Takuma Kogawa

読書記録をメインとします。文化に触れた際の雑感やレビューについても書けたらいいなと思い…

Takuma Kogawa

読書記録をメインとします。文化に触れた際の雑感やレビューについても書けたらいいなと思います。

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  • ラムネーション コアレビュー

    ラムネーションのレビュー記事です。

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  • 固定された記事

瀬地山角『炎上CMでよみとくジェンダー論』-Claimer, Flamer and Criticizer-

まず最初に本書の公式紹介ページと概要のリンクを掲載しておく。 0. 導入 インターネットを観測していると、文系の学問、とりわけ社会学や人文学の学者たちの力強い発信がよく目に入ってくる。学者としてというより一人の成熟した個人としていかがなものかと思う罵詈雑言、学者どうしの相互チェック機構がうまく働かないことにより垂れ流された個人の妄言が訂正されないこと……。今回取り上げるジェンダーの領域は、統計的または科学的な確からしさよりは個人の見解が重要視されるように思える。本書は筆者の

    • 【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 8 らむねルート③

      恋愛ゲームと化すラムネーションここにきてようやくラムネーションは美少女ゲームのように恋愛要素が前面に出てくる。fig. 74の後ろに小さく映っているリスの着ぐるみはアイリス(アイスを売るリス→アイリス)である。 いろいろあってRMCの所有するビルの頂上から飛び降りるアクティビティをやることになる。豪華客船メルセデス号までひとっとびしようというわけだ。どうやってそんな長距離を飛べるのかはわからない。ラムネーションの世界ならできるのだ。そういうものだと考えておこう。 二人でメル

      • 【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 7 らむねルート②

        らむねとデートこれを読んでいるみなさんはラムネーションのストーリーをもう忘れてしまっているかもしれないが、らむねは希望島B級グルメコンテストに出品する新商品開発に頭を悩ませている。月菜はそんならむねの助けになろうと遊びに行くことを提案する。いったんリフレッシュすればいいアイデアも出てくるだろうということだ。 らむねにとってはデートなのだが、月菜はそんなことを考えていない。単に仲のいい人と遊びに出かけるだけだ。こういう場合に男性はどういう心持ちでいるのが正解なのかわからない。デ

        • 【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 6 らむねルート①

          新作ラムネを開発しよう登校日の朝、らむねは月菜にラムネを配達し、陽菜の車で一緒に投稿する。地元の子供たちとゴルフをするという授業であるはずなのだが、なぜからむねと陽菜は水着を着ている。fig. 54ではらむねが氷水の入ったバケツを持っているが、これはいちじき(あまりよくない意味で)流行したアイスバケツチャレンジのパロディであろう。 らむねは希望島B級グルメコンテストの抽選に応募するのだが、今のうちからコンテストに出品する新商品を開発するとのこと。月菜たちはその開発のお手伝い

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        瀬地山角『炎上CMでよみとくジェンダー論』-Claimer, Flamer and Criticizer-

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        • ラムネーション コアレビュー
          9本

        記事

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 5 アイリス/レイラルート④

          製作者のエネルギー切れを感じる展開ラムネーションTVの放送回数を重ね、数多くの人に見てもらえるようになった一同。昔テレビでやっていたあんな番組を思わせるような企画が盛りだくさんである。これから議論が始まろうかというところで立ち絵で中指を立てるゲームを、私はラムネーションのほかに知らない。 アイリスが観光案内したメルセデスもラムネーションTVをよく見ているようで、アイリス宛てにファンレターを送った。そのファンレターに同封されていた金色のチケットは、なんと希望島B級グルメコンテ

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 5 アイリス/レイラルート④

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 4 アイリス/レイラルート③

          恋人とやりたいこと朝からアイリスは、月菜とやりたいことを書き出している。もちろんチョメチョメもあるが、無理にひねり出さなくても一緒に散歩でもしながら決めればいいのではないかと。東京都内なら汐留の近くにある浜離宮などがおすすめです。 アウトレットモールに買い物に来た月菜とアイリスとレイラ。雑談中にレイラが急に求婚し、月菜はOKする。アイリスも負けじと求婚して、これにも月菜はOKする。結婚はこのくらいのノリと勢いで決めるのがいいと思う。自分の経験談ですが、結婚相談所の婚活は本当

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 4 アイリス/レイラルート③

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 3 アイリス/レイラルート②

          アイリスの観光案内アイリスが散歩していると、前回パーティーを開催していた船の近くで例の魔女を発見する。アイリスは魔女が観光で来ているものと思い、セントアリアを案内することにした。魔女はアイリスに名前を尋ねられ、苦し紛れに船の名前であるメルセデスと名乗る。アイリスは偶然同じ名前なんデスね~とスルーする。 二人は海辺をあとにし、希望の橋を渡り希望島を目指す。早朝にアイリスがこの橋を渡っていると(←なんで?)、車の大きなエンジン音が聞こえたことをメルセデスに説明する。メルセデスは

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 3 アイリス/レイラルート②

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 2 アイリス/レイラルート①

          子犬を探して月菜が砂遊びしているところに、アイリスとレイラが遭遇する。なんでも二人は子犬を探しているんだとか。子犬を探して街中にくるとらむねと陽菜に会う。そこでfig. 14のようにラムネーション節が炸裂する。ラムネーションとはこういうゲームです。 子犬とのカーチェイスなどを経て、ついにビルの屋上に追い詰めた。なんで子犬が自動車なみのスピードで走っているかって?そんな疑問をラムネーションにぶつけてはいけない。 犬を捕まえた直後に強風が吹き、アイリスが屋上から落ちそうになる。

