子どものつぶやきと教師の見取り・役割~学習科学の視点から~

東北の先生応援!学びチャットルーム
第10回応援チャット学びの会

子どものつぶやきと教師の見取り・役割~学習科学の視点から~
というテーマで発表させていただきました。
学習科学は、認知心理学の研究分野で、歴史的にはまだ20年程度と浅いですが、令和型の教育を実現させていくためには不可欠な研究分野だと思っています。
協同的な学び・個別最適な学びともに、どちらも引き起こすことが可能だと思っています。

詳しくは、今回、発表したスライドの抜粋をご覧ください。

1 学習科学の研究とは
人がもともと持っている「学びの力」はどん な環境によって引き出されるのかを実際の授 業における子どもたちの姿から検証する

2 人がもともと持っている「学びの力」とは
他人と自分の違いを活かしながら他人から学ぶ力 自分の考えていることを他人に説明してみて自分 の考えを変えていく力

3 建設的相互作用とは
一人ひとりの意見が、建設的な方向で、たくさんの問題が解けるような 抽象化の方向で変わっていく相互作用
一人ひとりの人に「考えを外に出して確認してみる場面(課題遂行)」と「他の 人のことばや活動を聞いたり見たりしながら、自分の考えと組み合わせてよりよ い考えをつくる場面(モニタリング)」 誰かが考えを出してみると、話を聞いていたもう一人がその人の言葉や活動を聞いて考える。今度はその人が話し出したら、さっきまで自分が考えていた人が、 他人の言葉を聞いたり活動してみながら、自分の考えを見直していく。
参加者一人ひとりが、「課題遂行とモニタリングをくるくると行き来している」このとき一人ひとりの頭や心の中で建設的相互作用が起きる。

4 学習科学は目指す授業とは
建設的相互作用を同時多発的に引き起こすこと
建設的相互作用を引き起こすために必要なこと→よりわからない人の疑問視の外化
わかっている人は、理解レベルをより分からない人のレベルまで下げ る必要が出てくるため、より細かく自分の考えを編み直す必要が出て くる。その過程の中で、わかったつもりになっていたことがわかって いなことに気付き、学び直すが起こる。相手に説明をしていたのに、 いつのまにか自分の学び直しになっていく。この学び直しによって、 より深く学ぶことができるようになる。

5 建設的相互作用を引き起こす可能性が高い 環境、学び方、行為
インフォーマルな環境
いつでも対話ができる環境
教師の「置いてくる」という行為
同じものを見るという共同注視
問うこと
よい聴き手の存在
ワールドカフェ形式学習

6 子どもたちの姿から見えてきた「疑問視」が 内側にこもってしまう状況
①偽物の「うん」「あ、そっか」という納得 →納得への疑問
②「・・・なんか」という曖昧な説明 →「なんか」への疑問
③無反応や首をかしげるのみの対応 →しぐさへの疑問

7 「提案」する側へ働きかけること
① 説明したら、相手がどんなことをしているか→ 見届けよう
② 何を根拠に考えたのか、根拠にしたものを→ 見せよう
③ どこの部分か→ 指をさそう

8 参考引用文献
学習科学ハンドブック[第二版]効果的な学びを促進する実践/共に学ぶ 第2巻 R.K.ソーヤー編 大島純・森敏昭・秋田喜代美・白水始 監訳 望月俊男・益川弘如 編訳
協調学習 授業デザインハンドブック第3版-知識構成型ジグソー法を用いた授業づくり- 東京大学CoREF 学習科学からの視点-新たな学びと評価への挑戦- 益川弘如
建設的相互作用経験の蓄積が協調的問題解決能力の育成につながるか-縦断的な発話データを用いた能力発揮場面の分析- 益川弘如 河美保 白水始
協同の知を探る 創造的コラボレーションの認知科学 岡田猛・植田一博編著 2000 共立出版
評価の刷新-「前向き授業」の実現に向けて- 白水始
学習者中心型授業へのアプローチ-知識構成型ジグソー法を軸に- 三宅なほみ 齋藤萌木 飯窪真也 利根川太郎
学習科学:協調的な実践科学と理論構築との互恵関係を目指して 三宅なほみ
主体的・対話的で深い学びに導く 学習科学ガイドブック 大島純・千代西尾祐司 編
協調学習とは 対話を通して理解を深めるアクションラーニング型授業 三宅なほみ 東京大学CoREF 河合塾編著
「わかろうとする」が持続する授業づくり-建設的相互作用に注目して- 2016 村山豪
教室内で建設的相互作用を引き起こす学習環境づくり-知識の公共化に着目して- 2017 村山豪

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