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カスタマーサクセスは●●●●にハイタッチすることが、顧客の成功に繋がる?

このnoteは、22年11月8日に開催された、 ▶ リアル開催!BtoB×SaaS×CS LT#11 での自身の登壇内容を改めてまとめたものです。
主催頂いたコミューン㈱の駒谷さん、一緒にイベントに参加した皆様、ありがとうございました!

いきなりなんですが…

よく聞くこと・思うこと

こんなこと、よく聞きませんか?思いませんか?

これまで書いてきたnoteにもあるように、僕の興味あるテーマの1つに「CS組織のスケーラビリティ・成長の再現性」があります。

過去のnote参照

今回は、そんなテーマにも沿ったお話。
以下、目次&本編です。

主旨・結論

まず本記事の主旨・結論から言います。
それは…「顧客の成功も組織の成功も似ている。成功への道のりは一足飛びに非ず。顧客の成功を目指してハイタッチするかの如く、組織へもハイタッチしていきましょう」です。

そんなお話をした背景には、自分の中で過去苦い経験・失敗があります。その失敗は、自分のみならず、多くの組織・人で起きうるようなものです。

今私は、SORABITO株式会社という企業のカスタマーサクセス組織にいますが、事業もカスタマーサクセスも、まだまだこれから発展途上の状態です。

SORABITOの(CS)状況

SaaS事業をはじめてから&カスタマーサクセス組織ができてからまだ全然時間が経っていません。
これから成長をしていく中で、過去の失敗から学び、壁を乗り越えていくことに再挑戦をしている真っ最中です。

過去の苦い経験

少し自分の過去の状況をお話していきます。
※伝わりやすいように、多少事実より極端な言い方もしていきます。

私が所属していたカスタマーサクセスの組織は1年目、5名前後の組織でした。まだまだ発展途上で、今思うと拙い顧客渉外や、筋の悪い施策もトライしていました。
特に当時は、今よりカスタマーサクセスに関する情報や知見も、自身の中にも市場にもあまりなかったこともあり、諸々手探りだったように思います。

ただ、当時の組織は小さな組織のため、何をするにしても情報は半ば勝手に行き届きます。また、自然に情報共有も密になるため、顧客渉外の手法もすりあわせやすい状態でした。
もちろん各人の得意領域・能力に違いはあれど、顧客に対しての支援の質に、そこまで差はなかったように思います。

そんな組織は、2年目に15名前後になります。

この頃は、ある程度役割分担ができてきたり、組織の中でもチームが別れてくるようなタイミングでした。多少の差はあれど、それでもやはり情報は共有しやすく、顧客渉外の内容もすり合わせができていたと思います。

3年目になると、、、なんと70名前後のチームに。
こうなった頃にはどんどん問題が発生していきます。

これまでのように情報がまわっていかず、顧客渉外の量・質にもばらつきが出てきます。お客様につく担当によって、十分な支援ができている場合とできていない場合が混在し、成功支援にムラが出るようになってきます。

当時のことを思い返しながら、在籍してくれていたメンバーの心情を推察すると、こんな感じだったんじゃないかな、と思います。

元々いた人:「新しく入った人、レベル低い!こんなこともわからないのか!やれないのか!

新しく入った人:「人によって言ってることや解釈が違う…。まぁいいや、一定我流でやるか…」

多くの人:「仕組みやドキュメントは用意されているけど、完全にハラオチしてないな…。なんかちょっと違う感じがしても、誰も改善活動に踏み切れてないな…」

メンバー全員が、何らかのもやもやを抱えながらも、そこに切り込んだり修正ができないまま物事が進んで行きます。

この状態では、例えばCS-Operationであったり、CS-Enablementという組織や仕組みをつくっても、思ったような効果はすぐ得られません。仕組みという武器が出来上がっても、人によって使ったり使わなかったり、そもそもその武器がなぜ与えられたのか?も理解がしづらかったり。

在籍していたメンバーは優秀な人たちが多かったのに対して、どうしてこうなったのか?それは、自分たちで組織課題の解像度を上げ、自分たちで活動を改善していくんだ!という文化や風土が醸成できていないから。

