Bリーグ第6節アルバルク-SR渋谷。思い入れの東京ダービー
今シーズンのSR渋谷との対戦はレギュラーシーズン最初で最後の対戦です。アルバルカーズにとっては特別の感慨をもって迎えたゲームでした。
SR渋谷のルカHCは一昨年シーズンまで5年間アルバルクの指揮をとって2度のBリーグ制覇をもたらした「恩師」であり、田中大貴はアルバルクの元キャプテンでフランチャイズプレーヤーでした。小島元基はその陽気なキャラでアルバルクファンからは今でもなお愛され続けています。
そんな彼らのSR渋谷への移籍でファンユニを赤色から黄色に着替えた元バルカーズもたくさんいらっしゃいます。
しかも、対戦の舞台が思い出のアリーナ立川立飛とあって、赤も黄色もお仲間が集っていました。否が応でも気持ちは上がります。
私もかつてルカHCにサインしてもらったルカフラッグをもって立飛に向かいました。
試合の結果は第1ゲーム88-64、第2ゲーム97-72でアルバルクの連勝となりました。
今回のブログでは、ルカ体制1年目のSR渋谷が目指すバスケの骨格は見えたのか?
また、アドHCを迎えて1年、アルバルクの現状がルカ時代とどう変わったのか?
今節の対戦で見えたところを探ってみたいと思います。
SR渋谷はトップとウイングの連続PnRとアタック
SR渋谷にとってはマカドゥのインジュアリーリスト入りに加えてゲーム直前に発表された、ライアン・ケリーのケガによる不帯同はジェフ・ギブスの加入があったにせよ基本戦術に大きな修正が必要となったに違いありません。
SR渋谷の今オフの移籍ではホーキンソン、永吉、村越の高さを取りました。また、クレモンズ、田中、チェンバースらピックユーザーを補強することでルカ体制の人員を揃えています。
移籍の様子から、単純に狙いは、高さとシュート力を備えたケリー、ホーキンソン、永吉のピックにクレモンズ、小島、ベンドラメのPG、ウイングの田中、津屋、チェンバースらがPnRで崩してポップやダイブで中と外を射抜き、さらに田中の得意なミドルエリアも攻めたいのかなと思っていました。
ところが、今節211センチのケリーの不在でSR渋谷の高さの片輪を失ってしまいました。
アルバルクのサイズ(グダイティス)、ロシターにメインデルを加えたオンスリーに対してSR渋谷はロシター(サイズ)にマッチアップする4番ギブス(永吉、村越)とメインデルにマッチアップする3番田中(チェンバース、津屋)のところでミスマッチを生じていました。
容易にインサイドでのSR渋谷の不利が想像できます。
それでも第1ゲームはオフェンスリバウンド11本(アルバルク7本)トータルリバウンド30本(アルバルク31本)と全員でリバウンドに奮闘しました。
特に第1ゲーム10点差で迎えた第2Q、SR渋谷は9-0のランで1点差に迫りました。
そこで見せたSR渋谷の攻めはホーキンソンを軸にPG小島、ウィング田中がピック、リピック、さらにサイドに展開してチェンバースが繰り返しPnR を仕掛けることでアルバルク安藤がホーキンソンにマッチアップするなどのミスマッチを発生させ、そこからインサイドを攻めました。
ところが、アルバルクのリムプロテクトになかなかフィニッシュはさせてもらえませんが、3度のオフェンスリバウンド、キックアウトでついにホーキンソンが3Pを沈めています。(第1ゲーム第2Q残り8分35秒、27-24)
確かにクレモンズと田中はピックユーザーとして秀逸でした。PnRからポケットパス、3P、ミドルジャンパーで多くのオフェンスクリエイトをしています。
第2試合クレモンズは20得点、田中は9得点4アシストありました。
また、ベンドラメはそのスピードでアルバルクのディフェンスを切り裂くことができています。
ベンドラメを警戒していたアルバルクは基本的に小酒部を付けていましたが、第1ゲーム9得点2アシスト、第2ゲームは18得点5アシスト、FTも8本獲得全て決めています。彼はスコアリングガードとしての片りんを見せてくれました。
