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「右傾化するヨーロッパ」考

September 12 2022

Transcription

A Ukrainian army spokesman says Ukraine's military has retaken several villages and pushed Russian forces back across the northeastern border with heavy losses.

In Sweden, early election results suggest the conservative Sweden Democrats are likely to become the country's second largest political party.

In London, Charles III speaks to Britain's parliament for the first time as king, promising to uphold the nation’s constitutional government.

And hundreds of people in Hong Kong pay their respects to the late Queen Elizabeth II by placing flowers and gifts at the British Consulate General.

訳例

ウクライナ軍報道官によると、ウクライナ軍はいくつかの村を奪還し、ロシア軍を北東部の国境の先まで押し戻しました。ロシア軍は大きな損失を出しました。

スウェーデンでは、開票速報によると、 保守派のスウェーデン民主党が国内第2位の政党になる可能性が高いことが示されました。

ロンドンでは、チャールズ3世が国王として初めて議会で演説し、憲政を維持することを約束しました。

そして、香港では数百人の人々が英国総領事館に花と贈り物を捧げ、故エリザベス二世に敬意を表しています。

勝手に探究

スウェーデンが政権交代するかも、とのニュースです。

日本のメディアの紹介からは、 野党の「スウェーデン民主党」は「極右」で、なにやら危険な政党だと感じさせます。ちなみに、ヨーロッパでは「極右政党」が人気上昇中で、フランスの「国民連合」や「イタリアの同胞(FDI)」、「ドイツのための選択肢(AfD)」などが支持を集めています。これってヨーロッパに危機が訪れる前兆なんでしょうか。

というか、「極右」って極端な右翼主義のことですよね。その定義を改めてチェックしてみましょう。

<極端に右翼的な思想を持つ個人や政治集団つまり過激派を指す。対義語は極左である。極右の思想の中には、全体主義、ネオナチ、国家社会主義、ネオ・ファシズム、民族主義、白人至上主義などが含まれる場合がある。>

全体主義は戦前の日本がよく例に出され、個人主義を否定しているイメージがありますし、「非国民が!」なんて罵られたら「右翼だな」と思ってしまいます。しかし、国家社会主義も極右にカテゴライズされています。国家社会主義って旧ソ連ですよね?社会主義は左翼のような・・・。

まぁどちらも個人の自由はかなり制限されそうで、それをもって「右翼」と定義するならどちらも「右翼」でいいんでしょう。よって、右翼とは個人の自由を制限するもの、としておきます。

ということは、「左翼」は右翼の対義語なので、個人主義ってことになりますね。「自己責任」、「小さな政府」、極端に考えれば「無政府主義」。そこまでくると確かに左翼です。

※右翼・左翼について、以下のページの回答が秀逸です。是非ご一読ください

今の日本はどうでしょう。左右どちらの要素もあるのですが、社会的には同調圧力が強いので右翼寄りですかね(ここでの「右翼」は「皇室があるので右翼」とかではなく、あくまで個人の自由度の話です)。

ただ、個人主義も浸透しています。一昔前なら「わがまま」だとか「甘え」だとか言って一刀両断していたようなものでも、今ではすっかり市民権を得ました。高校も単位制や通信制で問題なし。好きなことを好きなようにやっていても大学進学は普通に出来ます。大学側も、授業料が払えて授業を理解できる学力があるならどんな思想を持っていようが(特に聞くこともなく)入学を許可します。

そう考えると、個人主義を実践している大学側は左翼的であるといえます。一方で、個よりも公を重んじがちな義務教育や高等学校は右翼的であり、大学教育とは根本的にスタンスが違うことに気付きます。

大学が高校に求めることと、高校が大学に求めることの相違はそんなところから生まれてくるのでしょう。だとしたら、そのギャップは埋められるものではないような気がしてきました。

・・・話が脱線してしまいました。ヨーロッパですね。「極右政党」の人気について。

ヨーロッパは手痛い戦乱を経験し、ナショナリストの出現を忌避してきました。EUの設立もヨーロッパの平和と発展のための知恵でしょう。

しかし、「ひとつのヨーロッパ」が目指す崇高な目的がある一方で、自分たちの生活に望まざる変化を感じる人たちが出てきました。それが最近になって顕在化しているようです。

「国家存亡の危機」を感じてEUやNATOに加わろうとする国とは状況が違いますが、EUに加盟して長い国々にも、実は危機が訪れていたと言っていいと思います。

果たしてその新しい危機は、時代の必然なのか、「左翼」による意図的な誘導なのか。

バラバラになった個を意のままに操ろうとする組織なんかが背後にいるように見えてしかたないのは、ちょっと疲れが溜まっているからかもしれません。

そんなイカれた視点からは、「右傾化するヨーロッパ」は、自分たちの暮らしを自分たちで守ろうとする健全なナショナリズムに見えます。選挙に不正やおかしな干渉がなければ、近い将来そんな右翼の政権が緩やかに国際関係を築くこともありそうです。

さて、それで世界は平和になるのでしょうか。(コロナ禍以前のように)気軽に海外旅行に出られるのでしょうか。海外の文化や物産を享受できるのでしょうか。

外国の政治は左右のどちらでも構いません。問題はそこです。

参考にしたページ

https://www.washingtonpost.com/world/2022/09/12/king-charles-parliament-westminster/


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