完全にマネジメント(自分)の責任・失敗
だったな、と感じます。

しょんぼり。。。暗くなっちゃいましたね。。。
ちょっと話題を変えて…。

よく聞きません?まことしやかに囁かれる通説「顧客へはまず、ハイタッチ」

「顧客への打ち手は、まずはハイタッチして、きちんと顧客理解をした上で適切な施策を打ちましょう(&型化・広域化していきましょう」
これです。

こんな書き方すると「おっ?君は反対派なのかい?」なんてとらえられるかもしれませんが、とんでもない。

僕は無宗教・無神論者ではありますが、何かに属しているとするならばこの「顧客へ最初はハイタッチしようぜ宗教」に入っていますし、許されるならばお客様と、末永く・深くコミュニケーションを取りたいんです。
一方で、その手法は費用対効果が合わないケースや、発展性がないことや、工夫や施策で代替できることがあるのも理解しており、なんでもかんでも、いつまでたってもハイタッチが正解か?と言われるとそうではないとも思っています。

では特に初期、顧客へのハイタッチをすることが、なぜ良さそうか?
並べていくと例えば…

  • 顧客がどういう課題やどんな考え方を持っているのかわかっておらず、しっかりすり合わせが必要

  • 顧客にとって新しい取り組みは理解や浸透に時間が必要

  • 支援する側の支援方法も粗削りで改善の余地が多い(PDCAがまわってない)

こんな感じなのではないでしょうか?
ハイタッチ支援をする理由の1つはまとめると、「課題と打ち手の
解像度が低く、活動が洗練されていないから」
と言えそうです。

ハイタッチするのってなぜ?

成長中の組織の特徴は?

またまた少し違う観点に話をうつします。成長中の組織の特徴って、どんな感じでしょうか。
前段でご紹介した通り、今私が在籍している企業は、事業がはじまってからも、カスタマーサクセス組織が立ち上がってからも、まだ日が浅いです。

例えばこのフェーズのカスタマーサクセス組織は、どういう状態か?と想像すると…

  • 組織がどういう課題やどんな考え方を持っているのかわかっておらず、しっかりすり合わせが必要

  • 組織にとって新しい取り組みは、理解や浸透に時間が必要

  • 組織内の施策も粗削りで改善の余地が多い(PDCAがまわってない)

成長過程の組織って、こんな感じ

こんな感じではないでしょうか?
あれ…?これって…対顧客と一緒の状況じゃないですか…?

そうなんです。成長過程の組織の状況は、初期の対顧客と状況が似ていると思うんです。

だったらですよ?
組織に対してもしっかりハイタッチしてみませんか?

どんな課題?どうやって解決?(課題例)

では、成長中の組織内では、具体的にどんな課題が発生しているでしょうか?

例えば、部門間での情報連携に関して。
顧客情報の記録と伝達、というシーンで一例をご紹介してみます。

ふむふむ、どうやらこの組織は、顧客情報をスプレッドシートで管理しているようです。

平和な日々



少し経つと…
スプレッドシートに転記する業務を効率化するために、フォームに情報を入力すると自動的にスプレッドシートに情報が記録されるようにしたようです。改善活動が進んでいます。

進む改善活動



また少し経つと…
とうとうSalesforce(CRM)の導入がされていたようです。
連携部分で手戻りが…。でも未来に向かって、ITツールをしっかり活用していきましょう!

手戻りするから先に言って~~~



またまた少し経つと…
Salesforce(CRM)は、少し重たくて運用に乗りきらなかったようです。
インスタントに処理するために、スプレッドシートに記入する形に戻しましょう!!

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!

そりゃ、発狂もしますわい。

これは極端な例をあげましたが、これに近いことが実際起きたりします。
成長過程の組織ほど日々色々変わっていくことが多く、気づけば情報が陳腐化したり、上手く連携できない事案が発生しちゃうんですね…。

時間の経過と変化のイメージ

どんな課題?どうやって解決?(具体施策例)

この部門間連携が、次第に難しくなっていくことも見越して、こんなことを思いました。

カスタマーサクセスは、組織のハブ役になるべき。カスタマーサクセスは積極的に、自部門だけではなく他部門との連携業務フローもきちんと確認・すり合わせ・運用したらええねん!!

