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「離島で保健師をやってみた」第8回 〜沖縄本島 出張編〜

 今回は、離島の生活から解放された「出張編」をお送りします。2年間の離島生活で、島の外、つまり沖縄本島および周辺の島々などに出張をした回数は、ほんのわずかでした。おおよそ月に1回ほどのペースで沖縄本島に行きましたが、保健師の研修は案外多く、全部参加していたら、週1ペース以上になるくらいです。陸地が続いている市町村であれば、すべて参加できるかと思いますが、離島の場合はそうもいかず(前回説明した通り、1日の研修が2泊3日になります)、かなり厳選して研修などへ参加していました。

 主な保健師の研修としては、新人保健師の現任教育のための勉強会、保健所で行われる制度の見直しなどによる連絡会、いくつかの離島の保健師が集まる合同報告会などがありました。各事業の研修会は本当に多くありました。

 特に印象に残っているのは、新人公務員研修会です。沖縄県の全部の市町村の新人として採用された公務員があつまる5日間の合宿系の研修でした。沖縄県の市町村で働く公務員のみなさんは、新卒の人が少なく、内地(本州)でしばらく他の職業を経験してから、地元に貢献しようと沖縄の故郷に戻り、公務員を選択するケースが多いようで、研修に参加した新人公務員の平均年齢はおよそ30歳でした。なんとなく沖縄っぽいなあと思ったと同時に、たくさんの地域で社会人として研鑽し、その経験を公務員として、地元に還元するというカタチは理想的だなとも感じました。たった5日間の研修でしたが、実際の沖縄の若者(当時は私も若かった?(自分33歳))と密に接することができ、いろいろな学びがありました。

 そのほか、精神や難病の住民の関連した病院への訪問、あるいは高齢者関連の施設の視察など、回数は少なかったですが、いろいろな内容で出張を行いました。最初のころは、出張することで、ある程度気分転換ができていましたが、だんだんと保健師として責任感が強くなってくると、島を離れることで、島の住民のことが心配になり、島に不在となることのストレスを感じるようになりました。最終的には、あまり島を離れたくない状況となり、どうしても参加しなければいけない研修以外は欠席するようになりました。今思えば、この状況でも、気分転換のために、ある程度の出張には行くべきだったのかなあと反省しています。

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フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。