意外と高校生活も楽しかったかも(映画:シング・ストリートを見て)

映画を週に1本は見よう、ということを昔から考えており、実行していなかったのだが、ここ最近、それがよくできている。
今年の1月から始まった「007をすべて見ようキャンペーン」も完了。
最近、履歴を残していないので何とも言えないが、
・時計じかけのオレンジ
・カッコーの巣の上で
・バックトゥザフューチャー(1~3)
・天使にラブソングを
・サタデーナイトフィーバー
などなど、洋画を中心に見ている。

その中で、今日見た映画が個人的にすごく心に響いた。
心の中のベスト5に間違いなく入る。

シング・ストリート 未来へのうた

という映画だ。

舞台は80年代のダブリン。
両親の不仲や望まない転校、そしていじめなどでどん底にいた14歳のコナーの救いが音楽好きの兄とみるMTV。
そんなある日、街で見かけたヒロインのラフィーナに一目ぼれ。
モデルをしているという彼女にバンドのMVに出てくれないか、と頼む。
まだ、バンドも組んでいないのに。
結果、出演を快諾したことにより、急きょバンドを組むことになる。

そこから、バンド仲間と猛練習。
兄の助言により、オリジナルソングを作る。
そして、ラフィーナとの恋。
そこには挫折も多々ある。
色々なことを体験し、ライブを学校内で開催。

えぇっとねぇ。
詳細に物語を書こうと思えば書けるのだけど、この作品に関してはぜひとも情報があまり無い状態で見てほしい。

音楽を始めるきっかけって色々とあるんだけど、根底には「モテたい」っていうのがある。
そこから音楽の奥深さや表現の難しさを体験する。
そしてバンドでスタジオに入り、ともに音を鳴らす瞬間。
何とも言えない喜びが全身を襲うのだ。

そう。
この映画は一度でもバンドを組んだことがある人ならもれなく懐かしくなる青春映画なのだ。

高校受験を終えた翌日にテレキャスターを買ってもらったものの、バンドを組むこともなく、たいしてうまくもなく、基礎も身についていないのにオリジナルソングを作ったりしていた。
高校3年生の時、バンドを組んだ。
バンドとして音を鳴らす楽しさを初めて体験したのだが、本当に楽しかった。
その時はギターではなく、ベースだった。それでも楽しかった。

そして、バンドでオリジナルソングを作ったのだが、それがたまたまラジオの番組に送ったら流れた、という思い出もある。
ビートクルセイダーズのラジオだ。

学校祭ではミスチルやガクトなどのカバーをしながら、1回だけ僕のオリジナルソングも歌った。
ベースボーカルだった。緊張して声が飛んだのを覚えている。
黒歴史に近いが、それでもこうした希有な経験ができたことは今となるととても懐かしいし、誇らしい。
ちなみにそのオリジナルソングはoasisの「SLIDE AWAY」をほぼパクったようなものだ。タイトルは確か、「AOZORA PAINTING」とかいうタイトルだった。

その後は大学でバンドサークルに入り、コピーバンドをしながら、実はオリジナルソングも作っていたし、卒業前には録音もした。
昨年の忘年会ではMVを作って披露することもあった。

今でもたまにギターを弾くのだが、初めてバンドを組んで音を鳴らした体感は今でも忘れられない。
友達の家でレコーディングしたのも懐かしい。

シング・ストリートはまさに、バンドを組んでいた人なら誰しもが懐かしくなる、過去を思い出させてくれる名作なのだ。
あの時は純粋に音楽をやるのが楽しかったな、と。

映画のシーンで父親がパーティーでカバーバンドを行う、というセリフがある。
それはそれで楽しいのだが、やっぱり自分で作るほうがカッコいい。

部類で言うと僕はへたくそな部類だと思うし、学生時代のバンドサークルの中では断トツで下手だったけど、それでもオリジナルソングは作っていた。
うまかったらもっと良かったけど、へたくそでも自分を表現することは楽しいことだ。

なんか、俺も29歳になって名実ともにおっさんになってきたなぁ、と思うのだが、こういう映画を見て高校時代を”良き”思い出として振り返る日が来るとは思わなかった。

先日、中学の同級生が名古屋に仕事で来ていたので久々に会い、他愛のない話をしたのだが、彼は高校時代が相当楽しかったらしい。
かくいう俺は「ザ・高校生活!!青春!!」というような高校生活を過ごしておらず、あまり良い思い出はない、と思っていた。彼女もいなかった。高校に進学したら彼女ができるものだと思っていたのに。
ただ、名古屋で働いている、高校の図書委員の後輩と飲む時に、委員会活動で熱中して今もそのメンバーと繋がりがある、ということの珍しさや、その流れで高校の図書館のHPを作り、実際に公式のHPとして世間に公開されたり、そして、バンドを組んでオリジナルソングを披露した、ということ。

つい最近まで高校時代ってあんまり面白くなかったなぁ、と思っていたのだが、意外と俺の高校時代も悪くないじゃん!!と思うようになった。
その決定打がこの「シング・ストリート」だった。

ラストはもう、笑いながら泣いてしまっていた。
ただの音楽映画ではなく、青春がたくさん詰まっている。

映画のテーマが「未来」。
どんなに辛い時でも未来に向けて走り抜ける。
最近、そういうことを忘れてしまっているなぁ、と思いこんでしまった。

少年のように、もっと未来を抱いてもいいんじゃないだろうか。

そんなことを想った。

平野啓一郎の「マチネの終わりに」にて「未来は常に過去を変えている」という言葉がある。
この「シング・ストリート」を見て、まさにそうだな、と。
変哲のないつまらない高校生活だと思っていたが、平成の終わりになり、あのころも実は楽しかった、と高校時代を良き過去として考えられるようになった。

シング・ストリート
一度バンドをやったことがある人は是非、見てほしい。

個人的に80年代の洋楽が沢山使われているのもツボでした。
多分、DVD、買う。

いやー、いい映画だった!!

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