昔の生活に興味はあるが、戻りたいとは思わない
少年は、学校の先生に言われた「校内ではスマホに使用禁止です」というルールに疑問を持っていた。
「どうして禁止なんですか?」と先生に聞くと、「授業中にスマホをいじられると授業の邪魔になるし、校内でSNSなどに触れると、不適切な情報が広がってしまい、風紀を乱すからだ」と言われた。
少年はたずねた。
「じゃあ、授業中はスマホで夏目漱石の文学を読んで、家に帰ったら友達と好きなゲームの話でLINEして、その話題を次の日の学校に持ち込んで休み時間にしゃべるのなら問題はありませんか?」
すると先生は、
「何を屁理屈言っているんだ!いいからダメなものはダメだ。それはこの学校のルールだ。生徒ならそれに従いなさい!」
そしたら少年は、
「じゃあ僕が生徒会長になったらルール変えてもいいですか?」と言った。
それを聞いた先生は、
「先生に対してなんだその態度は!そんなことを提案するような候補者は必ず落ちるぞ!」と語気を強めた。
「それは先生じゃなく、僕以外の生徒が決めることではないんですか?」
少年は素朴な顔でたずねた。
「本当に聞き分けのない子だ…。もういいから自分の席に着きなさい。」
先生はそう言って強引に話を打ち切ってしまった。
少年は明確な理由を聞けないまま、キョトンとした様子で去っていく先生の後ろ姿を見つめていた。
家に帰ってきた少年は、スマホが学校で禁止される理由がどうしても知りたくなり、「スマホが新しい技術で人に危害を加えるかも知れないから、怖くて禁止にしてるのかな?」と考え、昔おじいちゃんが楽しんで聞かせてくれた世界史の本を開いてみた。昔の人は新しい技術を使ってどうなったのか知りたかったのだ。
本の内容は難しい言葉や感じばかりで難しかったが、祖父のメモがぺージに挟んであった。
やっぱり難しい言葉ばかりだったが、どうやらここには本の”まとめ”みたいなものが書かれている。そして、どうやら昔の人は新しい技術(テクノロジー?学校ではまだ習ってないけどスマホで調べたらそんな意味だった)を受け入れたことで生活が豊かになったのだと分かる。
「そっか…豊かにはなるんだな。僕も昔の人の暮らしは興味あるけど、ずっとその暮らしは嫌だな…。ゲームしたいし。」
「そういえばあの先生、全校集会の時、プリント持ってたな。あれってコピー機使ってるだろうし…。もう一回質問して、また怒られたら、「じゃあ先生、明日からコピー機使えなくてもいいんですか?」って言ってみようかな。
でも子供一人だとまた相手にしてくれなそうだし…そうだ、父さんの知り合いの教授さん、ガジェット好きだったけ。一緒に質問してくれないか頼んでみようかな…。父さん今日帰るのいつだっけ?」
そして少年は、亡くなった祖父が愛読していた世界史の本を片手に、自宅で洗濯物を畳んでいた母に駆け寄っていった。
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