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ぼくをおもいだしてないてるの?夢の話 【97/1096】

夢を見た
きみは探しものをしていたね
大事なライナスの毛布
もう今はないのに
夢の中では鮮明に
色も感触もそのままだった

探してるのはこれでしょ?
わたしが差し出すと
安心したようだ
きみは誰かに抱きしめてもらうかわりに
なぐさめてもらうかわりに
甘えるかわりに
その毛布にしがみついて寝ていたのかい?

そうだとしたら
わたしのせいだね
わたしのせいなんだ
寂しい思いをさせてしまったんだ
そう思うと涙が出てきた
夢の中のきみを抱きしめる

「ぼくをおもいだしてないてるの?」
と幼い頃に戻ったきみは
わたしに問いかける
無垢なまなざし
つたないしゃべり方の
かわいらしいきみよ

「うん、そうだよ」
うなずいたところで目が覚める
夢だった
色のついた本物のような夢だったよ

きみを思い出して涙が出る
夢だったことに落胆する
夢の内容にも悲しくなる
ごめんね
さみしさや苦しさにより添えず
ほったらかしにしてごめん
きみの本当の気持ちを
知ろうとしてなかったんだろう
本当のことが言えない環境でごめんね
きみは苦しかったんだね
どうして
消えなければならなかったのか
消えなければわからなかったのか

後悔 自責の波
無力感 無価値観のループが
またはじまる
悲しみがぶり返す
生活のすべてがどうでもよくなる
なにもやりたくない
やっても意味がない
体が重くてつらい気持ちになる
終わりのないループ
うまく距離をとれるだけか

いったりきたりが上手くなるだけ

そう教えてくれた人もいる
そうなんだろうね
先人の知恵
ことばは偉大だ

夢で逢えてよかった
そう思う気持ちもある
自分に都合のよいやり取りに思えて
情けなく申し訳なく悲しいけれど
あの頃のきみを鮮明に感じられた
悲しい事実をふくめて
いまは逢えてうれしかった
もう会えないのだから
ぜいたく言ってる場合じゃない

夢に出てくれてありがとう
忘れないよ
会えた感覚を胸に
なんとか生きのびよう

今日もありがとう
毛布すきだったね