かなくて1日を無駄にしてしまった自分が嫌で、泣いた日もあった。

頭がいいわけでもないから、頑張っても結果が出なくて、挫けそうになって、それでも前を向くしかないから切り替えて、やってきた。

高校の間ずっと、一緒に励まし合う友達にも恵まれた。最後の最後まで励まし合って、競い合って、教え合って。支え合っていた。

家族も、みんな支えてくれた。そのさりげない優しさが痛いほど沁みて、自分がどんなに幸せなのか手にとるようにわかった。

なぜか、受験直前になるほど、そのありがたみを強く感じた。

第一志望のAO入試、一次通過、二次不合格。わかっていたから、メンタルは保てた。

第一志望の一般受験日2日目、最後の試験を終えて「やりきったな」と思っていた。もちろん、確かな手応えがあったわけでもないけど、やれることはやった。と思えた。最善を尽くした自信はあった。改札を抜けながら、「これで受からなくても後悔はない。」と声に出して言ったのを覚えている。

家に帰ると、誰もいなかった。私の机の上には併願校の合格通知が置いてあった。ああ、よかった、と思った。私が行きたいのはここじゃないから、とそれ以上のことは何も思わなかった。

電話が鳴った。

母からだった。


今日、祖父が亡くなったらしい。

わからなかった。言葉が言葉としてしか入ってこなかった。

祖父は入院していたらしい。
今日の今日までそのことを母は私に隠していた。母は私の受験のために、祖父のお見舞いもあまりできなかった。

私が、AOで合格していたら、もっと早く母を解放できたのに。祖父との時間を作れたのに。
ごめんなさい。涙が溢れる。しゃくりあげる。

「謝らないで、悲しくなっちゃうでしょ。大丈夫だよ。おつかれさま。」
電話越しの母は、落ち着いていて、優しかった。

長い受験を終えたそのままの格好で、1人でスーパーのお弁当を買って食べた。その間ずっと、「きっと嘘だ」と「ごめんなさい」でいっぱいだった。

私のために、ここまでしてくれる母。。。


父が帰ってきた。

「ただいま。おつかれさま。」
「おかえり。ありがとう。お世話になりました。」
「おじいちゃん、今日まで一緒に頑張って待っててくれてたんだね。やっぱりおじいちゃんはすごいね。」


言葉が出なかった。
そっか。おじいちゃんは、私の受験が終わるまで待っててくれたんだ。ありがとう。
たしかに1日早かったら、動揺して受験2日目は思うようにできなかっただろう。

おじいちゃん、ありがとう。一緒に頑張ってくれて。長い間、お疲れ様でした。大好きだよ。

父の言葉で、こんなにも穏やかな気持ちになれた。


合格発表の日。正午まで、落ち着かなくて、どうしていいか分からなかった。

どこかで信じている自分がいた。喜ぶ準備をしている自分がいた。

私の番号は、なかった。


そっか。そうなのか。そうなんだな、、。
涙は一粒しか出てこなかった。

祖母がケーキを持ってきた。
浮ついた声で「どうだった?」と聞く。

「ダメだった」
その言葉と同時に、涙が何粒も落ちてきた。息ができなくなった。

ケーキの上に、「おめでとう」のチョコと「おつかれさま」のチョコ、どっちでも載せられるように2つ買ってくれたんだって。

おばあちゃん、、、
でもありがとう、おばあちゃんなら、嬉しい。ちょっと傷口えぐられたけど、頑張った私をみててくれたおばあちゃんの気持ちが、ちゃんとわかるから、ただありがとう。


ショックは、そのあとだった。

母は、私を気遣って、そのチョコをどっちも見せなかった。

見せなかったけど、私は知ってた。そのチョコが入った箱が、ゴミ袋に入っていた。

はは、、、


ありがとう。みんな私のために。
ごめんなさい。こんな私で。



私は滑り止めで受けた大学に入学した。
浪人はしないと強く決めていたので迷いはなかったが、その大学に好感は持てなかった。

父は、私の通うことになった大学がテレビに出るたびに嬉しそうに、〇〇大学だよ!!と私に言ってきた。

ちょっとだけ嫌だったけど、少なからず、確実に、励まされていた。少しだけ、私もその大学を好きになれた。


数ヶ月たって、第一志望の結果と点数が送られてきた。

あと、一点だったらしい。

、、、どんな反応をしたらいいんだろう?
へえ。そうだったんだ。あと一点だったんだ。


そっかそっか。



幸いなことに、私はその頃にはもう、奇跡的な出会いを果たしていた。

ボランティアサークルである。

先輩も同期も、最高の仲間だった。感謝や愛に溢れたサークルだった。このサークルに入って、私は大きく変わり始めていた。

自分に自信がなくて、マイナス思考、謝ってばかりだった私に、自信が芽生え、余裕ができて、ポジティブになっていた。周りの人をハッピーにできる人になりたい!と真剣に思うほどに私は変わっていた。

もし、私が第一志望に合格していたら、この出会いはなかった。私を変えてくれた、愛しくてたまらない仲間たちに出会えていなかった。

第一志望に合格していたら、今の学科の勉強もできてない。本当にやりたいことが学べている今、この道が、私の道だとしか思えない。

今となっては必然のように感じる。


が、これは必然なんかじゃない。必然としてしまっていいわけがない。

今、私のもとにやってきたこの今を、胸を張って過ごす。愛して、愛しきる。やりたいことやってやる。

抱えきれない感謝を、絶対に、忘れたくない。

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