ラグビー日本代表の成長曲線

今夜、スコットランドとの大一番を迎えるラグビー日本代表。3連勝していることもあり、ラグビーを知らないメディアには楽観的な雰囲気が漂っているが、全然簡単な試合ではない。それは選手が一番感じていることだろう。

1試合も楽勝な試合はなかった

今回の日本は、初戦のロシアには楽勝だろうと思っていた人も多かったと思うが、ふたを開けたら全くそうではなかった。開幕戦のビッグゲームに合わせて、ロシアはしっかり調整し、日本のキャッチミスを逃さずに先制トライをとった。最後には日本ペースで点差がついたが、立ち上がりのあたふたした感じは、相当なプレッシャーの中で試合をする難しさを選手自身が体感しただろう。

2戦目のアイルランド戦は、非常に保守的なゲーム展開で、ミスをした方が負ける、強豪国同士の素晴らしい試合だった。負傷していたセクストンがいなかったことで、アイルランドの攻撃が淡白になりなり、日本が守りやすくなったことで相手が自滅した。今までの日本代表の試合の中のベストマッチと言える試合だった。

3戦目のサモア戦は、フィジカル勝負に来るサモアに対してしっかり守り、相手の規律と体力がなくなるまで粘り続けて試合をした。しかし、サモアのモチベーションも非常に高く、さらに最後までトライをとることを諦めず、誇りを持った戦いを選択した結果、それを上回る勝利への執念を見せた日本が4トライ目をとり、ボーナスポイントつきで勝利した。

つまり、最後まで手に汗を握る展開での3連勝ということになる。

全部の試合が接戦なのは日本、オーストラリア、フランスくらい

今回のW杯で目立つのは、強豪国との対戦で、ノートライとか0点で負けるパターンが結構ある。一方、日本・オーストラリア・フランスは毎回かなり苦労して勝っている。その中でも、全勝しているのは日本だけである。プールAの1敗しているアイルランドやスコットランドも、他国との試合は大差で勝っている。三日前に試合があったスコットランドにいたっては、レギュラーメンバーを総入れ換えしたメンバーでもロシアに圧勝だった。試合日程の有利さがあるものの、常にベストメンバーで全力を尽くして勝利してきた。いい緊張感の中で試合している唯一のチームということになる。

どうしてこんなことになったのか?

相手を圧倒することもないが、着実に勝利を重ねる日本。非常に不気味な存在になっているのは間違いない。弱くはないのは証明しているが、強さが本物かどうかわかりにくい。試合開始直後から相手を圧倒するわけでもなく、最終的に一方的に突き放すわけでもない。これが日本の立ち位置なんだと思う。今回の日本の最大の武器は、最後まで展開ラグビーをやりきるための体力だろう。いくら、フィジカルを強化したからといって、80分間、南アフリカとバチバチやりあえるほど強くはない。コンタクトでは負けないが、相手の強いところでは戦わない。超高速のプレーの連続で相手の体力と知性を疲弊させる。そのためには、自分達もスタミナを失っては、最後の最後で正しい判断ができなくなる。つまり、60分以降にピークを持ってくるような戦術をとっているため、序盤から飛ばさずに淡々と試合をしていることがこの結果につながっていると思われる。

スコットランドへ勝利するために

そういう意味では、スコットランドも、粘り強く厄介な相手だ。同じような戦術でヨーロッパの大国と毎回やりあっているのだから。似た者同士の対戦は、非常に難しい。基本的には、アイルランド戦と似たような試合展開で、コートの中央付近でひたすらボールをキープしながら徐々に前進し、相手の反則でペナルティゴールの得点を積み重ねる。相手の陣形が崩れたときに、ワイドにボールを展開して松島や福岡でトライをとる、というのがゲームプランだろう。あとは、反則をせずにとにかく粘り強く守る。この試合は反則の多い方が負ける。9-6で日本が勝つ。そんな試合を期待している。

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