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【歴史本の山を崩せ#009】『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子

《明治からアジア太平洋戦争までのスパンで読みとく日本と戦争の近代史》

日本近代史をテーマとして書いた本は数多ありますが、この本はその中でも秀逸な一冊です。
私も毎年のように読み返しています。

東大教授の加藤陽子さん(日本近代史)が神奈川県の私立・栄光学園の中高生に向けて行った5日間の講義をもとにしたものです。
一般の学生に向けて行われたものなので、専門家ではなくとも十分に読むことができます。
しかし、かといって決して軽薄な内容ではなく、当時の社会背景を踏まえながら、時間の流れと空間の条件から織りなされる人々の営み…即ち歴史というものを見事に描き出しています。
学生との対話を通じて進められる講義は、抜群に面白いです。

タイトルのとおり、この本は明治維新以降に日本が関わった「戦争」を主軸としています。
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、そして、アジア太平洋戦争です。
日本近代史で「戦争」といった場合、多くのひとはアジア太平洋戦争を思い起こし、同時に最悪の時代だったというイメージを浮かべるのではないでしょうか。
同じ「戦争」なのに、明治・大正期の「戦争」にはあまり悪い印象を持たないのは何故でしょう?
日本は昭和になって突然おかしくなったのでしょうか?
明治維新からの長いスパンを丁寧に見返し、日本が何故、「戦争」を選んだのかを考えます。

歴史は多数の要素が複雑に絡まり合いながら作られます。
軍部の暴走、無能な政府、そして騙された国民という、「わかりやすいストーリー」から離れて、いくつもの「戦争」を選んだ日本の近代史を振り返ってみませんか。

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
著書:加藤陽子
出版:朝日出版社
初版:2009年
定価:1700円+税

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