マガジンのカバー画像

東京ノ頽廃地区

7
首都圏の暗黒街探訪。格差を敵視する者たちよ、これが下層社会の実相だ。「自然は貴族主義的であり、封建制やカースト制以上に貴族主義的なのだ」(ショーペンハウアー)(各記事は有料コンテ… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

『東京ノ頽廃地区』目次

巻頭言東京都区部(23区)文京区 小日向──ワンルーム・マンションは迷惑施設? 中野区 中野──ポルノ出店騒動の最前線 豊島区 池袋北口──徘徊する女衒と新華僑の街 足立区 綾瀬──凶悪殺人事件の地はいま ⁂ 付録マップ

小日向──ワンルーム・マンションは迷惑施設?

皇居の北側に位置し、池袋に程近い文京区の小日向は、かつては武家屋敷があり、名だたる文人たちも居を構えていた、都内でも有数の高級住宅地である。貧困や劣悪な住環境とはおよそ無縁の土地柄だが、目下あるトラブルが発生している。地域内にある新渡戸稲造の旧居跡に、ワンルーム・マンションが建設されているというのである。一体何が問題なのか。

有料
300

中野──ポルノ出店騒動の最前線

先月の末、「Twitter」でのとある投稿が耳目を集めた。 これは、東京の中野にある商業施設、中野ブロードウェイに入居している衣料品店Spank!が投稿したもの。なんでも、自店の真正面に、ポルノグラフィーを扱う店舗ができたというのである。 この投稿をめぐっては、配慮が足りないとか営業妨害だなどとSpank!を擁護する声もあれば、法に触れているわけでもないポルノショップに対する衆人を利用した不当な圧力だと批判する声もあった。 Spank!はポルノショップの開店以降、実店舗

有料
300

【付録】『東京ノ頽廃地区』マップ

『東京ノ頽廃地区』で取り上げた地域を示した地図です。随時更新。

綾瀬──凶悪殺人事件の地はいま

東京の北東部に位置する足立区といえば、治安の悪い場所として誰もが眉をひそめる、文字通りの東京の鬼門である。そのイメージを決定づけたのが、昭和の終わりに綾瀬で起こった女子高生監禁殺人事件であろう。 詳細に言及するのも憚られるが、事件のあらましは、不良少年のグループが1988年11月に埼玉県三郷市で帰宅途中の女子高生を拉致し、足立区綾瀬にあるメンバーの自宅に監禁して、40日以上にわたってなぶり続けて死なせた後、遺体をコンクリート詰めにして江東区の埋立地に遺棄したというものである

有料
300

池袋北口──徘徊する女衒と新華僑の街

筆者が初めて池袋を訪れたのは、就職活動で名古屋から上京したときのことであった。それ以来ずっと、何となく辺り一面に灰色の澱んだ空気が立ちこめる、陰鬱な街という印象を抱いていた。 池袋駅に降り立てば、誰でもその陰鬱さに気づくはずだ。改札を一歩出れば、目に付くのはたむろする浮浪者や周辺の俗めいた街並み。毎度不動産業界が吹聴する「住みたい街」のイメージとはほど遠い。 池袋で健全な施設といえばせいぜい淳久堂書店か東京芸術劇場くらい、あとはディスカウントストアや飲食店の他は、遊技場か

有料
300

『東京ノ頽廃地区』巻頭言

1396万の人口(2021年推計)を擁する東京都。 日本の事実上の首都として機能しているこの都市には、諸外国に見られるようなスラム街こそないものの、下層民が集住する地域というのは儼然として存在する。その界隈をつぶさに観察してみると、細民をして細民たらしめる要素が浮かび上がってくるものだ。この『東京ノ頽廃地区』は、そうした下層社会の実情を白日の下に晒すべく、東京各地にある貧民街や娼窟、犯罪多発地帯といった荒廃地区を筆者が実際に見聞してまとめたものである。 貧困というテーマに