一方で、アルバルクは早いドライブやパス回しにローテーションが追い付いていない場面もあります。名古屋DD齋藤や横浜BC河村など速いガードと当たるまでに対策しないといけないです。
堅守速攻とハーフコートオフェンス。アドバスケ2年目の進化
アドマイティスHC就任2年目、ここまでアルバルクは今節終わって11勝1敗(7連勝)と好調です。
好調の一因は失点平均61.6点のディフェンスにあることは間違いないのですが、今節のSR渋谷戦でも注目したいのは、得点が停滞したときに高い集中力からスティールやディフェンスリバウンドから繰り出すトランジションオフェンスがあることです。
第1ゲーム第1Q
ギブスのポストプレー、バックダウンからのフックシュートをグダイティスが壁となり落とします。ロシターのDR。
ロシタープッシュ、→テーブス、ロシターとのピックにテーブスがドリブル、ストップジャンパー。7秒間のアーリーオフェンスです。(第1Q残り4分21秒 15-8)
連続でテーブスのDRからプッシュ→メインデル。ファストブレイク(残り4分 17-8)
このように立て続けに堅い守備から瞬く間に点差を広げます。
ここに確実にハーフコートオフェンスをしていたルカHC時代との違いを感じますし、昨シーズンよりアルバルクが見せている進化の一つです。
また、両チームは3Pシュートのアテンプトがともに少ないのですが(第1ゲーム アルバルク5/18、SR渋谷9/18、第2ゲーム アルバルク10/18、SR渋谷7/18)2Pのうちペリメータエリアの利用に違いが表れています。
ルカ時代、リーグでもっともペリメーターショットを打っていたアルバルクですが、今ではすっかり打たなくなりました。今節は1/3、2/4です。
逆にSR渋谷はルカHCの戦術の浸透なのか田中の存在なのか、ピックからエルボージャンパーを打つことが多いので、今節は3/10、5/9です。
2Pショットのうち実に26%(19/73)をペリメータショットが占めていました。
逆にアルバルクはアドHC就任の昨シーズン後半からペリメータエリアの利用は減り始め、今節は2Pショットのうち8.5%(7/82)しかアテンプトしませんでした。
ではアルバルクがハーフコートオフェンスで見せていた特に印象に残ったプレーは何かといいますと
私は第2ゲームに放ったサイズの4本のバックドアからのダンクです。
第1Q残り8分1秒 メインデルのクロススクリーンから裏に走ったサイズにウイングの小酒部からパスが出てフリーのサイズのダンクが炸裂しました。
第2Q残り9分3秒、6分49秒、5分30秒
この3つのプレイはいずれもサイドからのスペインPnRです。
メインデル(安藤)がサイズとのサイドからPnRの仕掛でカールアップします。この際にザック(安藤)がスロットからビッグマンにスクリーンをセットします。その裏にサイズがダイブしてフリーでパスを受け取ってダンクに飛びました。
アルバルクは堅守からターンオーバーからの得点、ファストブレイクからの得点が増えています。
さらにハーフコートでモーションオフェンスによるペイントアタックとキックアウト3pを基本戦略にしているため、ペースはやや落ちますがアシストが多くボールが選手間によく回っている間は目指すバスケットができているのだと思います。
SR渋谷もPnR を軸にモーションオフェンスを連続して展開します。
ところが、アルバルクのPnRの伝統と選手のサイズ、戦術の熟練度、ケミストリーで今回はアルバルクが一歩先んじているように思いました。
しかし、もうすぐバイウィーク、まだまだ序盤戦が終わるところです。
SR渋谷がルカHCの戦術を浸透させて、怪我人が戻ってきたときにはいったいどのようなチームになっていることでしょう。
お互いに再度CSで交われることを祈りつつ次節の観戦を楽しみたいと思います。
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