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シック・オブ・マイセルフ(2022)

予告編を観て気になって気になって仕方がなく、公開されたばかりのクリストファー・ボルグリ脚本・監督「シック・オブ・マイセルフ」を観てきた。

度が過ぎた女性主人公の行動には心の底から気分が悪くなるが、かつてない鑑賞後感が残る映画。ある意味、傑作!

シグネの人生は行き詰まっていた。長年、競争関係にあった恋人のトーマスがアーティストとして脚光を浴びるも、自分はまだ何者でもない。恋人への激しい嫉妬心と焦燥感に駆られたシグネは、大袈裟な嘘をつき、みんなの会話に強引に割って入り、何とかして自分に注目を集めようとする。

それでもなかなか気に留めてもらえないことから、ネットで調べて副作用で皮膚が酷く炎症する違法薬を手に入れ、薬を大量に飲むことで自らの外見を破壊し、それを「謎の病気」とマスコミに売り込む。

しかし、恋人の関心は多少引けたものの、自分がイメージしたほど友人や世間で大きな話題にならないことが不満で、彼女の行動はますますエスカレートしていく…

自己愛と承認欲求をテーマに、人に注目されたいがあまりに狂ったような行動に出る主人公には全く共感できないが、単にデフォルメされているだけで、現代社会に巣食う精神的な問題のひとつを見事に捉えていると思う。

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で絶賛されたというのも納得。この手の、"ちょっと嫌な気分になる映画"に耐性がある人は、観るべき一作だと思います。

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