TADASHI TAKEZAKI

単なる映画大好きな人なので、ここには映画のことだけ書いていきたいと思ってます。ヘンテコ…

TADASHI TAKEZAKI

単なる映画大好きな人なので、ここには映画のことだけ書いていきたいと思ってます。ヘンテコ映画も大好きなので、愛のある感想を面白おかしく書きたいな。

最近の記事

アイアンクロー(2023)

ショーン・ダーキン監督の「アイアンクロー」を観た。 僕は(「タイガーマスク」以外)プロレスにはほぼ無頓着に生きてきたので、"鉄の爪=アイアンクロー"が得意技だったアメリカプロレスラーの存在は知っていても、この映画のベースとなった実話、アイアンクローの主フリッツ・フォン・エリックの家族が次々と悲劇に見舞われ「呪われた一家」と呼ばれるようになるエピソードは知らなかった。 それくらいプロレスやフリッツ・フォン・エリックのことを知らない僕が観ても、この映画はとても胸に来るものがあ

    • リゾートバイト(2020)

      これまた劇場公開時にタイミングが合わなかった永江二朗監督の2020年作品「リゾートバイト」を見た。86分という短さもいいなと思って。 予備知識なく、タイトルとポスターだけ見てる分にはわからないのですが、これ、ネット上の都市伝説を元に作られた"怖い話"です。 3人の若者が、離島の旅館にリゾートバイトにやってきたら、なんだか島にも旅館にも不穏な様子が見え隠れ… その真相を探ろうと踏み込んだらなんと! ってなお話なんですが、全体的に低予算な印象が拭えない画作りながら、なかなか

      • 胸騒ぎのシチリア(2015)

        ルカ・グァダニーノ監督「胸騒ぎのシチリア」を見た。劇場公開時に見逃していた2015年の作品。なんでも、1969年の映画「太陽が知っている」のリメイクらしい。 物語の舞台となるのは、ユネスコの世界遺産に登録されているパンテッレリーア島。この島の風景がとにかく素晴らしい。広大かつ美しい風景の中で、人はちっぽけに見えるが、そんなちっぽけな人間の中にある感情の揺れはとても大きい。 ロック・スターのマリアンは声を失い、恋人のポールと2人、この島で静養している。そこに乗り込んできたの

        • ARGYLLE/アーガイル(2024)

          マシュー・ボーン監督の「ARGYLLE/アーガイル」を観た。ノリノリの派手派手のコメディータッチなスパイアクション映画。監督の過去作「キングスマン」シリーズにさらに予算をかけてゴテゴテに飾りつけました的な豪華な仕上がりでした。単純に面白いです。 凄腕エージェントが謎のスパイ組織の正体に迫る大人気小説「アーガイル」の作者エリー・コンウェイは、自宅で愛猫アルフィーと過ごすのが至福の時という平和主義者。 だが、新作の物語が実在するスパイ組織の活動とまさかの一致で、エリーは謎の男

        アイアンクロー(2023)

          Netflixドラマ「三体」

          Netflixドラマ「三体」シーズン1、全8話を見た。 原作が面白いと話題で、すぐに買って読み始めたものの、設定の複雑さと登場人物の名前の判別についていけず、2巻のアタマまでしか読んでなかったんだけど、このドラマ版は舞台をイギリスに移して物語をわかりやすく整理してくれたので、割と見やすかった。 それでも、SF作品特有の難解さはあるんだけどね。原作をずいぶんアレンジして連続ドラマとしての物語構成、人物構成にしてあるとのことで、そういう意味では原作と異なる部分はあるにせよ、こ

          Netflixドラマ「三体」

          ビニールハウス(2022)

          まだ29歳という若さのイ・ソルヒ監督が、自身の認知症の祖母と、祖母をケアする母親の関係性からオリジナル脚本を書き、自ら監督した映画「ビニールハウス」。第27回釜山国際映画祭で3冠。 こういうことが起きると嫌だなぁ…と、想像できる限りめいっぱいの"気分が悪くなる出来事"を並べて、それが一つのきっかけから連鎖反応的に、ドミノ倒しのように次々と起きるためにはどのように設計すれば良いかを考え尽くした、まさに計算高い、頭の良い、見事な完成度の"胸糞悪くなる"タイプの映画でした。 観

          ビニールハウス(2022)

          籠の中の乙女(2009)

          ヨルゴス・ランティモス監督の2009年作品「籠の中の乙女」をようやく見た。第62回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ。第83回米アカデミー賞では、外国映画賞にノミネートされた作品。 今日はこの言葉を覚えましょう。 "海"とは、皮張りのアームチェアのことです。 "高速道路"とは、とても強い風のこと。 "遠足"とは、硬い建築資材で建物の床に使われます。 思春期を迎えた3人の若者が、自宅でこんな教育を受けている奇妙なシーンから映画は始まる。 ギリシャの郊外にあるプール

          籠の中の乙女(2009)

          ドル3部作 4Kリマスター

          髭面で葉巻を噛んだ顰めっ面が超カッコいい流れ者のガンマン=クリント・イーストウッド、顔や目の超クローズアップと引きの画を組み合わせ、静寂の中の睨み合いで緊張感と圧力をググっとかけてくる=セルジオ・レオーネ監督、そしてこれまたかっちょいい"口笛"と斬新な曲で唸らせるエンニオ・モリコーネの音楽。 1960年代に大ブームとなった"マカロニ・ウェスタン"を代表する「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続 夕陽のガンマン/地獄の血斗」通称《ドル3部作》が、リマスターされて映画館のスクリ

