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「デジタル看護入門」「離島の保健師をやってみた」合同テーマ 番外編① 〜実際に離島で経験した医療✖️ICT その1〜

 今回は、私が沖縄県の離島で保健師をしていた時に、実際に現場で経験した医療ICTをご紹介します。少し前の話になりますが、ユビキタス特区という特別な枠組みで、企業と自治体が協同して、医療ICTを活用した特定保健指導の実証実験が行われました。保健師として、このプロジェクトの中心メンバーとして、事業に参加させていただきました。

 実証実験が行われた座間味村は、沖縄本島の那覇から南西へ約40kmの位置に存在する慶良間諸島にあります。座間味島・阿嘉島・慶留間島の3つの有人島を含む、大小20余の島々からなる離島村です。村の役場には主となる保健事業担当の保健師が1名、地域包括センターの保健師が1名、国保担当の保健師が1名、配置されていました(実証実験当時)。有人島が3つ存在するため、村内の島から島への行き来は村内航路の船を利用します(1日4便往復)。村の保健師は村内の住民の家庭訪問のため、ほぼ毎日、村内の島々を行き来しています。

 2008(平成20)年に、座間味村は総務省のユビキタス特区の指定を受けました。2009年2月からは、NTT西日本などとの協働で新しい特定保健指導の実証実験「アクティブタグを活用したユビキタスヘルスケアプロジェクト」に取り組みました。このプロジェクトは,日々対象者が計測する「バイタルサインデータ」(歩数・血圧・体重)を対象者が複雑な操作することなく自動的に情報収集・管理を行う「ユビキタスヘルスケアサポートシステム」を活用することで、効率的かつ遠隔的な保健指導サービスが可能となる仕組みづくりをめざすものでした。

 総務省のユビキタス特区事業は、わが国のICT産業の国際競争力強化を図ることを目的とした,2008年から2010(平成22)年までの3か年の実証事業でした。ユビキタス特区とは,ユビキタスネットワーク技術などを活用した新たなサービスの開発、実証実験ができる環境を整備した区域のことです。ユビキタスネットワークとは,いつでもどこでも情報ネットワークに接続しサービスが利用できるICT環境を指します。
 
 座間味村はこの特区の指定を受けて,ユビキタスネットワークを特定保健指導に活用するプロジェクトが実際に行われました。(続く)

フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。