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郵便局員の憂鬱。

年も暮れ。

今年の仕事をやっつけるため
街は速度を上げていく。

年賀状について、
僕は出すべきとも思わないし、
止めるべきとも思わない。

問題なのは郵便局員の憂鬱とチケットショップに並ぶ年賀状。

資本家としてはマイナス成長は許せない。
減っていく売上を取り返すために
ノルマをつくり、発破をかける。

「目標は高く。」
「どこまでも高く。」

造らねばならない。
守らねばならない。
戦わねばならない。

予算。街。サービス。物流。昨日までの自分。ボーナス。年金。成長。子供たち。

正当化され、成長が強要される。

「目標は高く。」
「いつまでも高く。」
「その手は死ぬまで下ろすな。」

それはどこまでも強欲で、尽きることのない。
世界の歪みはどんどん早くなる。

終わりの始まり。
勝ち組グループ。
オートメーション化された仕事。
保身に走るジジイ。
夢と幻の正社員。

誰もいない街。

気づけば世界は監視カメラと暗号通貨で覆われようとしている。
僕らは既にナンバリングされ、ビックデータの構成員になってしまった。

そんなことを考えていたら帰り着いた故郷。
余生。不均衡。家族。森。たんぼ。コンビニ。寂れた漁港。退屈。

無人改札は必要ない。

あの頃は良かったなんて言うつもりはない。
時間は後戻り出来やしないのだから。

後ろ向きに進みたいなんて感傷に浸っていたら
今年も終わってしまいそうだ。


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