この考えをもとに今の組織では、まず部門間で連携が必要な箇所のフローをすべて書き起こした上で、週次で部門長で業務フローのすり合わせ・調整・他部門への要望出しを行っています。

左がmiroで描いた、各業務のフロー。業務によってフレームを切り分けている。

事業数値や案件の確認などとはまったく別に、業務の最新化・共通化・改善に特化させた上で、部門長で定期的に話し合うことがポイントです。

他にもこんな、社内ハイタッチ①

CSチーム内だけに限っても、様々なハイタッチが有効です。

例えば定期的に棚卸をするように、既定している支援プログラムを、メンバー全員で改めて一連を実演し合います。
誰かがCS役を、他のメンバーは顧客役を担い、改めて自分たちの支援内容を顧客になったつもりで聞いたり対応していきます。

そうすると、例えば資料を眺めるだけでは気づきにくかった、顧客にとって違和感があったりわかりづらい部分が見えてきたり、情報が陳腐化・古くなっている部分を特定することができます。

全員でこの認識をすり合わせた上で、一連の資料や流れを刷新し、改めて流れを確認。最新のものとして合意し、支援をリスタートしていきます。

他にもこんな、社内ハイタッチ②

プロダクトフィードバックやリリースノートは、あえてチーム全員で読み合わせの場を設けます。

これは一瞬、非生産的に思える活動です。本来、全員がそれぞれの情報に目を通し、理解しておくにこしたことはありません。

ただし、成長過程の組織故に、諸々の解像度が低い、ということが前提にあります。
例えば、Aさんが獲得してきたプロダクトフィードバック。なぜ顧客がそういうことを言うのか?課題は何なのか?をチーム内で共有することは、顧客理解を深めることに繋がります。
また、Aさんに対して「何故顧客はそれを必要としているの?」という確認をすると、意外にAさんがパッと回答できないこともあります。その際は、顧客との対話方法や確認方法などを議論することもあります。

そういった活動を挟み、カスタマーサクセス全員の認識を共通にする&意見を集約して、一括で開発チームに質問・意見・確認をするようにします。こうすることで、開発チームもより良いフィードバックを受けることが可能です。
※スピード観点も大事なので、ツール(flyleを利用しています)へのフィードバックの起票自体は、各自が取り急ぎ最速で行うようにしています

他にもこんな、社内ハイタッチ③

チーム全員で同じ質問に対して、考えていることをテキストで書き出し、すり合わせを行います。

例えば、質問はこんな感じです。

  • なぜ自社を選んだ?なぜCSロールを選んだ?

  • 自社でCSをやる面白さは?反対に、物足りなさは?

  • チームの魅力は?

  • どんな人と働きたい?

この活動を経て、相互理解を深めると共に、その議論内容をまとめてnote化したりもすることで、採用文脈でまだ見ぬこれからの仲間に対して、僕たちらしさを伝えるツールにもなったりします。

▶ SORABITOで働く面白さを聞いてみた!(カスタマーサクセス部 前編)
▶ SORABITOで働く面白さを聞いてみた!(カスタマーサクセス部 後編)

活動を経て、組織が得られるものは何か?

こういった社内ハイタッチ活動を経て、組織が得られるものは一体何でしょうか?もちろん、施策や仕組みができあがります。各施策で狙っていた効果も得られます。

ただ、それより大きな収穫は、携わっているメンバーが感じてくれることだと考えます。

  • わかってるつもりで実は知らないことって多いんだな…

  • 慣れるまでには時間がかかるんだな…

  • きちんとやらないと抜け漏れたり急に変わっていることがあるんだな…

こういったことが肌感を持てていきます。伝わっていきます。

組織の課題も自分たちで解像度を上げていくことが大切!
活動を改善していかないといけない!

と思ってもらえることが、後に組織を支える文化に繋がっていくのではないか、と思います。

改めて、結論

「顧客の成功も組織の成功も似ている。成功への道のりは一足飛びに非ず。顧客の成功を目指してハイタッチするかの如く、組織へもハイタッチしていきましょう」

  • プロダクトの成長が早ければ早いほど、組織の成長は追い付きにくくなります

  • 顧客が一足飛びには成功しづらいのと同じく、組織も早めから向き合って文化醸成 → 活動洗練の必要があります

  • 顧客の成功・成果のスケールを目指してハイタッチするのと同じく、自社の組織の成功・成果のスケールを目指してハイタッチもやってこ!!

以上、カスタマーサクセスは自社組織にハイタッチすることが、顧客の成功に繋がる?というお話でした。


カスタマーサクセスに関するnoteを中心に更新しています。これからも、よろしくお願いします!