          ドル3部作 4Kリマスター

          アメリカン・フィクション(2023)

          今年のアカデミー賞候補作品ながら日本では劇場公開されず、たいした告知もなしにサラッとAmazonプライム見放題に入っている(ある意味でお得とも言えるわけですが…)コード・ジェファーソン監督「アメリカン・フィクション」を見た。 主人公の"モンク"は頭も良く、しっかりと自分の意見を持った人物で、作家と大学教授を兼業している。彼は自身が黒人であるものの、黒人に対する差別的な言葉を否定するではなく、その言葉が生まれた背景を含めて理解すべきと大学で教え、白人の学生に「それは黒人に対す

          アメリカン・フィクション(2023)

          コヴェナント 約束の救出(2023)

          ガイ・リッチー監督の「コヴェナント 約束の救出」を観た。 2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いる米軍のジョン・キンリー曹長は、アフガン人通訳として非常に優秀だが簡単には人の指図を受けないアーメッドを雇う。通訳には報酬としてアメリカへの移住ビザが約束されており、もうすぐ子供が生まれるアーメッドは移住ビザを必要としていた。 やがて部隊は爆発物製工場を突き止めるが、タリバンの司令官に大量の兵を送り込まれ、キンリーとアーメッド以外は全員殺され

          コヴェナント 約束の救出(2023)

          ソイレント・グリーン(1973)

          リチャード・フライシャー監督の1973年作品「ソイレント・グリーン」は、"ネタバレ一発アウト"な映画です。 2022年のニューヨークは、人口が4千万人となり、激しい人口増加で住む場所もなく、道路やアパートの階段や至る所に人がひしめき合っている。また、極度の地球温暖化により植物も動物も生きられなくなった世界では食料不足に陥り、人々は週に一度政府から配給されるソイレント・グリーンという、ソイレント社が海のプランクトンから作るという味もしない合成食品を食べながら細々と暮らしていた

          ソイレント・グリーン(1973)

          奇跡(1954)

          カール・テオドア・ドライヤー監督の1954年作品「奇跡」を見た。原題は「Ordet」で、解説によるとギリシャ語のlogos(=言葉)をデンマーク語に訳すとOrdet。つまり、「はじめに言葉(=logos)あり 言葉は神と共にあり 言葉は神なりき」というヨハネ伝の書き出しにもあるキリストの「御言葉」がタイトルになっている作品で、まさにそのまんまの内容。 1930年代のデンマークに住む老農場主モルテン・ボーエンは、とても信仰心の強い人物です。長男ミケルは神を信じないものの、その

          愛欲のセラピー(2019)

          「落下の解剖学」が話題になっているジュスティーヌ・トリエ監督の前作「愛欲のセラピー」を見た。 主人公のシビルは、以前はベストセラー作家だったが、その後精神科医に転身していた。しかし、10年ぶりに創作意欲が湧いた彼女は再び小説を書くことを決めた。 紆余曲折ありながら患者を同僚のセラピストへ引き継いでいくが(そのやりとりを見ていると、患者とセラピストの関係性の難しさをしみじみと感じる…)、女優のマルゴは引き継ぎを拒み、シビルにセラピーを続けて欲しいと粘る。 作家に戻ると宣言

          愛欲のセラピー(2019)

          マダム・ウェブ(2023)

          何かと話題の(!?)S・J・クラークソン監督「マダム・ウェブ」を初日の朝に観てきたよ。 事故をきっかけに何となく未来予知らしきことが出来るようになった救命士のキャシーが、謎の男に殺されるビジョンを見た3人の少女を救ったことをきっかけに、4人が徐々に絆を深めながら敵と戦う姿を描く。 マダム・ウェブ誕生のお話ですね。敵も自己中な小物でしかないし、話運びもやや雑な気がしないでもないけど、そんなに酷評するような出来ではないと思った。ダコタ・ジョンソンは(ラストの姿を除けば)いいけ

          マダム・ウェブ(2023)

          枯れ葉(2023)

          2017年に監督引退宣言をしたアキ・カウリスマキ監督が、6年ぶりに帰ってきた。新作はロシアとウクライナの戦争のニュースが日々ラジオから流れるフィンランドに生きる、市井の人たちの物語で、タイトルは「枯れ葉」。 スーパーで働くアンサは、賞味期限切れで捨てる食品を少し持ち帰ったことを理由にクビにされ途方に暮れる。同じ街のスクラップ工場で働くホラッパは朝から晩まで酒浸りで、仕事中に隠れて酒を飲んでいるのがバレてクビになる。 そんな2人がある夜、カラオケバーで出会い、なんとなく目が

          SISU/シス 不死身の男(2023)

          ヤルマリ・ヘランダー監督「SISU/シス 不死身の男」。直球ど真ん中勝負! これっぽっちもブレがない気合いの入った作品です。 1944年、第二次世界大戦末期。ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。凍てつく荒野を旅する老兵アアタミ・コルピは、愛犬を連れ、掘り当てた金塊を運ぶ途中でナチスの戦車隊に遭遇し、金塊も命も狙われる。 アアタミが手にしているのは<ツルハシ1本>と<折れない心SISU>だけ。それでも戦場に落ちている武器と知恵をフル活用し、ナチ

          SISU/シス 不死身の男(2023)