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東京芸人逃避行 ランジャタイ伊藤幸司 ステレオパンダ松本学

2019年5月8日



「かるくのまないかな!」



用事があって伊藤さんに連絡を取り、2つ目の返信でこう返って来た。




高円寺。


この日はアルバイト終わりの学と呑む予定だったので終電で帰ることを伝え、それでも良いと軽く呑むことになった。



時間は22時半。


どうせ外で呑むのだからと、僕は改札を出て近くのスーパーに行き、缶ビールを買い飲みながら伊藤さんを待った。






伊藤さんと合流し、そのまま純情商店街を少し歩いた。
伊藤さんは途中にあるセブンイレブンでお茶割を買って僕と乾杯した。




伊藤さんは僕が以前譲ったプレイボーイのジャケットを着ていた。

夜はまだ冷える。
パーカーの僕は少し寒かったが、伊藤さんはこの位の気温にちょうど良いと言っていた。
気に入ってくれたみたいで嬉しい。













「伊藤さん、焼き鳥買っていつもの公園で呑みませんか」

「いいね!買おう買おう!」

「いつも買う店どの辺でしょう」

「こっちだよ!」





「伊藤さん、どこに向かってるんですか」












僕たちは焼き鳥を何本か買い、公園で呑んだ。

気温は低く、店頭で焼いてくれた焼き鳥もすぐに冷めて固くなった。






「タケイちゃん!もっと色々やっていかないとダメなんだよ!俺らはM-1決勝に行く!そして売れるんだ!」


伊藤さんは鼻息荒く言う。
そう言う伊藤さんに迷いは無い。僕も行けると信じている。



「そうですね。伊藤さん、僕も色々やっていこうと思ってます。ネタ以外にも何か人の胸に刺さるようなことが出来ればと考えているんで」




「おい」





僕らは寒さに負けて、駅近くの日高屋に逃げ込み酒を呑んだ。

終電までの時間はすぐだったが伊藤さんがも呼んで一緒に呑もうと言ったので、僕は学を呼び、学はバイト終わりでやって来た。









日高屋で2,3杯呑んでドラゴンボールの話をした後、
僕らはいつも行くカラオケに向かった。


終電も無く、朝までのフリータイムなので、僕らは思い思いに好きな歌を歌った。




「俺エレカシ歌うよ!」





「良いっすねエレカシ!俺10‐FEET歌おう!」





「良いねまなぶちゃん!やっぱオアシス歌わないとなぁ!」






「伊藤さん!ドラゴンボールスーパーの曲入れたらアニメ見れますよ!」

「本当だ!俺見てなかったけどこんな格好良いんだね!」

「ですね!見ましょ見ましょ!」

「歌おうぜ」













伊藤さんは後半、完全に飽きてた。
伊藤さんは川副さんがいないと飽きるのも早い。




フリータイムの時間も終わり、僕らは店を出た。

僕ら三人は駅に向かって歩き、改札で各々別れた。



見上げた空は白んでいて、楽しい時間の終わりと向き合うべき現実が混在していた。
電車に乗って生活を考えて辟易した。

早く眠りたかった。






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