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インド人生2.0

「私が全部の責任負わなきゃいけないんですか!」
「他のところと私を比べるんですか!あちらさんがいいなら、そっち行けばいいじゃないですか!」
「何回も私資料出しましたけどなんで見てないんですか?」

少し前に、職場の中で(1対1であり、相手が私の話を聞くモードになっていた(人事だからそれが仕事)おかげで)実現できた「英語でブチ切れる」という体験を経て、何だか憑き物が落ちたようにすっきりした。気のせいだろうけど、これを機に前より英語がすらすら出て来るようになったような気もするし。

いくつかの点で会社の中で率直な議論(本当はこう思っていた、と互いにいうような場面)を体験したことで、割と心の中が落ち着いて来た。1年半のインド生活の中で、嫌だなぁと思っていたことも段々日常風景の中に溶け込んでしまい、「どうでもいいこと」に代わりつつある。

これって、まさか、真っ当に生きているということじゃない?

インド的性格とは、人間が普遍的に持ってる欲やら傾向に正直でいることなんだ(つまりインド人はとことん「人間らしい」のだ)と理解するところまでは昨年の段階で到達した。その中で、こちらが真剣に話しかければ何となく聞いてくれる(かもしれない)という体験をした。でもそれって人間だから当たり前よね。

興味ねえのに「仕事なんだから興味持ってよ!」と「深い興味を持たせてその分トレーニング工数を削る」のが当たり前で、教えもしないくせに「お前はここのお荷物だ」と詰られるのがノーマリティである日本的職場空間とは大違い。

そして、竹美さんは、そういう日本の職場が大ッ嫌いだったでしょう?なのにあなたはどこかで「相手が興味持つべきなのに持ってくれないので相手が悪いからもうインドなんか全部嫌い!」となっていた。そんなの未熟すぎるし自分を分かっていない。せっかく海外に来たんでしょう。何のため?自分を抑えて相手の様子を観察して溶け込もうとしたらどうなの。テクニックでしょ、そんなの難しいことだけど、難しい、他の人がやらないかもしれない、語らないかもしれない体験無しに、あなたは、インドの人に、どんな日本語と日本文化を教えたいの?

まあこれはちょっと創作だけどね。でも今そういう風に思っている。

そこで私のすべきことは、「彼らに興味を持ってもらえない」ことを嘆くフェーズから、「彼らの興味を引く」ことを探るフェーズに移行することだと分かった興味が無いんだから、分かろうとするわけがない!みんなそうじゃん!!

そう考えを変えてみると…全てが違って見えて来る。こういうのって新鮮ね…いつもネガティブな私が何かこう、現実というものを違った目で見ようとするなんて。過去にも、職場でのいじめとか、母の闘病を家族として体験したことや、「パヨクのための映画批評」の思想転向活動などなどの中で、時折体験してきたことではあったじゃない。その渦中は苦しくても、通り過ぎてみたら違った風に世界を眺めるようになることで、落ち着くという体験が。

今でもインドは、好きか嫌いかという対象ではない。ただの場所。でもただの場所だから、多分やっていけるはず。他の人がやらない道を辿って、普通の人がやらないやり方で何かを学ぶことができるなんて、豊かな人生だと思う。

でも、実践していることと言えば、相手の話している間にも隙を見て私が話を始めるとか、資料を用意して熱っぽく繰り返し話すとか、そんなことでしかない。今の会社の中で私に課せられた使命が分かって来たような気もする。そもそも、職場において「興味持ってよ」と言われる側ではなく、私の興味で進んでいる感じというのを、人生で初めて体験しているんじゃなかろうか。クリエイティブってそういうことなんじゃなかろうか。「あれがダメ、これがダメ」なんて誰も言わないの(私わかんねーもんとはよく言われるがw)。これは不思議なことじゃないんだろうな、インドでは。実に私に向いてるじゃないか。結局、恩師から「彼は奇才です」「無手勝流で頑張りなさい」と言われた方向で生きていく方に向かっている!会社員に擬態することで随分その言葉に抵抗したが、結局中途半端で誰からもいいと言われなかったんだから、もういいでしょう。体験としてとっときなさい。無駄にはならないし、いつか違った目で思い返すことができるでしょう。まず何より、あれが「自分の全て」だと思わなくていい。あとさ、他にもちょいちょい、友達関係でもトラブル起こしてきただろうあなたは。他人の繊細さに無関心なあなたは、皆が繊細であることがノーマルであると考える日本社会が向いてないんだよ。相手にとっては単なる厄介払いだったとしても、背中を押してくれているのだと思いなさい。そして、新しい自分でインド人生2.0をやってみせなさい。そうして初めて、あなたが憎んでいた前職の上司の気持ちを理解できるようになるんじゃないの。経験として自分のものにするってそういうことよ。多分。

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