精神科医R.D.レイン論 1-⑤ 愛のポリティクス
賞賛する者からも、批判者からも、レインは「”分裂病”なる病名はただのレッテル貼り」だと主張した「反精神医学運動の旗手」である、などと語られるのが常であり、それはもはや戦後の精神医学史を語る際のクリシェになっている。しかし彼自身は、「自分は”反精神医学者”ではない」と明言していた。
そして、ここまでみてきたようなレインの言葉をなぞってゆくならば、そのような否認が決して日和見的なものではないことが見えてくるだろう。たしかに、著作の中には、一文を取り出してしまうと、「反精神医学的