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イエスの幸せ ◆ ラトゥール「大工の聖ヨセフ」



「ささやかな日常こそ幸せである」

という意味のことばを時々聞くが、この絵を見ているとそういう思いで泣けてくるのである。

ジョルジュ・ド・ラトゥール「大工の聖ヨセフ」

歴史的な大人物で、崇められ迫害され波瀾万丈な人生を送ったイエスと、時に情けない脇役としてぞんざいに表現されることの多い父ヨセフ。
この絵の素朴さや父を見つめるイエスのあどけない眼差しに、彼らにも温かく平穏な生活があり、それがいかに大切なひとときであったのかをしみじみ感じるのである。

私のキリストのイメージは遠藤周作の「死海のほとり」に出てくる実に控えめな凡庸な人物ある。周囲に勝手に奉られ本人が意図せぬ運命に翻弄されていく。
この絵のように素朴な生活を送りたかったのではないかと思うのである。

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