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 2 アイリス/レイラルート①

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 1 共通ルート

          ゲーム開始主人公である紅星月菜(あかほしるな)がヘリコプターに乗り、スカイダイビングするところからゲームは始まる。ヘリコプター内で便意をもよおした月菜が案内人とやりとりをするところが最初の掛け合いなのだが、この時点で「こういうゲームですよ」と教えてくれる親切設計である。ノベルゲームでこのような下品なネタから始まるゲームはほとんどないのではないか。 月菜がスカイダイビングをする目的は、同時にスカイダイビングする4人のヒロインの写真を撮ることである。月菜の幼馴染である碧海らむね

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 1 共通ルート

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 0 なぜ私はこのゲームをレビューするのか

          はじめに2016年に発売されたWhitePowderのLAMUNATION!(以下、ラムネーション)のレビューを書くことにしました。2016年にオリジナル版であるR18のラムネーションが、2019年にSteamにて全年齢版のラムネーションインターナショナルが発売されました(R18パッチは存在しています)。今回はR18のラムネーションをレビューの対象とします。ただしR18シーンは対象外とします。 WhitePowderというブランドはビジュアルアーツ傘下に存在していた(現在は

          【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 0 なぜ私はこのゲームをレビューするのか

          大吉原展の雑感

          ※この文章は展示の内容にはほとんど触れていないため、ネタバレにもなっておりません。 東京藝術大学美術館で開催されている大吉原展に行ってみました。 この展覧会は開催前からいろいろな物言いがつけられていました。 たとえば、漫画家の瀧波ユカリ、東京大学大学院教育学研究科教授の隠岐さや香、脳科学者の茂木健一郎は以下のようにコメントしています。 大吉原展のホームページトップには以下の文言があります。 このような物言いのおかげで私は大吉原展の存在を知ったため、開催前から大吉原展を

          大吉原展の雑感

          東浩紀『観光客の哲学』『訂正可能性の哲学』から人工知能などを考える

          東浩紀の『観光客の哲学』と『訂正可能性の哲学』を読んだ。 私は過去に『動物化するポストモダン』や『ゲーム的リアリズムの誕生』を読み、内容に納得できなかったりサブカルチャーを好きな人を愚弄しているようにしか思えなかったりしたため東アレルギーになっていた。ある人にこのことを話したところ「最近の本なら大丈夫ではないか、とにかく読め」と言われたため、重い腰を上げて読んでみた。おかげでかなり嫌いからまあまあ嫌いくらいには印象は改善された。この文章では、今回取り上げる二冊の主題から少し

          東浩紀『観光客の哲学』『訂正可能性の哲学』から人工知能などを考える

          岡本亮輔『宗教と日本人』-常識に囚われてはいけないのですね!-

          ※ヘッダーのスクリーンショットを撮るためにわざわざ東方風神録をプレイしました。東方Projectのなかでは比較的簡単であると思いますので、縦スクロールシューティングの未経験者でも興味があれば購入してみてください。 今回は、とあるオンラインコミュニティのメンバーであるYutaさんが紹介してくださった、岡本亮輔の『宗教と日本人』に関連する文章を書いてみようと思う。Yutaさんのリンクを以下に掲載する。 0. はじめに 単に「宗教」という言葉を使ったとき、一般にそれは仏教やキ

          岡本亮輔『宗教と日本人』-常識に囚われてはいけないのですね!-

          内田樹『武道論』-ただの思想には興味ありません-

          0. はじめに 今回は、とあるオンラインコミュニティのメンバーであるシトさんが紹介してくださった、内田樹の『武道論』に関連する文章を書いてみようと思う。シトさんのリンクを以下に掲載する。 内田樹は個人的によい印象をもっていないため、あまりこの本は読みたくなかった。国語の評論文で苦しめられた記憶があったからだ。本書は評論ではなく、様々な媒体に投稿したコラムが中心となったエッセイであり、読むだけであれば全く苦にならなった。武道に関することが書かれてはいるものの、武道に関するこ

          内田樹『武道論』-ただの思想には興味ありません-

          rei『生きてるだけで、疲労困憊。』-ホームランを狙う前にまずバットを振るしかない-

          まず最初に本書の公式紹介ページと概要のリンクを掲載しておく。 0. 導入 かなり前にヘッダーの画像をSNSで見かけた。「できるけど疲れる」ことは発達障害を有していなくてもいくらでもある。たとえば、私はCOVID-19に脅かされはじめた2020年からずっと在宅勤務をしているが、オフィスに出社すること自体に苦痛を覚えるようになった。自宅には作業に向いた机やイスがないため、作業効率を考えれば出社した方がいい。それでも自宅の方が快適だし、体調が悪くなったときに横になれるのが自分に

          rei『生きてるだけで、疲労困憊。』-ホームランを狙う前にまずバットを振るしかない-

          全プリキュア展の雑感

          全プリキュア展の横浜会場に行ってみました。 ちゃんと観ていたのは初代とMax Heartだけで、それ以降はタイトルやキャラ名もほとんどわからない状態で突撃しました。今の女児たちだって昔のプリキュアに触れる機会はないため、このような知識レベルでも問題なく楽しめました。 展示物の写真撮影は許可されておりましたが、実際に見るべきですのでここには掲載しません。歴代主人公たちの等身大フィギュアが集合しているのは圧巻です。最後の方になぜか説教くさい展示(女子の理系進学率がどうとか)が

          全プリキュア展の雑感